後藤允良税理士事務所 > 税務に関する記事一覧 > 資金調達の流れ|主な調達手段と手続方法について解説
資金調達は即日できるものではありませんし、しっかりと計画を立てて調達しなければかえってリスクを抱えるおそれもあります。また、資金調達の手段別に注意点が異なっており、資金を得るまでの流れも異なります。
当記事では基本的な資金調達までの流れを示すとともに、主要な資金調達方法について特徴や手続の内容を解説していきます。
企業が資金調達するにあたり、まずは必要性について明確にしておかなければなりません。何のためにお金が必要なのか、いくら必要なのか、そして調達を成功させるためには対外的にその必要性について示せる必要があります。併せて、お金を出しても良いと思わせるだけの計画性も必要です。例えば融資の場合、返済の期待ができない企業に対してはお金を貸してくれません。
そこで自社が計画的に活動をするためにも、社外に向けて説得的な資料を作る意味でも、事業計画の策定が重要になってきます。
また、資金調達にはいくつか方法がありますので、状況に適した手段を選ぶ必要があります。その上で、調達に向けた具体的な手続を進めていきます。
事業計画とは、事業の目的、内容、戦略、収益計画、資金計画などをまとめた計画書のことです。資金調達を行う際、事業計画を作成して、投資家や金融機関などに事業の収益性や成長性などを説明することがありますので、その場合は作成しておく必要があります。
事業計画の策定にあたっては以下の点を意識しましょう。
資金調達の方法には大きく分けて①融資、②出資、③補助金・助成金の3つがあります。
融資 | 銀行や信用金庫、信用組合などの民間の金融機関、日本政策金融公庫のような政府系の金融機関などからの借入。融資の場合は成功すると比較的規模の大きな資金が集められる。しかし返済の負担がその後かかる。 | |
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出資 | エンジェル投資家 | 企業に出資する個人投資家からの資金提供。 投資家から出資を受けるメリットは以下。 ・毎月の返済義務がない ・出資までの判断が早い ・経営のアドバイスがもらえる ・人脈が拡がる 一方、経営に過度に口出しされることもある。 |
ベンチャーキャピタル | 企業に出資を行う投資会社からの資金提供。 民間系のベンチャーキャピタルや政府系ベンチャーキャピタルなどがあり、エンジェル投資家同様の特徴を持つ。 |
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クラウドファンディング | インターネット経由で不特定多数の人から資金や支援を募る方法。少額の出資も可能で、投資家ではない一般の方からも出資が得やすい。 | |
補助金・助成金 | 国や地方自治体が行っている制度を活用して受給。 補助金の例は以下の通りで、経済産業省所轄のものが多い。 ・小規模事業者持続化補助金 ・ものづくり補助金 ・IT導入補助金 ・事業再構築補助金 助成金は厚生労働省所轄のものが多く、社内の労働環境改善などで支給されるケースが多い。以下がその例。 ・雇用調整助成金 ・キャリアアップ助成金 |
自社の事業や財務状況に合った資金調達の方法を選ぶことが重要です。それぞれの特徴を理解し、最適な手段を選択しましょう。
どうやって資金調達をするのか決まれば、それぞれに求められている手続を進めていきます。手続を進めるための書類作成も必要です。
融資を利用する場合の流れをざっくり説明すると、次のようにまとめられます。
1 | 融資の相談・申し込み | 融資を検討している金融機関に相談・申し込みを行う。融資の種類や金額、条件などについて、担当者と相談しながら希望に合った融資を探す。 |
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2 | 必要書類の提出 | 融資の申し込みが受理されると、融資審査のために必要書類の提出が求められる。必要書類は金融機関によって異なるが、例として次のものが挙げられる。 ・決算書 ・資金繰り表 ・事業計画書 ・納税証明書 |
3 | 融資審査 | 必要書類の提出後、金融機関による融資審査が行われる。審査では以下の点が見られる。 ・事業の将来性 ・資金繰りの状況 ・返済能力 |
4 | 融資の実行 | 審査に通ると融資実行となる。 融資を受けた資金は、返済計画に沿って返済しなければならない。返済が滞ると信用情報に傷がつくため注意が必要。そこで事前に以下の点に注意する。 ・返済計画をしっかりと立てておく ・金利や手数料などの条件をよく確認する ・複数の金融機関から見積もりを取る |
株式発行による出資を受ける場合は、次のような流れとなります。
1 | 募集事項の決定 | 会社法に則った適法な手続が必要。 決めるべき事項は「募集株式の数」「募集株式の払込金額・算定方法」「増加する資本金および資本金準備に関する事項」など。 |
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2 | 株式の募集と割当 | 募集事項が決定したら株式の募集を行う。募集方法は「申込割当」「総数引受契約」のパターンがある。 株式引受の申し込みに対し、企業が割り当てる株式の数を決定する。発行する株式の全部を引き受ける場合には、当該引受人と総数引受契約を締結することで手続を簡略化することも可能。 |
3 | 出資の履行を受ける | 割当および通知後、引受人による出資の履行を受ける。これにより引受人は株主となる。 |
4 | 登記申請 | 株式の発行後は登記申請を行う。払込期日から2週間以内に、法務局で「発行済株式総数」「資本金の額」に関する変更登記を行う。 |
補助金や助成金を活用する場合は、利用する制度によっても大きく異なりますが、多くの場合はまず要件とされている取り組みを始めなければなりません。実際に取り組みを行い、その要件を満たす成果を出した後で成果を報告し、内容が認められれば支給という形になります。後払いとなるため、プロジェクトを始めるための資金については別の方法で調達する必要があるでしょう。
補助金・助成金に関しては金融機関からの借入のように個別の交渉が効く余地があまりないため、制度として定められた要件を確実に満たす必要があります。一つひとつその要件は異なるため、資金調達を実現するためには専門家を活用することも前向きに検討することをおすすめします。