年末調整とは、「給与から差し引いた源泉徴収税」と「本来納めるべき所得税」との差額の精算を行うための手続です。
正しく納税義務を果たすために必要な手続であり、企業の方や従業員として雇われている方は年末調整について少しでも知識を持っておくことが望ましいです。
ただしあらゆる人が年末調整を必要とするわけではなく、対象者・対象外となる人に分かれます。当記事でこの違いを説明します。
まずは年末調整の対象となる人について説明していきますが、こちらは「12月に行う年末調整が必要な人」と「年の中途で行う年末調整が必要な人」の2つに分けることができます。それぞれを解説していきます。
12月の年末調整の対象となるかどうかは、次のポイントに着目すると判断しやすいです。
①従業員として会社で勤めているかどうか
②年末時点で従業員として在籍しているかどうか
③給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出しているかどうか
<①について>
年末調整は、従業員を雇用して給与を支払う会社が行う手続きです。そのため、対象となるのは基本的に会社等に雇用されている人です。このときの雇用形態は関係ありません。正社員のみならず、契約社員やアルバイト、パートなども対象となり得ます。
※派遣社員に関しては“派遣先”で年末調整を行うのではなく、“派遣元”において年末調整の対象となる。
<②について>
12月の年末調整の対象となるのは、給与の支払いを受けている従業員の中でも「年末時点で在籍している人」です。年末時点で在籍していない人、つまり年の途中で退職した人などについては12月の年末調整の対象になりません。
<③について>
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書とは、配偶者の有無や所得、扶養家族の人数など、各家庭の状況を記載した書類です。ある年の最初の給与の支払いを受ける前日までに会社に提出しなければなりません。一般的には、入社時の提出書類の中に含まれています。
会社等はこの書類を基に、配偶者控除・扶養控除などの各種控除を適用できるよう手続きを行いますので、年末調整をするために必要不可欠の書類です。逆に、この書類がなければ会社は年末調整の手続きができません。
配偶者控除や扶養控除などの控除を受けない従業員でも、提出が必要です。配偶者や扶養家族がいない場合は、それに関わる控除がないことを会社等が確認する必要があるため、控除対象外の人も提出する必要があります。
なお、これら①②③を満たす場合でも、後述する「年末調整の対象とならない人」のどれかに当てはまれば年末調整の対象からは外れます。そのため対象外の人の特徴もしっかりと押さえておく必要があります。
続いて「年の途中で行う年末調整」の対象となる人について見ていきましょう。
この年末調整の対象となるのは、次のいずれかに該当する場合です。
※退職後、再就職をして給与を受ける見込みのある人は除く。
※退職後、他の勤務先から給与を受ける見込みのある人は除く。
例えば海外支店への転勤で非居住者となった場合、非居住者となった時点で年末調整を行うことになります。
年末調整の対象にならない人もいます。例えば次のような人です。
それぞれ詳しく説明します。
上述の通り、一部の場合を除いて、年の途中で退職した人に関しては基本的に年末調整の必要がありません。退職後、その年の年末時点で他の会社に就職しているのであれば、その転職先にて年末調整を行うことになるからです。
そこで年末調整が不要となった企業側としても、退職した方にその年分の給料を集計した「源泉徴収票」を交付する対応が求められます。その源泉徴収票の記載内容を参考に、年末調整あるいは確定申告を行うことになるからです。
従業員として働いている場合でも、給与の総額が2,000万円を上回るのであれば、年末調整の対象から外れます。2,000万円を超える給与を受けている方は、自分で確定申告をしなければなりません。
年収2,000万円ということは、概算で月当たり150万円ほどの給料を受け取っていることになります。従業員としてこのような額をもらっているケースはレアですが、従業員として勤め続けていても確定申告が必要な可能性があることは知っておくと良いでしょう。
ある方に関する年末調整は1つの勤め先からしか行うことができません。そこで複数の会社に勤めている方に関しては複雑な処理を要します。
例えば会社Aで主に勤め、会社Bで副業を行っているとします。
このとき、会社Aでのみ年末調整を行い年末調整済みの源泉徴収票を受け取り、会社Bでは年間給与を集計した年末調整をしていない源泉徴収票を受け取ります。そしてこれらをもって確定申告を行うことになります。
年末調整を受けるためには、上述の通り、勤めている会社へ給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を出さないといけません。雇用形態に関わらず提出する必要があり、もしこれを提出しなかったときは年末調整を行うことができません。この申告書の内容に応じて源泉徴収額が定まりますし、企業としても、申告書の提出をしなかった従業員に対して年末調整を行う義務はありません。
近年は副業も一般的になりつつあり、複数の会社に勤める、あるいは勤務時間外は個人事業主として働く、などの選択肢も珍しくなくなっています。状況が複雑で年末調整の処理に関する疑問点や不安があるという場合は、一度税理士に相談すると良いです。どのような対応が必要か、プロの視点から的確な助言をしてくれるでしょう。
創業時に頼りになる実務家として、法律に強い弁護士や司法書士、行政書士などがいます。しかし会社の立ち上げ前後ではお金の流れが発生しますし、それに伴い税務も発生します。そこで税理士も創業支援に関わる実務家として挙げることができます。
具体的にはどのような支援をしてくれるのでしょうか。当記事で、税理士が創業時に支援できることを紹介します。
そもそも税理士は、「税務代理」や「税務書類の作成」、「税務相談」などが主な対応業務です。
税務署に提出する書類を作成し、会社の代わりに書類の提出を行います。法人税やその他税に係る申告書の作成、申告書を作成するために必要な書類、あるいは添付書類の作成、計算なども依頼することができます。
また、代行だけでなく、税務全般につき相談対応もしてくれます。「節税をしたいけど、何から始めれば良いですか?」「融資を成功させるために何をすべきですか?」など、多様な相談を行うことができます。
その他、日々の記帳の代行や、ビジネスに強い税理士であれば経営に関するアドバイス、コンサルなども対応してくれます。
創業にあたり、資本金の額を定めたり、税務署に対して書類を提出したり、さまざまな業務が発生します。運転資金の準備も必要ですし、場合によっては事業計画書の作成も行わなければなりません。これらさまざまな場面で税理士が頼りになります。
創業に関して税理士が支援できることとしては、次のことが挙げられます。
それぞれの詳細を以下にまとめます。
税理士は、節税に関する支援を行うことができます。税制を深く理解している専門家だからこそできることであり、法令に抵触することなく、最大限節税効果を高めることが期待できます。
税制に精通していない方が節税対策に取り組んでも、大きな効果が得られなかったり、脱税になってしまったり、といった問題が生じます。また、節税の方法を調査したり実践したりする過程で余計な手間や時間をかけてしまい、結局余分にコストが増えてしまう可能性も出てきます。
一方で税理士に相談すれば企業の方が調査をする必要はなく、アドバイスに従って必要最低限の労力で節税効果が得られることでしょう。
そして節税対策は創業時から始められます。
資本金の額は創業後の税負担を左右する一要因であり、資本金の額が大きいほど税負担は増す傾向にあります。資本金を多く備えることで、対外的な評価を高めたり融資の成功率を上げたりといった効果も期待できますが、むやみに高額にすべきではないのです。さまざまな事情を考慮した、自社にとって最適な資本金の額とはいくらなのか、税理士に相談すると良いでしょう。
会社は毎年税務署に対して各種申告書の提出と納税をしなければなりません。
創業時は前年の実績がないため、いきなり申告・納税を行う必要はありませんが、法人を立ち上げたことの届出必要です。また、青色申告の形式で今後申告をしたいとき、従業員を雇って給与が発生するときなど、状況に応じて税務署に対する手続が発生します。
<創業にあたり税務署で行うことになる手続>
事業の立ち上げで忙しい時期に、税務署など役所に対する手続もこなさなければならないのですが、税理士の支援を受けることで省力化が図れます。
資本金の確保など、創業にあたりお金の準備が必要です。自己資金が潤沢な方はこの点大きな問題とならないかもしれませんが、多くの場合、創業融資など、資金調達に取り掛かる必要があります。
税理士の独占業務ではありませんが、法人の対応、とりわけ資金調達に強い税理士であれば創業時の資金調達についても支援することができます。
現状を踏まえ、どのような手段で資金を集めるべきか、融資や出資、助成金・補助金の活用など、さまざまな手段についてサポートが受けられるでしょう。
創業時に事業計画書を作成することがあります。
法人口座の開設、融資、取引交渉など、重要な場面で相手方から事業計画書の提出を求められることがあるのです。
特に、実績のない創業時は自社の信用を高めるために事業計画書の中身が重要な役割を果たします。今後どのようなビジネスを展開しようと考えているのか、どのような成果が出ると見込んでいるのか、その根拠はどこにあるのか、創業後はどのようなお金の流れが生じるのか、綿密に計画をまとめていかなくてはなりません。
その作業に関して税理士を頼ることができます。
創業後、いきなり安定的に利益を出すことは難しいです。あらかじめ備えた資金を消費しながら利益の向上を狙うこととなり、良好な経済状況にまで持っていくには適切なお金の使い方を知っておかないといけません。
税理士はお金の取り扱いにも詳しいため、創業からの資金管理、資金運用についても支援が可能です。
役員報酬の設定、従業員に対する給与の設定、その他経費の使い方など、最適なお金の使い方について相談できます。
申告書の作成、税務署に対する各種届出書の提出などは、税理士の基本的な業務です。そのため基本的にどの税理士にも依頼することができます。
ただ、税理士にも各々得意とする専門分野があります。相続税に強い税理士もいれば、法人税に強い税理士もいます。
そのため税理士であっても、創業に関して満足のいく支援をしてくれるとは限りません。特に税理士の独占業務ではない、資金調達のアドバイス、事業計画書の作成支援などを依頼するのであれば慎重に税理士を選定する必要があります。
税理士事務所のWebサイトにアクセスするなどして、過去の実績をチェックしてみましょう。これまでどのような案件を取り扱ってきたのか、強みとする分野は何か、記載されていると思われます。
どの税理士でも同じ効果が得られるとは考えず、創業に強い税理士を見定めるようにしましょう。
税理士に依頼することでさまざまな恩恵を得られます。しかしネックとなるのが税理士費用です。そこで、税理士費用に見合うだけの効果があるのかどうか、費用対効果も考慮しないといけません。
何も考えず依頼できる最大限の業務を任せた場合、大きなコストがかかってしまいます。自社にとって大きな必要性がない業務まで広範に委任していると、費用対効果は落ちてしまいます。そこで税理士事務所の料金設定の内容を確認することはもちろん、対応してもらう範囲についても熟慮しないといけません。
また、費用対効果を高める方法の1つに「長期的に自社に携わってもらうこと」が挙げられます。単発で依頼を出すのではなく、同じ税理士に継続的に相談にのってもらうことで、税理士も自社について詳しくなってきます。
自社の状況を理解してくれていると、依頼も効率的にできますし、より的確なアドバイスが期待できるようにもなります。
創業時から関係性を持つ税理士だとなおさらです。その後も効率的・効果的に税務や企業活動に関わる業務の依頼を出すことができるでしょう。
「年末調整」は、給与の支払時に源泉徴収した所得税と、納付する所得税との過不足を調整することをいいます。ここでは、具体的にどのように過不足を調整していくのか、年末調整の計算方法について解説していきます。
まず、1月~12月の間に支払った「給与総額」、控除した「社会保険料」、差し引きした「源泉徴収税額」の3つを従業員ごとに集計します。
このとき、賞与もここに含まれることに注意しましょう。
また、12月の給与や賞与については、まだ実際に支払っていないことが予想されるため、見込みの金額で算出します。さらに、その年の途中で入社した従業員については、前の勤め先である会社が発行した源泉徴収票に記載された金額を合算することも忘れてはいけません。
次に、「給与総額」から「給与所得控除額」を差し引いて「給与所得額」を算出します。
なお、給与所得控除額は給与総額によって異なりますので、以下の表に従って算出していきます。
給与等の収入金額 (給与所得の源泉徴収票の支払金額) |
給与所得控除額 |
---|---|
1,625,000円まで | 550,000円 |
1,625,001円~1,800,000円まで | 収入金額×40%-100,000円 |
1,800,001円~3,600,000円まで | 収入金額×30%-80,000円 |
3,600,001円~6,600,000円まで | 収入金額×20%-440,000円 |
6,600,001円~8,500,000円まで | 収入金額×10%-1,100,000円 |
8,500,001円~ | 1,950,000円 |
また、給与総額が660万円未満のときは、所得税法 別表第五「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」に従って算出していきます。
続いて、算出された「給与所得額」から「所得控除額」を差し引いて「課税給与所得額」を算出します。
所得控除には、社会保険料控除や基礎控除、生命保険料控除、地震保険料控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除などがあります。
このとき、従業員から提出を受ける「基礎控除申告書」や「保険料控除申告書」、「配偶者控除等申告書」、「扶養控除等申告書」などの書類を基にして算出していきます。
なお、医療費控除や寄付金控除については、年末調整での控除の対象外です。これらの控除を受ける場合は従業員が確定申告を行わなければなりません。
「課税給与所得額」に「所得税率」をかけて、さらにそこから「控除額」を差し引いて、「所得税額」を算出します。
所得税率および控除額については以下の表に従って計算をします。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円~1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円~3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円~6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円~8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円~17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円~39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
例えば、課税所得金額が5,000,000円の場合だと、次の計算により、所得税額は572,500円となります。
所得税額 = 5,000,000円×所得税率0.2-控除額427,500円
= 572,500円
住宅ローン控除を適用する従業員の場合は、「所得税額」から「住宅ローン控除額」を差し引きます。住宅ローン控除は、正式には「住宅借入金等特別控除」といいます。
このとき、従業員から提出された「住宅借入金等特別控除申告書」を基に算出していきます。
なお、ここで控除額を差し引けるのは、2回目以降の住宅ローン控除の場合です。控除を受けるのが1回目の場合は個人で確定申告を行う必要があります。1回目の住宅ローン控除については事業主が手続きできないことに留意しましょう。
算出された「所得税額」に「復興特別所得税」を加えて、最終的な1年間の所得税及び復興特別所得税、つまり「年調年税額」を算出します。
「復興特別所得税」は、東日本大震災からの復興のための財源確保を目的とした税金で、2013年(平成25年)から2037年(令和19年)までの間、2.1%を所得税と併せて納める必要があります。
「所得税額」に102.1%をかけることで年調年税額が算出されます。
最後に、「源泉徴収税額」と「年調年税額」を比較して、過不足額を計算します。
計算した結果、年調年税額が源泉徴収税額よりも多い場合、その差額を従業員から徴収します。
反対に年調年税額が源泉徴収税額よりも少ない場合は、その差額を従業員に還付します。
従業員からの追加徴収または還付によって、過不足額の清算が完了します。過不足額の清算を終えたら、源泉徴収票を発行し、各従業員へ渡します。また、「法定調書合計表」や「給与支払報告書」などの書類を作成し、1月末までに税務署や市町村に提出します。
以上が年末調整における基本的な計算方法・手順です。年末調整は、従業員のいる会社であれば毎年必ず必要になる手続きです。不安な場合や自身のない場合は、国税庁の相談窓口に相談したり、税理士などの専門家に依頼したりすると良いでしょう。
記帳や各種税の申告、節税対策、資金調達など、税理士に相談することで企業活動に対するサポートが受けられます。プロの意見を取り入れ、効率的かつ効果的な意思決定ができるようになるでしょう。
しかし、税理士との関係性が上手くいかないケースもあります。税理士にも得手不得手がありますし、コミュニケーションスキルや企業との相性に問題があり、不満が出てくることもあります。
当記事では、よくある税理士への不満内容を紹介し、その不満を解決するための方法を解説します。
税理士との関係性に不満を抱えている事業者も少なくありません。税理士の対応、仕事ぶりなどに満足していないものの、何ら対策を取ることなくそのまま依頼を続けている方もいるのではないでしょうか。
「不満の内容を伝えづらい」「どう対応すればいいのか分からない」などの理由で放置すべきではありません。税理士の利用にはコストもかかりますし、最適な意思決定ができないことによる企業活動への悪影響も出てくる可能性もあります。
税理士にもいろんなタイプがおり、事業者が抱く不満の内容もさまざまです。よくある不満の内容を以下にまとめます。
「税理士の態度の悪さ」を理由に、不満を持つことがあります。
高圧的な態度で接してくる、振る舞いが横柄、タメ口で話してくる、見下すような言動が多い、といった税理士も中にはいます。例え仕事ぶりが納得のいくものであっても、気持ちよく付き合うことができなければ不満は残ってしまうでしょう。
「態度が悪いわけではないが、なんだかウマが合わない」と感じることもあるでしょう。
税理士と事業者の関係も結局は人と人とのつながりです。「有能な税理士であることは分かるが、冷たい印象を受ける」「感じは良いけど、フレンドリーすぎて付き合いに疲れる」など、相性が問題になることがあります。
それ自体大きな問題ではありませんが、税理士という専門家を最大限活用するにはやはり相性の合う人選が大事です。
「ミスが多い」という致命的な問題がある場合、当然これに対して不満を持つことでしょう。経費計上にミスがあり結果的に余分に税金を支払うことになれば、何のために税理士に仕事を頼んだのか分からなくなります。
人として問題がない場合でも、税理士としての能力が十分でないときには問題を是正するための対処をすべきでしょう。
「対応の遅さ」も不満につながる要因です。
「依頼した書類作成をなかなか対応してくれない」「連絡がなかなか返ってこない」と困っている方もいるのではないでしょうか。対応の遅さが大きな問題にならないケースもあれば、自社の業務が停滞してしまうなどの大きな問題に発展するケースもあります。
スピード感にお悩みの場合も、解決に向けた取り組みを始めるべきです。
税理士は税のプロです。一般の方が理解していない深い税の知識を持ち、その知識を活かした具体的なアドバイスを出します。そのアドバイスの際、「なぜそうした方が良いの?」と疑問を持つこともあるかもしれません。
この疑問を投げかけたときに的確な答えが返ってこないと不信感を抱いてしまいます。例えアドバイスが的を射たものであっても「納得のいく説明をしてくれない」というのは不満につながります。
説明がうまくできるかどうかも税理士としての重要なスキルです。気持ちよく付き合いを続けるためにも、この問題は放置すべきではありません。
どれだけ良い税理士に出会えても、現実問題、費用の支払いができなければ依頼を続けることはできません。こうした「コストの高さ」に不満を持つこともあるでしょう。依頼当初より予想外に高コストになった場合には特に強く不満を抱くことになります。
そのため正式に依頼を決める前に、コストについてしっかりと話し合っておくなどの対策を講じる必要があります。
税理士としても仕事でアドバイスやサポートを行っていますので、報酬に見合った範囲で業務を遂行することになります。依頼を受けた範囲内で対応するのが基本です。しかし、依頼主としては依頼した内容に関連した積極的なアイデアも出してほしいと思うものです。
もし、税理士からの積極的な案の提示も受けたいのであれば、「必要最低限のことしか対応してくれないこと」に不満を抱くこともあるでしょう。コストとのバランスも重要になってきますが、自社では思いつかない節税対策の考案なども求めるのであれば、依頼時に税理士と話し合っておくようにしましょう。
近年は多種多様なクラウドサービスが登場し、これを導入する事業者も増えてきています。ITシステムの導入が進み、デジタル化推進に向けた法改正もなされています。
会計に関してもオンライン化は進んでおり、経理担当がリモート環境で仕事を行っている例も増えてきました。
こうしたITの活用について税理士からもアドバイスが欲しいと期待しているものの、「契約している税理士がITに疎いため、具体的な案がもらえない」と不満を抱くこともあります。
また、「電子データでのやり取りが可能な情報についても、紙で提出することを求められる」といった不満を持つこともあるでしょう。
複数の税理士が所属する税理士事務所、税理士法人の場合、自社を担当する税理士が変わることもあります。
担当の変更が頻繁に起こると情報の共有に余計な手間がかかりますし、施策内容に一貫性が保てなくなる可能性もあります。
不満の内容に合わせた解決方法を模索する必要がありますが、一般的には次の方法により解決を目指すことができます。
やはり不満を解消する上で重要なのは、当事者間でよく話し合うことです。一番状況を理解しているのは当事者である依頼主と税理士です。可能なら不満の内容を打ち明け、改善してほしいこと、求めていることを伝えましょう。
税理士としても、不満に思っていることを知らなければ改善すべきポイントが分かりません。指摘をすることで改善に向けて真摯に取り組んでくれるケースもあります。
コストに対する不満など、一定の事項については契約内容の見直しが必要です。再度交渉し、双方が納得いく条件のすり合わせを行いましょう。
税理士がこれに応じてくれないなら別の事務所に依頼を出すことも検討することになります。税理士から条件を提示されたとしても、無理にそれに従う必要はありません。対等な交渉の場ですので、納得できない条件は受け入れなくてもかまいません。その反面、事業者側からの要求もその通りに受け入れられるとは限りません。
態度が悪い、対応が遅いなどの不満があったとして、必ずしも一方的に相手方が悪いとは限りません。「なぜその問題が生じたのか」を考えてみましょう。その背景には自社の問題も絡んでいるかもしれません。
「税理士との窓口になっていた従業員の対応が悪かった」ことが原因で税理士も感情的になっていたかもしれません。「税理士に提出する書類に不備が多かった」ことが原因で税理士の対応も遅くなったのかもしれません。
原因の所在が自社にある可能性も考慮して問題解決に取り組みましょう。
同じ税理士に依頼を続けたのでは問題が解決できない場合は、思い切って税理士を変更しましょう。
新たな税理士を選ぶときは、「相場に見合ったコストであること」「自社の事業内容、業界に精通した税理士かどうか」「スキルや知識が十分であること」「円滑なコミュニケーションが取れる人であること」に着目します。
今後はデジタル化が進みますし、できればITにも強い税理士を選ぶと良いでしょう。
会社設立には、法的手続や書類作成、税金の申告など、多くの作業が必要です。これらの作業には専門的な知識が必要であり、間違いが許されません。そこで、税理士に会社設立を依頼することを検討してみましょう。
“税理士への依頼で得られるメリット”についてここで紹介していきますので、依頼検討にあたっての参考にしていただければと思います。
また、依頼時にネックとなるのが“税理士の依頼費用”ではないでしょうか。費用面についてもここで言及します。
会社設立では、発起人(起業者)は、多数の手続を行うことになります。単純作業で済むものもあれば、法令への配慮や高度な経営判断が必要になるものもあります。
発起人の方のみで、無理にすべての手続等に対応する必要はありません。むしろ特定の分野に特化した専門家も積極的に利用すべきです。
費用は発生しますが、今後の事業を成功に導くために専門家は重要な役割を果たします。
そんな専門家の1つが「税理士」です。
会社設立時に税理士を利用することのメリットを4つに大別すると、次のように分けられます。
1. 法的手続をスムーズに進められる
2. 税金・会計の知見に基づくアドバイスがもらえる
3. 会社設立の手間やミスを減らせる
4. 設立後の会計や税務申告などのサポートが受けられる
各メリットの詳細を以下で説明します。
会社設立は、出資の履行から設立登記など、多岐にわたる手続をこなしていく必要があります。
募集設立として、多数の投資家も設立に関与させる場合は、創立総会を開催するなど、より大変な作業となるでしょう。
税理士に会社設立を依頼すれば、これら手続にかかる書類の作成から提出の手続など、幅広い作業内容をスムーズにこなしてもらえます。
発起人の方は本業に集中することができ、事業をスムーズに軌道に乗せやすくなるでしょう。
会社設立は、事業をスタートする上で非常に重要な段階です。税理士に依頼することで、税金・会計に関する知見を持った専門家のアドバイスを受けることができます。
例えば「資本金の額の設定」や「決算期の設定」などは、会社の税負担にも影響を与え得る事項です。
資本金の大きさは法人税や住民税の税額に関わり、一定額を超えることで税額も増す傾向を示しています。そのため税負担の観点からは、不用意に大きな金額を設定すべきではないといえます。
ただ、資本金の額が大きいと対外的な信用に良い影響を与えることもありますし、何より許認可を取得するときの要件として資本金の額が見られることもあります。そのため節税のみならずさまざまな視点から資本金の設定を行う必要があります。
決算期の設定については税額に直接影響する事柄ではありませんが、キャッシュフローに影響を与えることがあります。繁忙期や閑散期などとの兼ね合いも考慮して設定する必要があるでしょう。
このように、会社設立時に検討すべき事項につき税理士の持つ専門知識を活用できるようになります。
会社設立手続は法令に則って進めていかなければなりません。
この点、会社設立の支援に実績を持つ税理士に依頼することで、ミスを減らすことができ、法令に抵触するリスクを避けることができます。
また、知識を持っていない方だと、一から手続内容を確認していかないといけません。しかし税理士に頼ることでその手間も大幅に削減することができます。
設立手続に重大なミスがあった場合、事業が開始できなくなることもあります。
会社が存在しないものとして扱われるリスクもありますし、悪質な場合には発起人に罰則が適用される可能性も出てきます。
会計や税務は、設立時にのみ配慮が必要なことではありません。むしろ設立後の会社にとってより重要な業務にもなります。
社内に経理を置くなどして最低限の業務に対応することは可能ですが、より高い精度、より高度な意思決定をするためにも、税理士の存在が欠かせません。
設立時点から税理士に依頼をしておけば、その税理士も設立された会社のことをよく知った状態でサポートを始めることができます。そのため初めて依頼する税理士に比べて、よりその会社に最適なアドバイスを行うことができるでしょう。
会社設立を税理士に依頼する場合、一般的に言われる報酬の相場は「5万円前後」です。
ただ、税理士に対して支払う費用だけで会社が設立できるわけではありません。
例えば定款に貼付する印紙代や認証の手数料でそれぞれ数万円が発生しますし、資本金の額に応じた登録免許税も発生します。
そのため設立手続に対して25万円以上は費用が発生します。
※合同会社の場合はもう少し低コストで設立可能
資本金の出資や設立手続に関する各種手数料に比べると、税理士に支払う費用はあまり大きくありません。ただ、依頼する仕事の範囲に応じて増額することになりますので、この点は留意しましょう。
とはいえ、手数料のように単に支出するだけでなく、支出した費用以上のメリットが期待できます。将来的にも決算で税理士に依頼をする場面などはやってきますし、設立段階で信頼できる税理士を探しておくことが推奨されます。
「○○法人」と名付けられている団体を目にすることも多いと思います。これは単に創業者が名付けた自由な名称ではなく、法律で定められた法人の種類を表していることがほとんどです。
ここでは、法人の分類がどのようになされているのか、また具体的な法人の種類としてどのようなものがあるのか説明していきますので、社会には様々な活動主体があることを理解していきましょう。
まず「法人」とは何かを整理しておきましょう。
法人とは、私たち一人ひとりのことである「自然人」と別に、法律上「人」として認められているものを指します。
法律上の人とはつまり、権利や義務の主体になれる存在かどうかということです。
つまり自然人のように目に見えている主体ではないものの、便宜上、人として扱うことが可能な存在なのです。
法人にも、存在目的・活動目的やどの法に基づくのかなど、いくつかの分類があります。
さらに各法人のジャンルにつき細かく法人の種類が分けられています。
まずは大きなジャンルから見ていきましょう。
いくつか分類する方法があるのですが、そのうちの1つは公の存在であるかどうかという観点に基づく「公法人」と「私法人」の分類です。主に公益目的で設立され、憲法や行政法といった公法の規律に直接の影響を受けるのが公法人です。それ以外の、私人により設立されるのが私法人です。
比較的身近な分類としては「営利法人」と「非営利法人」があります。営利を目的とするかどうかで分けられることもありますが、法人の活動により生じた利益をその構成員に分配するかどうかが特に重要です。その意味では、利益を得るために活動をしていたとしても、株式会社の株主に対する利益の配当のようなものがなされなければ営利とはいえません。
次いで、「社団法人」と「財団法人」も比較的耳にする機会が多い法人ではないでしょうか。イメージしづらいかもしれませんが、これは人が結合することによって生じた団体なのか、それとも財産の集合によって生じた団体なのかにより分類されます。前者の、人間が結合して構成される法人が社団法人。後者の、特定目的のために拠出された財産で構成される法人が財団法人です。
最後に、一般にあまり聞くことはないでしょうが、「内国法人」と「外国法人」という分類もあります。これは税務上だと設立されたのが国内かどうかという点が重視されますが、国内法に基づいて設立されたのか、それとも外国の法に基づいて設立されたのかという違いに着目して分類されることもあります。
それでは、具体的にどのような法人があるのか、紹介していきます。
一番メジャーなのは「株式会社」でしょう。
株式会社では会社の所有と経営が分離されています。会社の所有者となるのは社員の株主です。社員になる権利が株式として細分化され、その権利の譲渡を容易にすることで資金調達の幅を広げ、さらに社員が有限責任社員となることでより積極的な経済活動を可能にしています。
株式会社同様有限責任社員で構成され、ビジネスの主体としてもよく採用されているのが「合同会社」です。
ただし株式会社と異なり社員が経営も一体として行います。そのため社員同士の繋がりが強く、家族や身近な人で小規模の活動を行うのに向いています。
この出資と経営が一になっている会社を持分会社と呼ぶのですが、他にも「合名会社」や「合同会社」も含みます。合名会社は無限責任社員のみで構成され、合資会社は無限責任社員と有限責任社員の両方から構成されています。
その他にも多数の法人が存在しています。例えば以下は比較的主要な法人と言えます。
他にも、医療関係には「医療法人」「医療法人社団」「医療法人財団」。
士業関連では「弁護士法人」「行政書士法人」「税理士法人」「司法書士法人」。
教育関連では「国立大学法人」「公立大学法人」。
といったように、非常に多様な法人が日本では認められており、それぞれに細かく性質が異なっています。
各法人に適用されるルールは異なっていますので、できる活動内容や課税のされ方も法人の種類によって変わってきます。専門家に相談しつつ、適切な運営ができるように備えましょう。
会社設立をする流れ、手続きについては法律で定められています。どのような事業をするのか、どのようなメンバーで起業するのかは自由ですが、法人格を得て会社として活動をするのであれば、以下で紹介する設立手続を適法に進めなくてはなりません。
また、手続きを進める上で準備が必須のものもありますし、手続き後に提出が求められるものがあるなど、起業者の負担は大きいです。できるだけスムーズに進められるよう整理しましょう。
細かく挙げていくと非常に多様な手続きを説明しなければなりませんし、設立する会社によって具体的にすべきことが異なるケースも多いです。
そこでここでは、法律上求められている、基本的な手続きについて流れに沿って解説していきます。
発起人による「定款の作成」および当該定款に対する「公証人の認証」が必須です。
なお、発起人は簡単にいうと起業者のことであり、これを会社法上発起人として定義しています。
この発起人は、会社の基本原則・根源的方針となる定款を作るのですが、複数人の発起人がいる場合にはその全員で内容を決めなくてはなりません。作成した定款に対しては全員が署名または記名押印します。
そして、効力を生じさせるには公証人の認証を受ける必要があります。
なお、認証を受けた後でも、内容を変更できるケースがあります。
発起設立においては「変態設立事項という特定事項につき裁判所の変更決定があったとき」と「発行可能株式総数の定めに関すること」に限り、認証後から会社設立前の間に変更が可能です。
他方、募集設立に関してはこれらの事項に限らず、創立総会の決議を経ることで変更が可能です。
もちろん、設立後でも株主総会の特別決議を要しますが、変更自体は不可能ではありません。
定款では少なくとも「目的」や「商号」「本店所在地」「出資財産の価額」「発起人の情報」等を定めることになりますが、設立時発行株式の数や資本金額については原始定款にて定める必要はありません。定款の認証を受けてからでも設定可能です。
しかしながら設立時発行株式に関する事項の検討は欠かすことができません。
なぜなら、公開会社においては「発行可能株式総数に対する設立時発行株式総数の割合」に関して満たすべき水準が法定されているからです。設立する株式会社が公開会社であれば、発行可能株式総数の4分の1以上を設立の時点で発行しないといけないのです。
なお「発行可能株式総数」も原始定款にて定める必要はありませんが、設立までには定めなくてはなりません。
設立時発行株式について内容を決定すれば、続いて発起人による株式の引受けと出資の履行をしましょう。
この時点ではあくまで発起人による引受けと出資であり、投資家はまだ存在していない段階です。発起人にも出資が求められています。
続いて設立時取締役の選任を行います。
なお、ここからは設立の方法によって手続き内容が大きく変わってきます。
比較的シンプルな方法である「発起設立」であれば、発起人が誰にするのか決めれば良いです。
しかし投資家による出資を募る場合には「募集設立」として、設立時募集株式の募集から申込み、割当てを先に行わなければなりません。そこで、発起人が設立時募集株式に関する事項を決定し、募集を行います。これに対して引受人が登場すれば、発起人が引受人に対して割当てをし、その内容に応じた払込みをしてもらいます。
そして、ようやく設立時取締役の選任手続きを進められるようになります。この段階に至るともはや利害関係人は発起人に限られませんので、創立総会を開き、全員が関与した上で選任を行います。
最後に設立登記も必要です。
これにより法人格が与えられ、会社として成立します。発起設立でも、募集設立でも、株式会社でなくても必要な手続きです。
各種手続きを進める上で準備すべきものがあります。主に費用と書類、出資金です。
設立費用が用意できなければ設立できません。
定款の認証に要する費用、設立登記にかかる登録免許税、また検査役の調査を経た場合には検査役に対する報酬も必要です。
ただし、これらも莫大な費用を要するわけではありませんので大きな問題となることはないでしょう。
むしろ重要なのは、法令に則った取扱いをするということでしょう。実際には必須の設立費用に加え事務所の賃貸料や弁護士、司法書士、税理士等に支払う報酬なども発生しますので、設立費用は会社財産を害するおそれがあるものとして捉えられています。そこで、株主や債権者の利益を保護するため、定款に記載した上で検査役の調査を受けることが原則とされています。
しかし例外的に、定款の認証手数料や金融機関に支払う手数料、登録免許税などは定款に記載する必要がありません。
資本金の準備も必須です。
ただし従来定められていたような基準額は設定されておらず、低額でも設立は可能です。
しかしながら、許認可を得ようとする事業によっては、その制度上の資本金要件が設けられていることもあります。よって、少なくとも事業内容と照らし合わせた資本金設定が必要でしょう。
また資本金額は対外的な評価にも関わってきますので、特に債権者との関係性には配慮の下具体的な金額を決め、これを用意しておきましょう。
書類も多く用意しなければなりません。
例えば会社を成立させるために登記が必須過程とされていますが、登記をするには「登記申請書」の作成・提出が必要です。さらに登記申請書に対する添付書類もありますので、申請時には要チェックです。また、「登録免許税納付用台紙」として、収入印紙を貼付してこれも提出します。
他にも以下の必要書類があります。
株式会社など法人を設立すれば、その後税務署へ各種書類の届出も行わなければなりません。
必要に応じて「青色申告の承認申請書」や「棚卸資産の評価方法の届出書」「減価償却資産の償却方法の届出書」などを提出することになりますが、以下の届出書は必須ですので注意しましょう。
納税の義務を果たす前提として、会社を設立したことを税務署に知らせる役割を果たします。
なお、「設立登記をしてから2ヶ月以内」という提出期限が設けられていますので、期限を過ぎないようにしましょう。
法人設立届出書には「法人名」や「所在地」「納税地」「代表者名」「資本金額」「事業目的」「関与税理士」といった項目を記載していきます。
税金関連では法人設立届出書のほか、源泉所得税や消費税関係で必要書類が発生しますので、手続きに困ったときには税理士に相談すると良いでしょう。
会社を設立する際の重要な決定事項の一つに「資本金額の決定」があります。
この金額はどのように決定すべきかご存知でしょうか。実は設立する会社によって考慮すべきポイントは異なっており、特に慎重になるべきケースと比較的緩やかに考えても良いケースとがあります。
以下では、設立時の資本金額設定において着目すべきポイントについて解説していきます。
まず基本となるルールについて理解しておきましょう。
大前提として、会社にとって資本金の設定は必須です。登記事項でもありますし、会社設立を考えている方が、資本金については考えない、あるいは資本金は設定しないという選択肢は取り得ません。
ただ会社法にて、一般に「資本金額は〇〇円以上必要」などと定められているわけでもありません。そのため他のルールは無視して会社設立のみに着目した場合、資本金は1円でも良いと言えます(旧制度では原則として300万円以上の資本金が求められていた)。
なお、資本金が1円でも良いという言葉の意味は、厳密には「出資の最低額が1円」であるということです。設立に際して株主が払い込み・給付をした財産の額が資本金額とされる旨会社法第445条1項に規定されています。
(資本金の額及び準備金の額)
第四百四十五条 株式会社の資本金の額は、この法律に別段の定めがある場合を除き、設立又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とする。
上の通り基本的には何円にしても良いのですが、この金額が大きく影響を及ぼす事柄もあります。そこで、主に以下4つのポイントから考えていくと良いでしょう。
ポイントの1つであり、その中でも最も重要なのが「事業の許認可を得るための要件を満たせるかどうか」です。
事業の内容によっては法令上許認可を得ることが求められている分野があり、資本金額が一定以上なければならないケースがあります。
そのため許認可を要する事業を行う予定なのであれば、その要件に資本金が指定されていないかどうかをまずはチェックすべきです。
このポイントに関しては、他のポイントと異なり必ず考慮しないといけません。
例えば以下のように業種ごとの基準が設けられています。
法改正などにより変動する可能性がありますし、同じ業種の中でも細かく分類がなされ、それぞれに満たすべき資本金額が異なることもあります。そのため各許認可に対し事前に最新情報を確認しておくべきです。
設立後の事業内容によっては設備を備える必要がありますし、設備投資やその後の運転資金が多く必要である場合には、資金不足に陥らないようある程度の資本金を備えておく必要があります。
そこでこれら初期費用が大きいと予想される場合には、その分も見越した資本金額を設定した方が良いでしょう。
なお、その初期費用分すべてを資本金としてカバーする必要はありませんので、借入金なども併せて検討すると良いです。
また、それほど大きな金額ではありませんが、資本金は設立費用にも影響します。
例えば株式会社の設立費用としては、定款に貼付する印紙代や認証の手数料などが発生するほか、資本金の額に応じた登録免許税や株式払込事務取扱手数料なども発生します。
資本金は会社の基本情報としてWebサイト上でも掲載することが多く、取引先や一般の方も見る機会が多いです。
そのため、会社の見栄えや信用問題に関わる可能性があります。昔ほど資本金の額が信用と比例するわけではありませんが、極端に少ないと良くない印象を持つ人もいます。
また会社債権者にとっては、資本金の大きさが取引に際しての担保に近い形で機能することになるため、営業をスムーズにする上でも一種の指標になると考えられます。
とはいえ無理に資本金額を大きくする必要性はありませんし、後述の課税の問題なども生じるためバランスを考える必要があります。そこで同業者や同じ業界内での相場を参考にしましょう。
業界問わずよくある資本金の額としては「100万円」「300万円」「500万円」が挙げられます。運転資金が必要なく、単に法人格を得る目的で会社設立したというケースでは「10万円」に設定することも珍しくありません。
資本金の大きさによって課税の程度も変わります。
そのため節税効果も考慮して金額を決めると良いでしょう。
傾向としては資本金額が小さいほど税制上の優遇措置が受けられますので、許認可等の考慮をする必要がないのであれば、多くの優遇措置が適用される基準内で設定すると効果的です。
細かくは次項で説明しますが、節税の効果が大きく変わる境目は1,000万円です。「1,000万円未満かどうか」によっていくつかの課税内容が変わってきますので、節税の観点から言えば意味なく1,000万円に設定することは避けるべきでしょう。
資本金が影響する税金は「法人税」「消費税」「法人住民税の均等割」です。
法人税は課税所得に応じて決まるのですが、資本金が1億円以下の法人であれば、「課税所得800万円分まで軽減税率の適用」を受けることができます。
※資本金5億円以上の親会社を持ち、その100%子会社に対しては適用なし
詳しくはこちらを参照
また法人税に関連するものとして、交通費等の損金算入可否についても触れておきましょう。
ここで言う「交際費等」とは、交際費や接待費などの費用であって、「法人が取引先や仕入先その他事業上の関係性を有する者に贈答や接待、慰安、これらに類する行為をするために支出したもの」を意味します。
この交際費等についてどこまでを損金として算入できるのか、細かくルールが定められています。原則として全額が損金不算入の扱いを受けるのですが、資本金が1億円以下であれば、「交際費等800万円までを損金算入できる」という措置が取られています。
詳しくはこちらを参照
国税庁「No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算」
消費税に関しては、特例として、新設法人について資本金1,000万円であれば設立後2年間は免税されます。
なお、1年目上半期の売上が1,000万円を超える場合などには2年目から課税される可能性はあります。
詳しくはこちらを参照
国税庁「No.6503 基準期間がない法人の納税義務の免除の特例」
法人住民税は「法人税割」と「均等割」の2つから構成されています。
法人税割は、法人税額を基準に算定するもので、売上が大きい企業ほど課税額が大きくなる傾向にあります。
これに対し均等割は資本金等を基準に算定するもので、さらに「都道府県民税」と「市町村民税」の枠に分かれます。資本金や従業員数に応じて、下表のように段階的に納税額が決められています。
資本金等の額 | 都道府県民税 |
市町村民税 (従業者~50人) |
市町村民税
(従業者50人超) |
---|---|---|---|
~1,000万円 | 2万円 | 5万円 | 12万円 |
~1億円 | 5万円 | 13万円 | 15万円 |
~10億円 | 13万円 | 16万円 | 40万円 |
~50億円 | 54万円 | 41万円 | 175万円 |
50億円超 | 80万円 | 41万円 | 300万円 |
詳しくはこちらを参照
資本金は基本的に自由に決定しても良いのですが、節税や運転資金のことなども考慮して、バランス良く設定することが大事です。
また当然、許認可を得て事業をしようとしているのであれば最低基準をクリアしなければなりません。
さらに、取引先等が見たときに不安を抱くような極端に低い金額も避けた方が無難です。
会社設立にあたっての資本金の要件は撤廃され、今では信用を得るためにかつてほど重要なものとは捉えられていませんが、老舗企業や大企業との取引を始めようとするのであればある程度の金額は用意したほうが良いでしょう。
節税の効果を高めようと考えるのであれば、税理士に相談して、最も効果的な金額設定を考えていくことがおすすめです。
「個人事業主」とは、自然人である1人の人間を主体とした事業形態を指します。
これに対して「法人」とは、自然人という現実に存在する人間ではなく、手続を経て作られる法律上の人格のことを指します。
どちらもビジネスを遂行する主体ですが、コストや運営方法など、様々な差異があります。この記事で、個人事業主と法人には具体的にどのような違いがあるのかをまとめていきますので、事業立ち上げの参考にしていただければと思います。
法人と個人事業主、両者には開業段階から大きな違いがあります。
比較的立ち上げが簡単な個人事業主に対し、法人の場合には起業者がしないといけないことが多数に及びます。
まずは個人事業主の立ち上げについてです。
個人事業主の場合、税務署に対して開業届(厳密には「個人事業の開業・廃業等届出書」)を出せば、最低限の手続は終了します。
負担すべき費用もありません。開業届に当人の情報や事業内容など基本的な情報を記載し、開業から1ヶ月以内にこれを提出して「これから個人事業主として活動する」旨を税務署に伝えます。
ただし、青色申告で確定申告を行いたいなど、税法上の諸制度を活用する場合には下表のように届出を行う必要があります。
提出書類 | 提出先 | 提出期限 | |
---|---|---|---|
青色申告にする | 「所得税の青色申告承認申請書」 | 納税地の税務署 | 開業から2ヶ月以内
※1月1日~15日の開業なら3月15日まで |
青色事業専従者給与を支払う | 「青色事業専従者給与に関する届出書」 | ||
従業員に給与を支払う | 「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」 | 給与支払事務所等の所在地の税務署 | 給与支払事務所等を設けてから1ヶ月以内 |
その他詳しい情報についてはこちらも参照すると良いでしょう。
国税庁「個人で事業を始めたとき/法人を設立したとき」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/07_3.htm
法人の場合、「定款の作成」から「出資の履行」、そして「登記申請」などの手続を進めていなかくてはなりません。
株式会社を例に説明します。
まず発起人と呼ばれる起業者が全員で定款を作成することになります。定款は会社の根本原則であり、社名や本店の所在地、事業内容などを定めます。
発起人は1つ以上の株式を引き受けなければならず、各人出資の履行を行います。発起人だけが株式を引き受ける場合の設立手続は「発起設立」と呼ばれます。これに対して発起人以外の出資者を募る場合の設立手続は「募集設立」と呼ばれ、設立時株式の引受人を募集や引受人の出資の履行に係る手続なども発生します。
取締役などの役員を決めたあと、最後に登記申請が必要です。会社の存在を公示する制度であり、登記が完了することによって法人格は付与されます。
ざっと流れを示しましたが、各ステップでやるべきことはたくさんあります。個人事業主をスタートさせる場合に比べて大きな手間がかかるでしょう。
また、個人事業主が開業届を提出するのと同様に、法人も「法人設立届出書」を税務署に提出しなければなりません。提出期限は法人の設立後2ヶ月以内です。
その他、報酬や給与を支払う場合や青色申告で申告する場合、源泉所得税の納期の特例を受ける場合など、税法上の諸制度を活用するのであれば別途税務署に対し届出を行う必要があります。
詳しくはこちらを参照すると良いです。
国税庁「個人で事業を始めたとき/法人を設立したとき」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/07_3.htm
また、必要な手続が増える分、手数料等で設立費用の負担もかかります。
設立する会社形態にもよりますが、おおむね2,30万円ほどはかかると考えておく必要があります。
法人と個人事業主では、ランニングコストにも差が出てきます。
この差は、各々課税される税目や税率が異なっていること、経費として含められる費用の幅が異なっていることに由来します。
法人には「法人税」が課されますが、個人事業主は法人ではありませんし、事業から生じる利益は個人の収支に関わるため、「所得税」が課されます。
法人税の場合、資本金の額や所得によっても変わってきますが、最大税率が23.2%です。しかし所得税では累進課税制度が採用されており、所得が大きくなるほど適用される税率が高くなってしまいます。
最低税率は所得税の方が小さく、その他住民税との兼ね合いもあって、利益が小さなケースでは個人事業主として活動している方が税金に着目したときのランニングコストは小さくなります。
しかし利益が大きくなってくると所得税の税率が大きくなり、最大税率が小さい法人税の方がお得になってきます。そのため事業の規模が大きくなり売上や利益が相当に膨らんできたのなら、法人として活動した方がランニングコストを小さくできます。
住民税に関しても法人の方が最低額は大きいため、売上も利益も大して出ていない状況だと法人として活動する方が圧迫されてしまいます。
法人であっても個人事業主あっても、事業のために必要な費用は、基本的にすべて経費として計上できます。
家賃や水道光熱費、通信費、自動車代、ガソリン代、駐車場代、その他様々な費用が経費として計上できます。経費として計上できるということは売上から控除できる額が増えるため、課税所得を小さくできます。結果として納税額を低く抑えることに繋がるのです。
そのため同じ支出が生じているのなら、できるだけ経費計上できた方がランニングコストは下げられることになります。
この点、法人の方が有利とされています。
法人の方が広く経費に含めることができるからです。例えば個人事業主の場合、自身の収入を経費計上することはできません。これに対し法人だと給与所得として経費に計上させられます。賞与、退職金についても経費計上ができるため、仕組みを理解して上手く設計すれば大きな節税効果が得られるでしょう。
ただし事業に関連があるからといって何でもかんでも経費として計上していると税務署から指摘を受ける可能性があります。法令に抵触してはいけませんし、脱税の疑いをかけられないよう、節税対策を講ずるときは税理士に相談してから取り組むようにしましょう。
社会的な信用は個人事業主よりも法人の方があると考えられています。
個人事業主でも信用がないわけではありませんし、昨今フリーランスが増えており珍しい存在でもなくなっています。そのため業界や業種によってはあまり気にしなくても良いかもしれません。
とはいえ規模の大きな取引を行う場合や企業の重大な情報を取り扱う仕事の場合、社会的な信用の有無が取引成立に大きく影響してきます。
法人の場合厳格な手続を経て設立されていますし、事業が安定しているとの評価も受けやすいです。そのため比較的信用を獲得しやすく、大きな取引を始めるのに適しているといえるでしょう。金融機関からの融資も受けやすくなり、その資金により大きな事業もスタートさせやすくなります。
法人と個人事業主には、運営の方法にも大きな差があります。
個人事業主の場合、従業員がいることもありますが、意思決定は個人事業主が行います。自分の判断で、自分の好きなように決断して運営していくことが可能です。
これに対して法人の場合、意思決定をするにも所定の手続を行わなければならないなど、自由度の面で劣ります。個人事業主ほど迅速な意思決定をするのも難しくなります。
例えば株式会社だと取締役間で協議を行い、議事録を作成するなどの手間もかかります。より重大な決断をする場合には株主総会を開いて株主の同意を得ないといけません。
さらに、意思決定の影響を受けて定款の変更手続や登記申請の手続が必要になることもあります。
個人事業主だと国民年金に加入するケースが多いですが、法人だと厚生年金に加入します。厚生年金の保険料は国民年金の保険料より高いのが一般的ですが、その分将来の年金は多くなります。
個人事業主でも従業員を雇ったときには社会保険への加入をすることになりますが、常時5人に満たない人数しかいないときには加入が義務とはなりません。
しかし法人ではすべての役員および従業員に社会保険への加入が義務付けられています。
法人も個人事業主も、経理事務は発生します。
しかし記帳や税務申告、給与計算等に係る経理事務の負担は個人事業主の方が小さい傾向にあり、会計ソフトを利用して簡単に申告書が作成できることもあります。
これに対して法人に係る経理事務は複雑で、税理士に依頼して対応するケースが多いです。
税理士に依頼する事務の範囲が広いほど依頼費用も高くつきますが、その分事務の効率が向上し、本業に専念しやすくなります。また、日常的に会社の状況を把握してもらうことでより的確な税務上のアドバイスを受けることができますし、資金繰りやその他財務に係るアドバイスも受けられるようになり、高い費用対効果が期待できます。
所得税の額は、国民が自ら所得の内容を申告することで定まります。そしてその申告方法には青色申告と白色申告の2つがあります。同じ所得の大きさでも、選択した申告方法によって納付すべき所得税の額が変わることもあります。
ここではこの確定申告について言及し、2つの確定申告方法の違い、節税効果について解説していきます。
確定申告は、“1月1日~12月31日までの1年間の所得を申告し、この所得に課税される所得税を計算・精算するための手続”です。
日本では納税者自身が計算と申告をしなければなりませんので(申告納税制度)、待っていれば勝手に税務署から通知が届くという仕組みになっていません。
確定申告を行うべき方がその作業を行わないと、無申告により脱税になってしまいます。
計算対象になる所得の期間は上記の通りですが、申告期間は翌年の2月16日~3月15日です。終期である3月15日までに所得税の納付も済ませなければなりません。
この期間に間に合わない、納税しない、納付額が足りない、という場合にはペナルティを課されることもあります。
なお、確定申告をする方法として、①青色申告と②白色申告の2つがあります。
①は申告作業が大変になるもののその分大きな節税効果が得られる、②は申告作業が楽だが節税効果は小さい、という特徴を持ちます。
両者の詳細について、以下で説明していきます。
青色申告は、事業所得や不動産所得などがある、個人事業主・フリーランス等が主に選択している申告方法です。1年間の取引内容を詳しく記録するために帳簿を作成し、細かく所得に関わる情報を記していることが前提となります。
そこで作成すべき、保存すべき書類は増えますが、その分様々な税制上の優遇措置が受けられ、節税の効果を高めることができるという利点も持ちます。
青色申告として確定申告を行うためには、所定の公的な手続を行う必要があります。
1つは「開業届」の提出です。
もう1つは「青色申告承認申請書」の提出です。
いずれも税務署に対して提出します。
青色申告承認申請書の提出は、原則として、“申告対象となっている年の3月15日まで”に行わなければなりません。ただ、この時期以降に開業するケースもあるでしょう。この場合でも“開業から2ヶ月以内”に提出すれば問題ありません。
青色申告を考えている方が開業をするのであれば、開業届と一緒に青色申告承認申請書も作成して提出しておくと良いでしょう。
青色申告の場合、原則として「正規の簿記の原則」に従い記帳を行わなければなりません。
簡易簿記による記帳でも良いのですが、一般的には「複式簿記」による記帳を行います。複式簿記で行うことにより大きな節税効果が得られるようになるからです。
複式簿記は簡易簿記より記帳が複雑化し、多少の会計知識は必要となります。ただし、税理士に求められるレベルで知識を備えていないと記帳ができないというわけではありません。簿記2,3級程度の知識を持っていれば問題なく記帳できるでしょう。
会計ソフト内でも親切に記帳方法のフォローがされており、使い慣れれば効率的に記帳を行うことができるようになります。そのため記帳に関する知識を持っている方も、そうでない方も、会計ソフトを導入しておくことが推奨されます。
その上で、税理士に最終チェックを任せると安全です。
「経理担当がいない」「本業に集中したい」という方は、記帳作業から税理士に任せておけば面倒な作業に悩む必要もなくなります。
青色申告によらない確定申告は白色申告となります。
帳簿の作成や保存が簡素化され、会計に係る作業負担は小さくて済みます。ただし税制上の優遇措置が受けられないため、本格的に事業を営んでいる方が選択すべき申告方法とはいえません。
青色申告と異なり、白色申告をするために別途手続を行う必要はありません。
開業届も申請書類なども準備しなくて良いです。青色申告をするために必要な手続をしていない方はすべて自動的に白色申告となるからです。
白色申告では「単式簿記」で良く、簿記や会計の知識がなくても記帳に困ることはあまりありません。
単式簿記による記帳は一般的な家計簿に近い形で記載すれば十分で、1つ取引に対して、1つの勘定科目に絞り収支を記録すれば十分です。
収入の合計と支出の合計を見れば全体としての収支バランスが簡単に読み取れます。
ただし単式簿記では、現金の増減以外の詳しい財政状況までは把握できません。
上述の通り、青色申告の方が節税効果は大きいです。
この差を生む大きな要因は「青色申告特別控除」です。
“複式簿記でかつe-Taxによる電子申告とした場合、最大65万円の控除が適用できる”という仕組みになっています。
“e-Taxを利用しない場合でも、複式簿記で記帳しておけば55万円の控除が適用可能”です。
簡易簿記だと控除額が10万円にまで小さくなってしまいますので、青色申告であることの利点が活かしきれません。
ただ、ほかにも青色申告であることで得られる節税効果はたくさんあります。
例えば家族に対する給与を全額経費に計上できますし、最大3年間は赤字を繰越すこともできます。
さらに、減価償却に係る特例も利用できます。
白色申告だと、10万円以上する固定資産(PCや自動車など)に対し、使用可能な期間に対応した減価償却をしなければなりません。
これが青色申告なら、30万円未満の固定資産に限り、一括経費として計上することもできます。特定の年で経費を大きく計上して所得を抑えたい場合にはこの特例が役に立ちます。
その他、青色申告だからこそ適用可能な特例等を駆使すれば、課税所得を大きく下げることも不可能ではありません。具体的な節税のテクニックについては税理士に相談してみましょう。