後藤允良税理士事務所

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企業や事業者の経営を支援する補助金や助成金。しかし、両者には違いがあり、各制度によっても申請手続きや注意点などが異なります。

当記事では、補助金と助成金の基本的な違いを整理したうえで、申請から事後報告にいたるまでの重要ポイントを紹介していきます。

補助金と助成金の例と両者の違い

補助金の代表的な例としては、「ものづくり補助金」や「小規模事業者持続化補助金」があります。ものづくり補助金では中小企業の生産性向上のための設備投資を支援しており、数千万円単位での補助が行われ、小規模事業者持続化補助金では小規模事業者の販路開拓等を支援しており、数十万円~数百万円単位での補助が行われています。
補助金は主に経済産業省が管轄。「事業の成長や生産性向上」などを目的とする傾向にあり、審査もあって競争率が高く、公募期間が限定されていることも多いです。

これに対し助成金には「キャリアアップ助成金」などがあります。非正規雇用労働者の正社員化を促進するなど、中小企業における「労働環境改善」を目的とした助成金制度が多数設けられています。
管轄は主に厚生労働省。要件を満たせば受給できる可能性が高く、通年で申請可能なものが多いのも特徴です。しかし補助金に比べると金額の規模が小さい傾向にあります。

補助金活用時の注意点

ここからは補助金に焦点を当てて、実際に活用するにあたって押さえておきたい注意点を説明していきます。

情報収集と事前準備が大事

補助金を活用するにあたって、まず、自社の事業計画と補助金の趣旨が合致しているかどうかを十分に検討する必要があります。

例えば、ものづくり補助金を申請する場合、単なる設備更新ではなく、生産性向上や新製品開発につながるかどうかが重要です。
補助金情報は頻繁に更新されるため最新情報をチェックすることも欠かせません。経済産業省や中小企業庁のWebサイト、地域の商工会議所などを定期的にチェックし、自社に適した補助金を見つけることが大切です。

資金計画の立案

補助金は原則として後払い(精算払い)のため、事業実施に必要な資金を一時的に自己負担する必要があります。

例えば、1,000万円の設備投資に対して補助率1/2の補助金を利用する場合、まず1,000万円を全額支払い、後日500万円が補助金として支給される形になります。

そのため以下の点に留意してください。

実施期間と対象経費を厳守すること

補助金の対象となるのは、定められた実施期間内に支出した対象経費のみです。

例えば、「交付決定後から○ヶ月以内」などと定められていることがあるため、その期間中に事業を遂行する必要があります。そこでスケジュール管理を徹底することや、対象経費の範囲を事前に確認しておくこと(不明点は必ず問い合わせる)には十分注意してください。

不正受給の防止

当然のことですが、不正受給をしてはいけません。意図的に不正受給をしていなくても、誤った認識や処理に基づく申請も防がなくてはなりません。

そこで以下の点に特に注意が必要しましょう。

例えば設備投資の補助金を利用する際、実際には導入していない設備を導入したように偽装することは厳重な処罰の対象となります。

事後の報告と証拠書類の保管

補助金受給後も、適切な事業報告と証拠書類の保管が求められます。補助金制度の種類にもよりますが、受給が決まってから一定期間は事業報告書の提出が求められ、しばらくの間チェックが続くこともあります。

領収書や請求書などの証憑類も適切に保管し、経費等のお金の流れについて、一つひとつ客観的資料に基づき説明できるように備えておきましょう。

準備や手続きに大きな負担がかかる補助金ですが、専門家も活用しながら作業を進めていけば本業を圧迫せず効率的に進められます。また、補助金受給は実績にもなりますし、これから始めようとしている新たな取り組みがあるときは、「要件を満たす補助金制度はないだろうか」という視点を持つと良いでしょう。

補助金と助成金は、いずれも国や地方自治体などから支給される資金であって、返済が不要であるなど、事業者にとって効果的な資金調達方法の1つです。共通点も多いですが、厳密にいうと管轄省庁の違いや、財源、資金支給の目的なども違っています。その他にもさまざまな点で異なる傾向を持っています。

「補助金や助成金って何?」「補助金と助成金どんな違いがある?」と疑問を持つ方に向けてここではその違いを簡単にまとめました。

※以下で取り上げる違いは一般的な傾向であり、個々の制度によって異なる場合もあることにご留意ください。

制度の目的と管轄省庁が違う

補助金にも各制度によって異なる目的がありますが、全体の傾向としては地域経済の活性化や技術開発であるなど、「経済活性化」「産業振興」を目的としたものが多くなっています。
そこで管轄についても、日本の産業や経済の振興に関して所掌する経済産業省であるケースが多いです。

一方の助成金は、雇用の創出や労働環境の改善、人材育成であるなど、「労働関連の改善・向上」を目的としたものが多いです。
そこで管轄は、国民生活や健康に関すること、雇用に関して所掌する厚生労働省であるケースが多いです。

受給要件の内容と審査の厳しさが違う

受給要件の内容、審査の厳しさは、当然補助金や助成金の区別とは別に各制度によって異なっています。しかしながら、傾向としては補助金の方が厳しいとされています。一定の要件を満たすことはもちろん、そのうえで審査に通り採択されなければ資金を受給することはできません。また、実績報告が必要となるケースも多いです。

一方、助成金は所定の要件を満たせば受給できる可能性が高いです。なお、制度によっては補助金同様実績報告が必要となる点には注意しましょう。

支給額の規模や財源が違う

補助金の方が求められる取り組み内容の規模が大きい傾向にあり、その分受給できる額の規模も大きい傾向にあります。数百万円から億単位にまで達することもあり、研究開発や大規模な設備投資などを検討するときは使える補助金がないかと一考すると良いでしょう。
なお、補助金の場合は国の税収を主な財源としています。

これに対し助成金は、従業員の雇用や人材教育への取り組みなどに対して支給されることが多く、求められる取り組み内容の規模が補助金に比べて小さいです。これに伴い、支給される額も数十万円から数百万円程度と補助金に比べて低額な傾向にあります。
なお、助成金の場合は企業と労働者が負担する雇用保険料が主な財源となっています。

応募できる期間が違う

補助金だと実施が年1,2回程度で、特定の期間内に応募を受け付ける形で運用されているものが多いです。応募可能期間は数週間~数ヶ月程度で、各回での応募要項をよく確認しておく必要があります。

助成金については長期間、あるいは通年募集のものもあり、通年で受け付けているものについては所定の要件さえ満たすことができればいつでも申請ができます。ただし助成金にも予算の限度があるためその年度における申請受付が終了する可能性も考慮する必要があるでしょう。

補助金と助成金の例

最後に、補助金と助成金の例を簡単に紹介していきます。

《 補助金の例 》

《 助成金の例 》

ほかにも数多くの補助金や助成金があり、それぞれに受給額や要件なども異なっています。自社に適した制度を探すのにも苦労するかもしれませんが、そのような場合は専門家を頼り、ご相談いただければと思います。

税務調査は、税務署が事業者の申告内容を確認するために行う調査です。突然の通知に戸惑うかと思いますが、適切に準備して対応をすればスムーズに調査を終えることができます。

そのために大事なことを当記事では解説し、税務調査の流れから準備すべきことまで、事業者の方が知っておきたい情報をまとめていきます。

税務調査とは何か

税務調査とは「税務署が納税者の申告内容が正しいかどうかを確認するために行う調査」のことです。

調査の目的は「適正・公平な課税の実現」にあり、法人税や消費税、所得税などについて帳簿書類や伝票類を確認。適正な納税が行われているかを確認します。

税務調査の種類

税務署による調査には、大きく分けて①任意調査と②強制調査の2種類があります。

多くの場合は①により実施され、比較的簡易な書面調査で済むこともあれば、実際に事業者にやってきて行う「実地調査」が行われることもあります。

一方の②は「犯則調査」とも呼ばれ、重大な脱税の疑いがある場合などに実施される特殊な税務調査です。証拠資料の隠匿などを防ぐため事前通知なしに調査が入るのが大きな特徴です。

調査対象となる理由

すべての事業者が毎年税務調査を受けるわけではありません。数年に一度、あるいはそれ以上の期間調査を受けないこともあります。

ではどのような場合に調査の対象となるのでしょうか。主な理由として、以下のようなものを挙げられます。

ただし、これらはあくまでも一般的な例であり、これら以外の理由で調査対象となることもあります。また、定期的な調査の一環として選定されることもあるため、調査対象となった時点ですでに申告ミスや不正についての強い疑いがかけられているとは限りません。

税務調査の流れ

税務調査は通常、事前通知から始まり、実地調査を経て、調査結果の説明を受けて終了となります。それぞれの段階で適切な対応が求められますので、流れを把握しておくことが重要です。

事前通知と日程調整

税務調査は原則として事前通知制が採用されています。

税務署から連絡を受け、調査の対象税目や対象期間、調査の概要、必要な書類、調査日時などが伝えられます。基本的には書面で通知されますが、場合によっては電話で連絡を受けることもあります。

通知の日から数日後など、1週間を空けず調査が開始されることは通常ありません。ただ、指定されたのが都合の悪い日なら合理的な理由(決算期や繁忙期と重なる等)を説明して変更を申し出ることは可能です。

調査当日の進め方

調査当日は、最初に調査官による身分証の提示と調査の概要説明が行われます。その後、帳簿書類の確認や現金の実査、在庫の確認などが実施されます。

調査では、「代表者等へのヒアリング」「総勘定元帳、仕訳帳、請求書、領収書などの確認」「現金残高の確認」「在庫や固定資産の確認」などが行われ、1日で終わることもあれば数日間に及ぶこともあります。

調査終了後の手続き

調査の結果、申告内容に問題がなければその旨が最後に説明され、調査は終了となります。

一方、修正すべき点が見つかった場合は、調査官から具体的な内容の説明があり、修正申告や更正の請求などの手続きを始めることになります。

なお、調査結果に不服がある場合は不服申し立ての手続きをとることも可能です。

準備すべき書類と資料

税務調査のために準備すべき書類や資料は多岐にわたります。そのうち一般的なものを下表にまとめます。

準備書類の分類 具体的な準備書類の例
申告書関連 法人税申告書
消費税申告書
決算書
帳簿 総勘定元帳
仕訳帳
現金出納帳
売掛帳、買掛帳
固定資産台帳
証憑類 領収書
請求書
納品書
注文書
契約書
金融関連 預金通帳
当座預金照合表
借入金の返済予定表
資産関連 在庫表
固定資産の購入・売却に関する資料
人事関連 給与台帳
源泉徴収簿
扶養控除等申告書
退職所得の受給に関する申告書
その他 登記簿謄本
定款
株主総会議事録
取締役会議事録
旅費精算書
稟議書
各種規程(就業規則など)

これらの書類は通常、過去3年分を準備する必要があります。

税務調査への対応の注意点

税務調査において重要なのは、調査に対し誠実に対応することです。不正や隠ぺいがないのならそれほど身構える必要はありません。調査がスムーズに進むよう、以下の点に注意して対応しましょう。

調査官とのコミュニケーション

調査官に対し威圧的な態度を取るべきではありません。また、過度に緊張する必要もありませんが、以下の点には注意しましょう。

対応に不安がある場合には、税理士に立ち会ってもらうことも可能です。普段から会社の申告を任せている税理士がいるなら適切な受け答えができるようになるでしょう。

修正申告を求められた場合について

調査の結果、申告内容に誤りが見つかり、修正申告を求められることがあります。

このとき、指摘された内容をよく確認して不明な点があるなら説明を求めましょう。金額の算定根拠について十分な説明を受け、何が誤りだったのか、どのように修正することを求めているのか、よく確認しておくべきです。

修正申告に応じるとしても、不明瞭な点が少しでもあるならその場での即答は避け、必要に応じて社内での検討や税理士への相談時間を確保することをお勧めします。指摘内容が複雑であったり金額が大きかったりする場合は特に慎重な判断が必要です。

企業が活動を続ける中で、税務書類の作成は避けて通れない重要な業務です。

具体的な業務内容は企業の活動内容や規模によっても異なりますが、当記事では多くの企業に関わる主な税務書類を取り上げています。また、税務書類作成につながる実務に関してもご紹介します。

主な税務書類

税務書類にも多くの分類があります。例えば税務署に提出することが求められている各種申請書や届出書、従業員からの源泉徴収について記載した源泉徴収票、日々の取引を記載した帳簿書類、そしてこれらの業務の集大成ともいえる決算書や税務申告書などです。

各種税務書類について概要を掴んでおきましょう。

源泉徴収票

「源泉徴収票」とは、従業員の給与から源泉徴収した税額などを記載した書類のことです。

毎年、12月に行う年末調整が終わってから、1月ころには作成を行います。その際は、まず年間の給与支払額と源泉徴収税額を集計。そして年末調整の結果を反映し、所定の様式に従って記入を進めていきます。

各種申請書・届出書

税務署に何かを申請したり、届け出たりする場合に提出する書類もたくさんあります。そのすべてが義務として課されているわけではなく、任意で提出するものもたくさんあります。

例えば「青色申告承認申請書」は青色申告を行うための申請書ですが、すべての企業に提出が義務付けられているわけではありません。
ただし、青色申告による税務上の特典を受けるためにもできるだけ申請しておきたい手続きでもあります。

このように、任意ではあるものの恩恵を受けるため多くの企業が手続きを行っているケースもありますのでご留意ください。あらかじめ申請・届出をしておいた方が良いかものがあるかどうか、税理士とも相談しながら検討すると良いでしょう。

帳簿書類

収入や支出などを記録するための「帳簿書類」も重要です。

例えば「仕訳帳(取引を仕訳して記録する帳簿)」や「総勘定元帳(仕訳帳を勘定科目ごとに集計した帳簿)」が代表的で、さらに「補助簿(売上帳、仕入帳など特定の取引を記録するための帳簿)」も通常作成することになります。

これらの書類は税務調査の際に提示を求められることもありますし、決算書作成の基礎となる資料でもあるため、正確に作成し、適切に保管しておくことが大事です。

決算書

事業年度ごとに経営状態や財務状況をまとめた「決算書」も特に重要な書類です。以下にその種類をまとめます。

主な決算書
損益計算書 一定期間(通常1年間)における企業の経営成績を表す。
収益、費用、そして最終的な利益(または損失)を具体的な金額で示す。
貸借対照表 特定の時点(決算日)における企業の財政状態を表す。
企業が保有する資産、企業が負っている負債、そして純資産の3つの要素から示す。
株主資本等変動計算書 一定期間における株主資本の変動状況を表す。
企業の資本金、資本剰余金、利益剰余金などから構成され、期首~期末にかけて各要素がどのように増減したのかを示す。
キャッシュフロー計算書 一定期間における企業の現金・預金等の収入と支出を表す。
資金の流れを把握し、財務状態の安定性を分析するために役立つ。

税務申告書

税務書類としてもっとも重要ともいえるものが「税務申告書」です。

例えば法人税申告書(個人の場合なら確定申告書)や消費税申告書など、申告制度を採用している各種税について、納めるべき税額を計算してまとめた書類が該当します。

法人税に関しては事業年度終了翌日から2ヶ月以内に申告しないといけないため、3月決算の企業なら5月末までに法人税申告書を作成し、提出しないといけません。この業務の基本的な流れは次のとおりです。

  1. 年間の収益と費用を集計する
  2. 決算書(貸借対照表、損益計算書等)を作成する
  3. 税務調整を行い、課税所得を算出する
  4. 申告書様式に従って必要事項を記入していく
  5. 申告と併せて法人税を納める

税務書類作成に関わる税務・経理業務

税務書類、とりわけ決算書や申告書を作成するために重要なのは日々の仕訳です。そしてこの日次業務を一定期間おきに整理し(月次業務)、最後に年間の情報を整理していきます(年次業務)。

日次業務

日々の取引の仕訳、現金・預金の管理など、これら「日次業務」はのちの税務書類作成の基礎となりますので丁寧に記録していくことが重要となります。

大量の仕訳を要する企業だとスピードが求められることもあるかもしれませんが、誤った記録をしてしまうとやり直しの作業が発生してしまいますし、税法に違反してしまうケースもあります。そのため正確さが求められる業務といえるでしょう。

また、税法の改正も頻繁に行われているため、最新情報のチェックも欠かせません。

月次業務

日次業務を積み重ね、「月次業務」として月次決算を実施します。法律上の義務ではありませんし、実際これを行っていない企業もたくさんいます。

活動の規模が大きくない、単純な処理が多い、といった場合には無理に行う必要もないでしょう。しかし月次業務を行っていると定期的に振り返りミスにも気づきやすくなりますので、決算期の負担を軽くすることができます。

年次業務

年に1度の決算や申告・納付などが「年次業務」です。

先に決算書類を作成しましょう。そしてこれをもとに税務申告書を作成していきます。ただし企業会計上の処理がそのまま税務会計上の処理に当てはめられるとは限りません。
例えば企業会計でいう「費用」と税務上の「損金」には若干の差があるため、この調整も行う必要があるのです。

会計ソフトを使った実務の流れ

昨今の経理・税務業務は会計ソフトを使って進めるのが一般的です。これを使えばすべての帳簿書類を一つひとつ作成していく必要はありませんし、月次レポートや決算書の作成なども大半は自動作成されます。

以下に、会計ソフトを使用した場合の業務の流れを示します。

日次業務 取引データを、会計ソフトを使って入力していく。
領収書やレシートなどをスキャンし、自動で情報を読み取り仕訳までしてくれる機能を搭載しているケースもある。
オンラインバンキングと連携し、銀行取引に関しても自動で取り込む機能を活用するとより効率的。
月次業務 会計ソフト上で月次決算書を自動生成。銀行口座や売掛金、買掛金の残高を確認して会計ソフト上の数値と一致しているかを確認する。
年次業務 会計ソフト上で各種決算書を自動生成。税務調整を行い、課税所得を算出する。
e-Taxとの連携で、作成した申告書を電子的に提出する。

会計ソフトを効果的に活用することで業務効率は大幅に向上しますし、ペーパーレスやリモートワーク導入にも大きく貢献します。

会社は事業で利益を出すだけではなく、取引の内容やお金の流れについて正確に把握しないといけません。その観点から大切な概念が「会計処理」です。当記事では会計処理という言葉が指す意味や業務内容、業務として進める際に知っておくべき原則などを解説していきます。

会計処理の意味

会社は経営理念の達成やその報告を行うため、日々の活動に関して記録を残さないといけません。適切な経営判断を下すためにもこれまでの活動内容を記録し、これを分析できる状態にしておくことが大切です。

そこで「取引」という活動内容から生じる「利益」等を具体的にまとめていきます。金額という形でこれを表すのですが、そのための処理が「仕訳」です。仕訳を行うことでこれまでの取引結果を整理し、その記録を、経営判断を下すためや自社の財務状況を説明するために活用します。

こうしてお金の流れを帳簿に記録していく仕訳、それに附随する分析等を「会計処理」と呼んだりもします。ただし厳密な定義はありませんし、使われるシーンによっては会計処理に含まれる範囲が違うこともある点は留意しておきましょう。

なお、会計処理には次の2種類があると考えられています。

「会計処理」の種類
管理会計 企業の経営状況を把握し、経営判断を支援するための内部的な会計のこと。
どの商品やサービスが利益を生み出しているのか分析したり、コスト削減が可能な分野の特定をしたり、業績予測や経営リスクの評価を行うための会計処理が管理会計にあたる。
財務会計 企業の財政状態や経営成果について、株主や取引先などの外部へ公表することを想定した会計。
貸借対照表や損益計算書、キャッシュフロー計算書の作成などに係る会計処理が財務会計にあたる。

経理との違い

「会計処理」と似た言葉に「経理」があります。

同じようなニュアンスで使われることもあり、実際意味合いが大きくかけ離れた言葉ではありません。

ただ、一般的には「経理」に含まれる業務範囲の方が広いと考えられます。入出金の管理や請求書の発行など、仕訳以外のさまざまな業務も「経理」には含まれています。

業務の内容

「会計処理」の業務内容としては、次のような例が挙げられます。

財務諸表の作成、そして税の申告などを最終的に行う必要があるところ、年に一度の業務のみで決算まで行うのは困難です。日常業務、月次業務を繰り返し進めておかないと業務量が追い付きません。また、自社の状況を把握して意思決定に反映させるためにも期中での会計処理が欠かせません。

会計処理の基本的な考え方

会計処理のやり方は、会計基準としてルール化されています。その基本となる考え方は「企業会計原則」と呼ばれ、次の3つの原則から構成されています。

➀ 一般原則
② 損益計算書原則
③ 貸借対照表原則

このうちの一般原則は、さらに次に掲げる7つの原則から成り立っており、経理業務における重要な指標として考えられています。

真実性の原則 企業の財政状態が真実の報告であることを要請する原則。
正規の簿記の原則 すべての取引に関して正確な会計帳簿を作成することを要請する原則。
資本取引・損益取引区分の原則 資本取引と損益取引を混同してしまうことのないよう、これらを明瞭に区別することを要請する原則。
明瞭性の原則 一定のルールに準拠して作成し、財務諸表を明瞭に表示することを要請する原則。
継続性の原則 正当な理由なく処理方法を変更せず、同じ方法を継続することを要請する原則。
保守主義の原則 不利な影響を及ぼし得る取引に関して、慎重に会計処理を行うことを要請する原則。
単一性の原則 裏帳簿などを作成せず、財務諸表の元となる会計帳簿は1つであることを要請する原則。

会計処理の実情・課題

会計処理を効率的・効果的に進められている企業もいれば、なかなか上手くいっていない企業も存在します。

よくある問題としては「デジタル化ができておらず、業務効率が低い」「処理方法が属人化してしまっており、特定の人物でなければスムーズに業務が回らない」といったものです。そしてこうした現状に現場も気が付いていながら、目の前の業務に追われて改善に向けた取り組みができていないケースも多いです。

会計処理に関わる体制の改革ができている企業とそうでない企業とでは大きな差が生まれてしまいますし、その影響が企業全体の競争力に表れる可能性もあります。

これからの会計処理に必要なこと

「DX化」という言葉もビジネスでよく使われるようになっていますが、その前段階として、まずは会計処理のデジタル化を進めなくてはなりません。具体的には次のような施策に取り組むと良いでしょう。

紙を使っていたのでは情報共有、データの利活用が進みません。まずは会計ソフトを導入し、パソコン上で処理を進められる基盤を整えましょう。そうするとペーパーレス、キャッシュレスも進めやすくなります。初めは体制構築に時間・コストがかかるかもしれませんが、その負担が将来的には利益となってかえってくるはずです。

フォーマットの統一に関してもそうです。社内で使う各種書類の様式がバラバラだと、書類作成に毎度時間がかかりすぎてしまいますし、チェックにも手間がかかります。導入した会計ソフトや業務システム、あるいは別のクラウドサービスなどでもかまいませんが、フォーマットを統一することも大事です。
そして書類の管理方法も統一し、一元管理できる体制を整えましょう。

「会計処理の方法」や「体制の改善」にお悩みの方は税理士もご活用ください。顧問税理士がつくことで仕訳などの業務を任せることもできますし、システムの導入に関してのアドバイスを求めることもできます。

創業計画書は、事業を立ち上げるときに「どんな事業をどのように進めていくのか」をまとめた資料です。主に創業融資を受けるために作成をすることになるでしょう。

ここで作成するときの手順、重要なポイントや準備物について説明していますので、創業融資を受けるのであれば要点を押さえて良い創業計画書を作れるように備えておきましょう。

創業計画書の作成手順

創業計画書を作成するときは、まず全体像を把握し、創業動機や事業のコンセプトを言語化できるようにしておきましょう。その上で事業の具体的内容や資金計画のこと、売上の見通しなどを希望的観測とならないよう、理由や根拠とともに記載していきます。

概要の把握

いきなり計画書の中身を作り出すのはハードルが高いです。まずは「どんな情報をまとめる必要があるのか」を理解しておきましょう。

基本的に決まったフォーマットを利用する必要はなく、各社好きなように書いていけば良いのですが、日本政策金融公庫が公開している創業計画書のフォーマットを参考にすると次のようにまとめられます。

創業動機・事業コンセプトを考える

創業動機は、創業計画書の冒頭に記載するため、審査を行う方が最初に目を通す箇所です。

「成り行きで」「たまたま思いついた」ではなく、創業を決意するに至った経緯に納得がいく書き方をした方が読み手としても良い印象を持ちやすいです。

また、創業をするに至った理由が共感できるものであったり、事業の必要性を感じさせるものであったりすると良いかもしれません。その上で、動機との整合性を考えつつ事業コンセプトを明確にしておきましょう。

事業のコンセプトを自分でもよく理解し、言語化できていると、そこから具体的な計画の内容も立てやすくなります。

創業者の経歴を記載

事業内容や詳細な資金計画等ももちろん重要ですが、それらの情報に説得力を持たせるため、創業者の経歴の書き方にも工夫が必要です。

同じ内容でも、過去に十分な実績を持っている方とそうでない方とでは印象に差が生まれてしまいます。そのため淡々と過去の経歴を書くだけではなく、事業の成功確率が高いと思わせるような書き方をすることが大事です。

ここでアピールすべきポイントは次の情報です。

勤務していた会社名を記載するだけでなく、「〇〇~〇〇まで、〇〇の業務にあたっていて、〇〇という目標を達成した。〇〇という役職に就いていた。」など、創業に関連する能力があることを端的に書き記しましょう。

商品・サービスや集客方法などを具体的に記載

次に、「事業者として何を提供するのか」「どのように提供するのか」「どうやって競合に勝つつもりなのか」を具体的に検討し、記載していきます。

そのとき商品やサービスのジャンルを伝えるだけでなく、実際にその事業者がどんなことをしようとしているのかがイメージできるよう、具体化します。

また、他社との差別化も重要です。

多くの場合、競合他社が存在していると思われるため、その他社とは何が違うのか、すでに競合がいる中なぜ自社が選ばれるのかを記載します。
「他社より技術的に優れている」「これまでになかったアイデアがある」「需要に対して供給がまだまだ不足している」など理由はいろいろ考えられます。しかし、いずれにしろ根拠をもって説明できることが重要です。

集客の方法も明確化し、仕入先等も確保した上で記載していきましょう。

現実的な資金計画を立てる

「必要資金とその調達方法」の記載は創業計画書の中でもよくチェックされる重要箇所です。

そこで次のポイントを押さえて検討・記載を進めていきましょう。

店舗・工場・機械・車両等の設備資金、仕入費・広告宣伝費・人件費などの運転資金については、根拠のない数値を記載すべきではありません。
これから始めようとする事業内容と照らし合わせて、何をどれだけ備える必要があるのかを具体的に検討していく必要があります。その上で見積もりなども行い、現実に発生する金額にできるだけ近づける必要があります。これは創業融資を成功させるためだけでなく、事業を失敗させないためにもとても重要なことです。甘い見積もりで事業を始めてしまい想定以上の資金が必要になると、事業を継続することができずすぐに閉業することになるかもしれません。

創業融資の観点からは「自己資金割合」も要チェックです。事業内容にもよりますが、一般的には必要資金の3割ほどは自己資金で用意できていることが求められます。
日本政策金融公庫の創業融資制度においても、少なくとも1割以上が自己資金で用意できていることが要件とされています。

根拠のある数値で売上や利益の見通しを示す

売上高や売上原価、人件費等の経費、そして利益の大きさを記載することになりますが、それぞれの数値は根拠のあるものでなくてはなりません。

そこで何の根拠も示さず「売上は月に〇〇万円、経費はおよそ〇〇万円になる予定だから、利益は〇〇万円になるはず。」といった記載をしてしまうと、その値が正確なものであったとしても良い印象は持たれません。
一方、同じ見通しであっても「なぜその金額になるのか」を読み手に伝えられると創業計画書の内容に説得力が持たせられます。

創業融資に向けての必要書類

創業融資を申し込む際、金融機関からいくつか書類の提出を求められます。

「創業計画書」や「本人確認書類」、「登記簿謄本」など提出するように言われた書類については必ず準備しましょう。

その上で、創業計画書を補足する形で「収支計画書」や「資金繰り計画書」「創業者の経歴書」「市場調査に関する資料」なども用意できると良いです。

創業計画書の中で情報が完結できれば別途用意する必要はありませんが、網羅的に記載したのでは情報が多すぎて創業計画書が見にくくなる可能性もあります。そのような場合に添付書類としてこれらの書類を備えておきます。
ただし、複数の資料を用意するときはそれぞれの整合性に十分注意しましょう。

日本政策金融公庫は政府系の金融機関で、事業者にとっては資金調達先候補の1つとなります。民間の金融機関にはあまり見られない特徴・メリットがあることから、「融資を受けるのが難しい」と悩んでいる事業者にも利用がおすすめできます。ここではそのメリットについて解説をしています。

日本政策金融公庫の概要

「日本政策金融公庫」は株式会社であり行政とは異なりますが、政府による出資が100%を占めているため「政府系の金融機関」と表現されることもあります。

同公庫が設立された背景も“経済の発展”や“国民生活の安定”にあり、事業内容も次の3つから構成されています。

業務種別 業務内容
国民生活事業 国民一般向けの事業
・小口の融資
・創業支援やソーシャルビジネス支援
・教育資金の貸付 など
農林水産事業 農林水産向けの事業
・農林水産業の担い手を育てるための融資
・加工流通分野に向けた融資
・コンサルティングなどによる支援 など
中小企業事業 中小企業向けの事業
・新規事業や事業再生に向けた支援
・長期事業のための融資
・経営課題解決に向けたサポート など

最大のメリットは「資金調達のしやすさ」

日本政策金融公庫の展開する事業を活用することのメリットは、ざっくり言うと「資金調達がしやすい」という点にあります。

同公庫の融資に次の特徴があることがその理由です。

創業融資を成功させやすい

融資は日本全国さまざまな金融機関で行われています。それぞれに融資条件や審査の厳しさは異なりますが、審査では基本的には借主の返済能力やこれまでの実績などが評価されます。

すでに長く事業活動を続けており売上・利益を出し続けてきた事業者であれば融資も利用しやすいですが、創業段階でまだ十分な実績を積めていない事業者はなかなか審査のときに信用を得るのが難しいという実情があります。

しかし、同公庫であれば創業間もない事業者でも比較的融資が利用しやすいです。審査の基準はどの金融機関も開示していないため、審査の通りやすさの程度を具体的に示すことはできませんが、同公庫が創業に取り組む人や小規模事業者向けの資金調達に力を入れていることは確かです。

担保や保証人なしで融資を受けることもできる

融資による資金調達で問題になりやすいポイントの1つが「担保や保証人が必要になる」という点です。

民間の金融機関でも必須とは限りませんが、十分な実績がない場合など返済能力に不安があると思われるような場面だと、担保や保証人を求められることがあります。これは経営者にとって大きなリスクであり、心理的に、攻めた経営戦略も立てづらくなってしまいます。

また、事業が上手くいかなかったときに法人が破産するだけでなく、代表者個人も自己破産に追い込まれるケースがあります。

近年はこうした問題を是正するための動きも見られますが、同公庫であれば担保や保証人なく受けられる仕組みも用意されており、経営者も安心して資金調達を進めやすくなっています。

返済条件が比較的優しい

貸主としては、融資に際して利益が発生しないとやる意味がありません。そこで金利が設定され、元本に対応して返済すべき金額が一定割合上乗せされます。他にも、返済期間や据置期間(返済開始までの猶予期間)などの返済条件が初めに定められます。

この条件に関しても同公庫は比較的優しく、民間の金融機関より「低い金利を設定してもらいやすい」「返済期間や据置期間を長く設定してもらいやすい」などのメリットを持ちます。返済期間に関しては長く定めることでかえって総返済額が増えることもありますので注意が必要ですが、適切に条件を定めることで、資金繰りの負担を軽減しつつ融資を受けることもできるでしょう。

新創業融資制度でさらに条件緩和

日本政策金融公庫ではさまざまな融資制度が用意されており、創業段階あるいは創業から間もない事業者の場合、そこに併用する形で「新創業融資制度」を活用するとより融資条件を緩和することができます。

新創業融資制度の大きな利点は、原則として「無担保」かつ「無保証人」であることです。また、一般的には必要資金のうち30%ほどは自己資金が必要とされるところ、同制度においては「自己資金割合10%」を確保していれば利用条件を1つ満たすことができます。

そのため創業段階の事業者は利用を検討してみると良いでしょう。なお、融資限度額のことなどいくつか条件や制約があるため注意が必要です。

《 新創業融資制度の注意点 》

日本政策金融公庫の利用が向いている事業者

以上のメリット・特徴を踏まえると、日本政策金融公庫の利用が向いている事業者は以下のようにまとめることができるでしょう。

金融機関それぞれに特徴があり、良し悪し、向いている事業者・向いていない事業者、などには違いがあります。民間の金融機関からの資金調達が上手くいきそうにないときは、同公庫の事業内容もチェックしてみると良いでしょう。また、資金調達のサポートに取り組む専門家を活用すれば手続もよりスムーズになります。

経理業務1年間の総まとめが「決算」です。自社の財産状況、利益の状況などをまとめるだけでなく、貸借対照表や損益計算書には役員や株主、さらには銀行や一般投資家などさまざまな利害関係者が注目しています。
これらの書類を作成するとても重要な業務について、大まかな流れやスケジュールをここで紹介し、業務を遂行するうえで重要なポイントについても解説していきます。

決算とは

1年間処理してきた取引を集計し、会社の経営成績や財政状況をまとめていく作業が決算です。

具体的には「貸借対照表」と「損益計算書」などの決算書を作成していくことになります。※ほかには、「株主資本等変動計算書」「キャッシュフロー計算書」などの決算書もある。

決算の目的

この決算書を作成する目的は、第一に「株主への報告」にあります。

同族経営など小規模の会社であれば株主が経営者を兼ねていることも多く、株主兼経営者の方であれば内情をよく知っていますのであまり報告として行う必要性はないでしょう。しかし、外部から直接経営には参画しない株主が加わることもあり、そのような内情をあまり知らない株主からすると、決算書は会社の状況を把握する大事なツールとして機能しているのです。

また、会社と取引を行う他社や銀行なども決算書をチェックすることがあります。大きな契約を交わすときは利害を共にしますので、倒産などのリスクを受けないよう決算書を見て会社状況を調べておくのです。

決算業務の流れ

決算といっても普段の処理と独立した業務ではありません。結局は日々の仕訳の積み重ねにより決算書が完成に近づいていきますので、①日々の仕訳、②月次決算、③決算整理、という流れで決算書が作成されます。

なお、今では会計ソフトを利用するのが一般的ですので、一つひとつの書類をすべて作成していく手間は発生しません。毎日の仕訳を行うことで当月における試算表まで自動的に作成されていきます。

決算月からのスケジュール

もし決算日が3月31日とすれば、決算業務のスケジュールはおおむね次のようにまとめることができます。

※1 減価償却、経過勘定の計上、売上原価の算定、引当金の計上 などを行う。
※2 原則として決算日から2ヶ月以内に行う。

業務のポイント

決算業務に取り組むときは、以下のポイントを押さえておくと良いでしょう。

また、決算業務は税務申告と密接に関係しています。決算書の内容は税務申告の基礎となりますし、税理士とも連携して税務上の注意点や節税対策などを確認しておくと良いです。

効率的に決算業務を進める方法

決算業務を効率的に進めるうえで重要なことは、次のようにまとめられます。

決算業務を効率化するために大事なこと
業務フローの標準化やマニュアル作成 業務フローを標準化し、各ステップでどの担当者が・何を・いつまでにやらないといけないのかを明確にする。これにより作業の重複や漏れを防ぎ、効率的な連携を図る。
また、マニュアルの作成など形に残しておくことで担当者の異動や新人の参加にも対応しやすくなる。
領収書などの電子化 請求書や領収書などの証憑類は電子化することも認められている。電子データとして保管することで、検索や参照も容易になり紛失のリスクも軽減される。クラウドストレージを活用すれば関係者間での情報共有もスムーズになるため、効率化の観点からは電子化への対応がとても効果的。
ITツールの活用 電子化するだけでなく、そのデータをより扱いやすくするためのITツールを導入すると良い。
会計ソフトはもちろん、ERPのような基幹システムも導入してデータ利活用を図れば、決算以外の分野にもその情報を活かせる。
担当者間の情報共有 決算業務は経理担当者だけでなく、営業や総務など他部署との連携が必要となる場面も多い。その連携をスムーズにするため、チャットツールやグループウェアなども活用し、コミュニケーションを円滑にすることが重要。
顧問税理士がいる場合、その税理士との連携が取りやすくなるような体制を整えるのも大事。
定期的な見直しと改善 業務フローやITツールの活用状況、担当者間の連携など、決算業務に関わるさまざまな要素を定期的に見直し、改善していくことが重要。
状況を見返すことで業務のボトルネックが特定できるようになり、更なる効率化を実現できる。

決算書は公開しないといけない

作成された決算書は、株主総会または取締役会へ提出し、そこで承認を受けます。その後は官報などに掲載しますので、世に公開されることとなります。
※よくある非上場の中小企業であれば貸借対照表のみ。資本金5億円以上または負債200億円以上のいずれかを満たす大会社なら貸借対照表と損益計算書を公開する。

なお、合同会社においてはこの決算公告の義務がありません。

会社を経営していくには法律で定められた書類の作成や提出、納税の義務などを果たさなければなりません。会社の種類や規模、上場の有無などによっても具体的な作業内容は異なりますが、一定期間内に決算報告書を作成してこれを提出しなければいけません。

提出義務のある決算報告書の内容や期限、そしてそのために必要となる経理業務など、経営や経理に携わる方が押さえておきたい基本的なポイントをここで紹介します。ぜひご一読ください。

会社が作成しないといけない決算報告書について

決算報告書は、会社の経営状態や財務状況をまとめた書類のことです。税務署に提出する書類として作成したり、金融機関、株主などの利害関係者向けに作成したり、報告の目的はさまざまです。

「決算報告書」という1つの書類があるわけではなく、これは提出の必要がある決算書等の書類の総称です。代表的な書類には貸借対照表や損益計算書があり、ほかにもいくつかの種類があります。

 

決算報告書の種類
貸借対照表
(B/S)
貸借対照表はある事業年度末時点での会社の資産や負債など、財産状況を示す書類。「B/S」と表記されたり、「バランスシート」とも呼ばれたりすることもある。
会社の自己資本比率などから、財務安定性や支払い能力などを見極める1つの重要な資料として機能している。
損益計算書(P/L) 損益計算書はある事業年度中における経営成績を示す書類。「P/L」と表記されることもある。
利益がいくら出たのか、無駄なコストが出ていないか、などの情報を読み取ることができる。
キャッシュフロー計算書(C/F) キャッシュフロー計算書はある事業年度における現金の出入りを示す書類。「C/F」と表記されることもある。
現に手元にあって使うことのできる資金がどれだけあるのかが数値化され、債務返済に対する余裕などを読み取ることができる。
株主資本等変動計算書 株主資本等変動計算書は、ある事業年度における純資産の変動に関して、株式に係る部分の変動事由を報告するための書類。
新株発行や配当のことなどを把握するために機能し、貸借対照表や損益計算書だと把握しきれない動きを読み取ることができる。
個別注記表 個別注記表は決算報告書に関わる注記事項を示す書類。重要な会計方針に関する注記や貸借対照表・損益計算書に関する注記、その他各種計算書類等に記載された注記をまとめている。

このように決算報告書には多様な書類が内包されており、提出して外部に会社情報を公開するためだけでなく、経営戦略を打ち立てたり適切な意思決定をしたりするための社内向け資料としても機能します。

決算報告書の提出義務と期限について

決算報告書は提出の義務があります。異なるいくつかの法律を根拠としており、各法で義務付けている提出書類や提出期限、適用される法人などにも違いがあります。

会社法 法人税法 金融商品取引法
対象 すべての会社 上場会社等
提出先 株主総会等 税務署 財務局
書類 ・貸借対照表
・損益計算書
・株主資本等変動計算書
・個別注記表
・事業報告
・附属明細書
・貸借対照表
・損益計算書
・株主資本等変動計算書
・貸借対照表
・損益計算書
・株主資本等変動計算書
・キャッシュフロー計算書
・附属明細表
期限 事業年度終了の翌日から3ヶ月以内 事業年度終了の翌日から2ヶ月以内 事業年度終了の翌日から3ヶ月以内

各法に基づく提出義務や期限の詳細を見ていきます。

会社法に基づく提出

会社法に基づく決算報告書の提出義務は、次の通りに定められています。

(計算書類等の定時株主総会への提出等)
第四百三十八条 次の各号に掲げる株式会社においては、取締役は、当該各号に定める計算書類及び事業報告を定時株主総会に提出し、又は提供しなければならない。

引用:e-Gov法令検索 会社法第438条柱書

つまり、株式会社は決算報告書を定時株主総会に提出しないといけません。

なお、定時株主総会の開催時期については定款に規定を置くのですが、多くの場合は「事業年度終了の翌日から3ヶ月以内」と定められています。

法人税法に基づく提出

法人税法には次の規定が置かれています。

(確定申告)
第七十四条 内国法人は、各事業年度終了の日の翌日から二月以内に、税務署長に対し、確定した決算に基づき次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならない。

引用:e-Gov法令検索 法人税法第74条第1項柱書

すべての会社に、決算報告書の提出義務が課されています。法人税の納付額を根拠づける重要な資料となるためです。そこで税務署へ「事業年度終了の翌日から2ヶ月以内」に、決算報告書を提出しないといけません。

もし3月を決算月としているのであれば、5月31日までに確定申告と決算報告書の提出をしないといけません。

金融商品取引法に基づく提出

金融商品取引法には次の規定が置かれています。

(有価証券報告書の提出)
第二十四条 有価証券の発行者である会社は、・・・有価証券報告書・・・を、内国会社にあつては当該事業年度経過後三月以内・・・に、内閣総理大臣に提出しなければならない。・・・。

引用:e-Gov法令検索 金融商品取引法第24条第1項

この規定が適用される会社は、主に金融商品取引所に株式を上場している株式会社です。
※上場企業以外でも大企業(資本金5億円以上または負債額200億円以上)であれば決算報告書の提出が必要。

期限に関しても条文にある通り「事業年度終了の翌日から3ヶ月以内」です。

決算報告書提出までの流れ

決算報告書は、日々の経理業務の積み重ねにより作成できるものです。そのため年間通して取引内容を記帳していくなど、地道な作業も欠かせませんし、決算のための仕訳作業も発生します。

年間のスケジュール

決算は上記の期限に注意しながら作業を進めていくことになりますが、その前提として日々の仕訳など、経理業務が進んでいなくてはなりません。一般的には3月を決算月と定めている会社が多く、その場合は次のような年間スケジュールとなります。

主な経理業務の内容
1月 四半期決算、償却資産税の納付、法定調書の作成
2月 予算計画策定
3月 実地棚卸の確認
4月 本決算
5月 法人税等の計算と納付
6月
7月 四半期決算
8月
9月
10月 四半期決算
11月 法人税等の中間申告と納付
12月 年末調整

 毎月、月次決算作業は発生しますが、本決算作業を行う時期がもっとも忙しくなります。これまでの月次決算を確認していき、毎月の損益が正しく計算できているか検証し、繰越金の計算などを進めていきます。

決算業務の内容

決算書類の貸借対照表や損益計算書は、①資産、②負債、③純資産、④収益、⑤費用の5つから構成されています。日々の取引もこのいずれかに仕訳していくのですが、決算にあたってはまずこれまでの仕訳に関して勘定科目ごとに集計した「試算表」を作ります。
試算表は最終チェックのために作成され、決算書のたたき台としての役割を担います。

その後試算表の数字を基に決算報告書へと整えていきます。各勘定科目の金額を転記していき損益計算書を完成させ、さらに繰越利益剰余金の額も計算して貸借対照表を完成させます。
株主資本等変動計算書やキャッシュフロー計算書なども試算表等の資料を用いて作成します。そこでこれら必要書類についてもこのタイミングで作成作業に取り掛かります。

主たる事業とは別に決算期には経理業務の繁忙期がやってきますが、日々の仕訳やチェックをきちんとこなし、決算期にしないといけないことを少しでも減らせば負担を軽減することはできます。また、顧問税理士に記帳代行などの業務を任せることでも自社の負担を減らすことは可能です。経営者の方、経理に関わる管理職の方は、法定の期間内に決算報告書を提出できるよう早めに体制を整えておきましょう。

事業活動を続けていくためには、より良いサービスを展開していくことはもちろん、事業者としての責務を果たすことも非常に重要です。

税に関する適切な処理も責務の1つであり、毎年税の申告や納付をすること、そのために必要な各種税務書類の作成などにも対応しなければなりません。

これから事業を立ち上げる方や事業を始めたての方は、こういった税務も忘れないようにしましょう。

事業者に求められる税の申告作業

個人事業主の場合は所得税が、法人の場合は法人税が課税されます。そこで一定期間内に発生した所得の大きさを計算、日々記録し、決算書を作成。さらに申告書を作成して税務署に対して申告をしなければなりません。

所得税の確定申告書、法人税の確定申告書、消費税の確定申告書、その他地方税に関する申告書なども作成することになります。

これまで会社員として働いてきた方であれば、予想以上に税務の負担を感じることになるでしょう。どんな働き方でも所得を得たのであれば納税が必要になりますが、一般的な会社員であれば勤め先の企業が代わりに税務手続をしてくれています。そのためあまり意識をする必要はありません。指示に従って年末調整の対応をする程度であり、他にやるべきことはあまりありません。

所得税の申告について

個人の方が得た所得に対しては「所得税」が課税されます。そこで個人事業主として活動をしている方などは、毎年所得税について計算し、申告書を作成することになります。

一般に「確定申告」と呼ばれる申告は、この所得税の申告を指していることが多いです。

法人税の申告について

株式会社や合同会社などの会社はすべて法人です。そしてこの法人として活動をし、所得を得たときは、その所得の大きさに対応する法人税が課税されます。

基本的な仕組みは所得税と似ていますが、所得を計算する期間や税率などは異なっています。

例えば所得税の場合、誰であっても1月1日~12月31日という期間で計算を行うことになります。一方の法人税では、法令や定款などで定められた会計期間を事業年度とし、その期間ごとで所得を計算します。そこで申告期限の日程についても法人によって異なります。

税率に関しても、所得税は「5%~45%」で変動するのに対し、法人税は原則として「23.2%」で一定です。

消費税の申告について

消費税は、サービスの提供や商品の販売などの取引に対して課税される税で、消費をする側がその負担を負うことになります。

課税売上が1,000万円を超えなければ特別に免税してもらえますので、その場合申告作業は不要です。

ただ、2023年10月からインボイス制度が導入されたことをきっかけに、これまで免税されてきた事業者についても消費税の申告作業が必要になる例が増えています。

この場合、消費税の計算を行い、申告書を作成し、これを税務署に提出しなくてはなりません。なお、申告期限については個人事業主と法人とで次のように異なります。

税の申告をするには税務書類の作成も必要

事業者は納税の義務を果たす必要があります。

ただ、納税をするためには正確な計算をする必要があり、そのためには日々の取引履歴などを記録として残しておかなくてはなりません。申告内容が正しいことを客観的に示すため、受領した書類や作成した書類について保管をすることも必要です。

よって、事業者に税務として申告書の作成だけをすれば良いのではなく、日常的に税務書類の作成作業にあたる必要があるということです。

税務書類にはどんな種類があるのか

税務書類は種類がとても多い上、作成をするには会計等の知識も必要になります。

例えば上記の申告書も税務書類の1種といえますし、伝票や試算表、総勘定元帳なども税務書類です。決算書、年末調整に関する書類など、他にも多種多様な税務書類が存在しています。

税務書類を作成する流れ

税務書類を作成していくとき、まずは税務書類に記載をすることとなる情報に関して、仕訳を行います。そして売上や経費、減価償却費等の計算を行い、利益の大きさを試算します。

毎日税務に係る業務は発生し、さらに月次業務、年次業務なども発生します。

その過程で記入ミス、計算ミスなどがあると、積もり積もって決算書の内容にも大きな影響が出てしまいます。結果的に納付すべき税額が誤ってしまうこともありますし、経営戦略上の判断にも悪影響が及ぶおそれもあります。

そこで税務書類の作成に関しては正確性がとても重要であり、専門知識を持った従業員を雇う、専門家に外注をするなどして対応してもらう、などの対応も検討することになるでしょう。

ただ、外注をする際は法令上の権限に留意しましょう。単純な記帳作業などは広く外注できても、申告書の作成など広範に代行対応できるのは税理士資格を持った専門家だけです。社外依頼を出すときはまず税理士資格を持つ方を探すことから始めると良いでしょう。