後藤允良税理士事務所

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融資目的で事業計画書を作成するときは、次の3つのポイントを意識してください。

➀ 資金が必要である説得的な理由の提示
② 綿密な返済計画の策定
③ 返済が難しくなった場合への備え

これらは金融機関が審査において特に注目する点です。どのように計画書を作成するのか、具体的な内容をここで説明していますのでぜひ参考にしてください。

資金が必要である説得的な理由の提示

資金が必要な理由については、事業計画書においても核となる大事な部分です。

金融機関もリスクを負って融資を行いますので、「なぜこの事業にこれだけの資金が必要なのか」「融資によってどのような効果が期待できるのか」については把握しようとします。そのため提出する事業計画書からその理由が読み取れないといけません。

そのうえで、理由の提示の仕方に工夫が必要です。大きく①設備資金と②運転資金に分けて書き方のポイントを見ていきましょう。

設備資金の場合

生産のための工場や機械、店舗、事務所などの設備にかかる資金に関しては以下を意識して必要な理由を示すことが大事です。

運転資金の場合

人件費や広告宣伝費、仕入費など、運転資金にもさまざまな種類があります。設備資金同様、具体的にどのような運転資金が必要なのか、いくら必要なのかを具体的に示しましょう。また、「増産に対応するために人件費がかかる。」「新規顧客獲得に向けた広告宣伝費。」など、資金需要も明確に示します。

「資金繰りが安定することで季節変動による資金不足にも対処できる。」など、運転資金の調達が事業継続性の向上につながることもアピールできるとより良いです。

綿密な返済計画の策定

融資を受けた後は継続的に返済をしていかないといけません。この返済計画が具体的に示されていない、あるいは実現可能性が低いと判断された場合、審査に通るのは難しいでしょう。

ここで特に大事になってくるのが「今後の売上・利益の予測」と「余裕のある返済スケジュール」です。

今後の売上・利益の予測が大事

「約束通りに返済ができます。」とアピールするためには、返済原資を確保しないといけません。

事業者がこれを確保するには利益を出す必要がありますので、事業から生み出される売上や利益の大きさを予測するところから始めましょう。当然、その内容には根拠が必要で、単なる予想・希望的観測ではアピールにはなりません。

その観点からは例えば、市場調査の結果、競合分析、過去の販売実績など、客観的なデータの提示が効果的といえます。

ただ、まだ事業を始めていない創業段階の場合は予測も難しいでしょう。そのような状況で1円単位の細かな数字を提示してもあまり意味はありませんので、いくつかのシミュレーション結果に基づき実現可能性が高いと思われる金額の“幅”を提示することを意識しましょう。

返済スケジュールには余裕が必要

返済スケジュールは、無理のない範囲で余裕を持って策定することが大事です。

売上や収益が計画より多少下振れしても問題なく返済できるような期間を見込んでおくことで、金融機関の安心感を高めることができます。

返済が難しくなった場合への備え

計画通りにいかないことも珍しくありません。予想外の大きな出来事に返済が難しくなってしまうことも起こり得ますので、そのような“万が一の事態”も想定した備えをしておくことが望ましいです。

起こり得るリスクとは

景気変動や競合の出現、製品・サービスの陳腐化など、さまざまな要因で売上が低迷する可能性があります。ほかにも次のようなリスクがあることは知っておきましょう。

複数のシナリオと対策を準備しておく

上記のようなさまざまなリスクと隣り合わせで事業を継続していくことになりますが、予測が困難な事象も多いです。

そこでいろんなパターンに対応できるよう、例えば次のような対応策を備えておくことが融資においても有利にはたらきます。

少しでも予想外の範囲を狭めるために、複数のシナリオを用意しておきましょう。いろんなパターンを持っておくことで臨機応変に動くことができるようになりますし、事業計画書からその姿勢が読み取れると金融機関に好印象を与えることもできるでしょう。

事業者のする資金調達のうちよく採用されるのが「金融機関からの融資」です。融資とはつまり借金をするということであり、数年・十数年程度で返済することを条件にお金を貸してもらいます。利息もつけて返済するため金融機関にもメリットがあるのですが、それは約束通りに返済できることが前提ですので、返済能力について信用がなければ融資をしてもらえません。

大きな金額をやり取りすることも多いため手続は厳格で、審査も要します。具体的にどのような流れで手続が進行するのか、そして審査にクリアするにはどのような条件を満たさないといけないのか、融資を検討中の事業者に向けて当記事で解説します。

融資を受けるまでの流れ

融資の手順は、①申し込み、②審査、③契約成立・融資実行、の大きく3つに分けられます。

申し込み

必要書類、申込可能な金額や返済方法のこと、借入期間のことなど、申し込みを行う前にいくつか確認しておくべき事項があります。金融機関にアポを取り、まずは相談をしましょう。

そして融資の申し込みをするため、必要書類を準備していきます。必要書類は金融機関によって異なりますが、一般的には次の資料を用意することが多いです。

また、設備資金が必要な場合は当該設備に係る見積書や契約書も準備します。不動産を担保に提供する場合は当該物件の登記事項証明書や公図などを準備するなど、状況に応じて必要な資料も変わってきます。

審査

申し込みの後、事業計画のことや返済のことなどについて質問を受けることが多いです。審査に入る前にこの面談が行われるのが一般的ですので、細かな点まで上手く答えられるよう備えておきましょう。

金融機関は、面談や提出書類から得られた情報をもとに審査を始めます。

なお、審査の内容・基準は金融機関によって異なり、また公開もされていません。そして審査期間が1ヶ月に及ぶこともありますので、資金繰りの観点から期間には余裕をもって申し込みや準備を始めておくべきといえます。

契約成立・融資実行

審査に無事通れば、契約締結に進みます。契約書の内容をよく確認し、問題がなければサインをします。これによって融資の契約が成立。その後金融機関が所定の口座へ入金をしてくれます。

融資成功のポイント・条件

融資により資金調達を成功させるには、審査への通過が欠かせません。そして審査で重視されるのは、申込をした事業者の「返済能力」です。

また、さまざまな事情を考慮して融資に伴う「リスク」の程度も評価されます。

例えば暴力団のような反社会的勢力との関係性が疑われる場合、返済能力があったとしてもそのような事業者と取引を行うことは金融機関にとってリスクが大きいといえます。

逆に、安定した利益が出せていなくても資産価値の高い土地が担保されていれば万が一返済が滞っても担保物件から債権を回収することができます。この場合、金融機関にとっては比較的リスクが小さいといえます。連帯保証人が付いている場合も同様です。

このような観点を踏まえて事業者は融資対策を講ずることが大事です。

説得力のある事業計画書の作成

融資を申し込むときは事業計画書を提出するのが一般的です。

事業計画書からは、当該事業者が取り組んでいる活動内容やこれからの方針、売上高や経費、利益の大きさと今後の見込みなどが読み取れます。返済能力を評価するうえで重要な判断材料として機能するのです。

ただ、「返済能力があることをアピールできない事業計画書だと審査に通るのは難しい」と言い換えることもできます。

そこで、返済が続けられる計画内容とすることはもちろん、客観的に見て「確かにその計画は実現できそうだ」と思わせるだけの説得力を持たせないといけません。作成者の希望的観測、主観による事業計画だと実現可能性が乏しいと評価されても仕方ありません。そのため売上高や利益の大きさについては根拠ある数字を記載することが大事です。

実績を積む

実績の有無も審査に響きます。

まったく同じ内容の事業計画書でも、実績のない事業者とすでに長く経営を続けている事業者とでは信用力に差が出てしまいます。やはり実際に利益を出してきたという実績や、過去の融資について完済をしたという実績などを持っていた方が有利です。

とはいえ創業融資の段階だと実績がないのが通常です。この時点で大きな額を融資で調達するのは難しいと思われますので、「運転資金について融資をしてもらって一度返済実績を作り、その後設備資金として大きな額を申請する」という手も検討すると良いかもしれません。

担保の準備

実績が乏しい場合でも担保の提供や保証人を立てることで融資の成功率を上げることができます。

担保としてよく提供されるのは不動産です。不動産に抵当権を設定することで、約束通りの履行ができなかったとき金融機関は担保物件を処分することができ、そこから発生する金銭を債権に充てることができるのです。

ただし安易に担保に供するべきではありません。事業計画が上手くいかなかった場合のことも想定し、本当に処分されてしまったときのリスクも考えておきましょう。

なお、提供できる高価な資産がない場合でも、信用保証協会による保証を付けることで借りやすくする方法があります。ただし保証付き融資だと融資金額が制限されたり保証料の負担が発生したりしますので、必要な資金の額や今後の経済面も考慮して利用を検討しましょう。

事業を運営する上で欠かせない記帳作業。日々の取引を正確に帳簿に記録するには専門知識が必要で、時間のかかる作業でもあります。そこで活用したいのが「記帳代行」です。

記帳代行を依頼すると具体的にどのような作業が行われるのか、依頼するメリットや注意点、そして最適なサービスの選び方についてここで詳しく解説します。

記帳代行とは

そもそも「記帳」とは、日々の取引を帳簿に記録していく作業のことを指しています。事業の財務状況を細かく数字で把握する、適切な経営判断を行う、そして正しい税額を把握するためにも記帳は不可欠です。

そして、その記帳作業を税理士や外部の業者などにアウトソーシングすることを「記帳代行」といいます。記帳代行サービスを利用している事業者は多く、規模の大きな会社も小さな会社も、個人事業主なども、広く利用をしています。

記帳のために必要な情報は提供しないといけないため、必要書類やデータの送信などには対応する必要がありますが、大幅に作業負担を軽減することができるでしょう。

記帳代行の具体的な作業内容

記帳代行サービスの詳細も依頼先によりさまざまで、細かな作業内容には違いがあることもあるでしょう。そのため、どこまで対応可能なのか、どこまで一定料金で任せられるのかを事前に確認しておくことが重要です。

一般的な作業内容としては次のようなものが挙げられます。

純粋な記帳業務ではありませんが、税理士に依頼をしたときは通常記帳代行に付随して月次報告や決算業務なども依頼するケースが多いです。

税理士とその他業者でできることの違い

税務申告や税務書類の作成、税務相談などは、法律により税理士資格を持つ者しかできないことになっています。記帳は税務に関わる業務ですが、これら独占業務に直接当てはまる業務ではないため、必ずしも記帳代行を税理士に依頼する必要はありません。

ただ、記帳代行の延長で所得税や法人税の確定申告、その他税の計算・申告などに対応してほしいときは税理士事務所に頼む必要があります。

申告作業だけでなく、申告にあたって提出しないといけない税務書類の作成や、節税方法に関するサポートなど税務相談をしたいときにも他の業者には任せられません。

記帳代行サービスを利用するメリット

記帳に必要なスキルや時間があれば事業者自身で対応して何ら問題はありません。しかし時間的な余裕や労力面での余裕がないときは記帳代行サービスの利用を前向きにご検討ください。記帳代行により次のようなメリットが得られます。

記帳代行の依頼先を選ぶときのポイント

記帳代行サービスを選ぶ際には「どこに依頼しても同じ」と考えず、以下のポイントに着目して自社のニーズに最適なサービスを選ぶようにしましょう。

サービス内容とコスト 記帳代行に加えて請求書の発行や給与計算、年末調整、税務相談、経営コンサルなどのサービスにも対応できるのか確認。
自社のニーズに合わせて必要なサービスを選び、料金と照らし合わせて検討することが重要。
料金体系 月額固定なのか、取引件数に応じた従量課金制なのか、など料金体系にも着目してコスパの良さを確認する。
また、初期費用やオプション料金についても要チェック。期待していた作業が別料金となっていないことなどは必ず確認。
記帳代行の実績 過去・現在において、どのような規模の事業者から依頼を受けてきたのか、どのような業種・業界を多く取り扱ってきたのか、などを確認。
対応可能な会計ソフト 複数の会計ソフトにも対応しており、自社で導入している会計ソフトを変える必要がないかどうか、また、別の業務システムとのデータ連携が可能かどうかも重要。
ITツールの利用に慣れており新たな技術・仕組みにも前向きな姿勢を持っている方が、効率的な作業を期待できる。
サポート体制 記帳代行に関して気軽に相談できる体制が整っているのか、レスポンスの早さなどにも着目。
対応の良さ、電話やメール以外にも、チャットツールやオンライン会議、訪問対応など複数の手段でやり取りができる環境にあるかどうかも確認。

税理士以外を利用するとき、事業者にとって必要な経理業務の一部しか依頼できないためご注意ください。

会社が活動を継続していくため、大きく発展していくためには、資金が必要です。自社の活動から生じる利益のみで十分な資力が得られるのは理想的かもしれませんが、多くの場合は外部からも資金を調達しています。

この資金調達には具体的にどんな方法があるのか、ここでは大きく4つに分けてそれぞれの特徴を解説しています。

調達方法①自己資金の準備

特に起業をする段階で重要になる資金が「自己資金」です。

経営者個人が持つ財産を会社のために利用するのです。会社を立ち上げるのであれば少なからず自己資金は必要になるでしょう。自己資金を多く用意しようとすると私生活に支障をきたすおそれがありますが、多くの自己資金は信用力にも繋がり、融資などが受けやすくなるという利点もあります。

《 自己資金を利用することの特徴 》

調達方法②出資をしてもらう

自社の将来性を認めてもらい、投資家などから資金をもらう「出資」というやり方もあります。

株式会社は特にこの調達方法が合っています。株式を発行し、これを引き受けてもらうことで、多くの方から資金を調達することができるからです。上場すればさらに資金調達力を高めることができ、規模の大きな事業もどんどん進めていけるようになるでしょう。

《 出資の特徴 》

なお、株式を発行せずに出資してもらう「クラウドファンディング」であれば経営権の問題を回避することもできます。ただし資金調達ができるのかどうか、いくら調達できるのかが不明瞭ですし、知名度が高くないと成功させるのは難しいです。

調達方法③借入をする

「借入」は、一般的な資金調達の手段ということができるでしょう。

銀行など民間の金融機関と取引して、その後返済することを約束してお金を借りるのです。規模の大きな資金を得られることもありますが、借入を成功させるには「この会社なら融資をしても約束通りに完済してくれる」という信用が必要です。そのため立ち上げ直後で実績のない会社にはややハードルが高い資金調達方法といえるでしょう。

《 借入の特徴 》

なお、金融機関からではなく友人・知人などから個人的に借入を行うこともダメではありません。潤沢な資金を持っている方の協力が得られるのであれば、その方に支援してもらうことも検討してみましょう。
ただし親しい仲であってもルールはしっかりと定めておくことが大事です。その後お金をめぐってトラブルが発生し、人間関係が悪化してしまうリスクがあります。

日本政策金融公庫の利用も要検討

融資額の大きさ、また、金融機関別に融資の受けやすさは異なります。もし起業に際して融資を受けたい、起業後間もない時期で融資を受けたいという場合は「日本政策金融公庫」が提供している融資制度の利用を検討すると良いでしょう。

民間の金融機関に比べて審査が優しく、幅広い方に利用がおすすめできます。

用途、業種など、融資事業の種類は豊富です。これに合わせて「新創業融資制度」を利用すれば、さらに資金調達を成功させやすくなります。同制度はこれから事業を立ち上げる方や事業開始すぐの会社に特化した制度で、担保や保証人を付けることなく融資を受けることができるという内容になっています。

ただし、「3,000万円が融資限度」「10%以上の自己資金が必要」であることに注意が必要です。

調達方法④補助金や助成金の申請

「補助金」や「助成金」という形で、行政からサポートが受けられることもあります。

例えば生産性向上等の取り組みに対しては「IT導入補助金」「ものづくり補助金」「小規模事業者持続化補助金」などが、雇用・就労環境の改善等の取り組みに対しては「キャリアアップ助成金」「人材開発支援助成金」「両立支援等助成金」などの仕組みが用意されています。他にも様々な仕組みがありますので、よく調査して支給額や要件を調べておくことが必要です。

利用場面はかなり限定されますが、もし利用できるのであれば積極的に申請を行うと良いでしょう。返済する必要がなく、会社にとってリスクが小さいです。ただし特定の取り組みを行った後に支給が決まることが多く、また、大きな資金が得られるとも限りません。

《 補助金や助成金の特徴 》

地方自治体の制度も要チェック

国レベルで実施している補助金・助成金のほか、地方レベルで実施しているものもあります。

とりわけ起業に対する支援策は比較的豊富で、多くの地方自治体で支援制度が実施されています。

また、起業については地方自治体および金融機関と国も一体となって支援を行う「特定創業支援等事業」があります。自治体窓口で起業に関しての相談ができ、さらに専門的な研修も受けられます。その他企業経営や事業運営に関わる様々な知識・ノウハウを身に付けるプログラムを受けることができますので、「起業をしてみたいが知識がない、法律のことをよく知らない」といった方には利用がおすすめできます。

しかも、会社設立費用の負担が軽減されたり上述の新創業融資制度の利用条件が緩和されたり、同制度を利用することで数々の恩恵が受けられるようになっています。

現在活動している地域、これから起業しようとしている地域でどんな制度があるのかよくチェックしましょう。なかなか情報を網羅していくのは大変な作業ですので、困ったときは資金調達に強い専門家の力も借りると良いでしょう。

節税対策の注意点|企業の方が知っておくべき税務の問題

 

企業活動をしているだけで毎年税金は発生しますし、事業から利益が発生するとその大きさに対応してさらに税負担は大きくなっていきます。そこで「できるだけ売上を多く出したいけど税金の負担は小さくしたい」と願う経営者も多いと思われます。

ただ、むやみやたらに節税対策に取り組むべきではありません。いきすぎた行動によって様々な問題が起こり得ます。そこで節税対策を始める前に知っておきたい重要な注意点をここでまとめます。

節税対策の4つの注意点

節税をするとき、具体的な施策によって個別の注意点がありますが、全体に共通する注意点として次の4つを挙げることができます。

これらに留意して取り組むことがなぜ重要なのか、次項以下で説明していきます。

過度な出費をしない

売上が大きいとその分税金の負担は増える可能性がありますが、売上そのものが課税対象になるわけではありません。重要なのは利益の大きさですので、売上が大きくても経費もそれ相応に大きい場合は相対的に利益が小さくなります。そこで税負担も小さくなります。

本当に必要な経費を使っているのであれば問題ありませんが、課税を回避することに躍起になって過度な出費をしていると、資金ショートを起こすおそれがあります。そもそも経費になるからといってそれがタダになるわけではありません。

例えば現金100万円で物を購入した場合、現に会社のお金は少なくなりますし、100万円の税負担が軽減されるわけではありません。厳密な計算が必要ですが、節税効果として得られるのはせいぜい数割程度であって、経費分まるまるが控除される仕組みにはなっていません。

そのため費用対効果を考えて取り組むように注意しましょう。また「経費になるかどうか」の判断も先にしておかないといけません。ものによっては経費にすることができないため、節税対策のつもりが単なる支出になってしまう可能性もあります。

脱税にならないよう法律を遵守する

過度な節税対策が原因で脱税をしてしまうこともあります。そのため税制をよく理解し、必ず適法な範囲内で節税対策には取り組まなければいけません。税務署からの調査を受け、事後的に節税効果がなくなってしまうリスクもあるため、要注意です。

また脱税により、期待する節税効果が得られないだけではなく、次のような問題も引き起こしてしまいます。

追加で税金が徴収される 節税効果がなくなって本来納めるべき税額を納付するだけでなく、悪質な行為だと判断されると「重加算税」の納付を求められる。本来の税額より数割増で税負担を負うことになる。
刑罰を科される 脱税額が大きい、脱税の手段が悪質であるときなどには犯罪に該当し、懲役刑や罰金刑といった刑罰を科されることもある。
社会的な信用を失う 「脱税をした会社」として世に知られてしまうことで、今後の取引に悪影響が及ぶおそれがある。脱税によるペナルティ自体のダメージが小さくても、信用がなくなると今後の企業活動に支障をきたす。

税制を正しく理解して控除制度等を活用する

節税効果を得る方法も多種多様です。必要な経費を使うのも基本的な手段ですが、税制上の優遇が受けられる措置、控除制度や特例などを駆使する手段がおすすめです。

経費を使うだけだと限界がありますので、税理士など専門家に相談して使える制度を教えてもらうようにしましょう。また、「雇用促進税制」「エンジェル税制」「少額減価償却資産の特例」などいろんな制度がありますが、それぞれ無条件で使えるわけではありません。適用条件については注意しましょう。

年間を通して計画的に取り組む

節税対策は思い付きで取り組むべきではありません。行き当たりばったりだと思うような節税ができませんので、できるだけ計画的に実践していきましょう。計画的に実施するかどうかが最終的な納税額に大きく響いてきます。

そこで年次決算をシミュレーションし、そのままだといくらの税金が発生するのか、現実的にいくらに抑えることができそうか、どのような形で経費を使うべきか、など早めに計画を立てるようにしましょう。

判断が難しいかもしれませんので、専門家にも協力を求めて一緒に取り組むと良いでしょう。

利益を大きくすることにもメリットはある

企業の金銭的な負担を減らすためには節税も重要な取り組みですが、基本的には節税効果が大きくなるほど企業としての利益は小さくなります。

そして利益の小ささは、対外的な信用を得るという意味ではマイナスに作用します。融資を受ける際には利益が出ていることが重要な判断材料の1つになりますし、他社と大きな契約を交わすときにも自社の健全性を評価する1つの指標となり得ます。

そのため節税することばかりを考えるのではなく、利益を大きくすることのメリットにも目を向けましょう。
認知度が高く業界では老舗、すでに信用ができているという企業であれば大きな問題にならないかもしれませんが、実績がなくこれから伸ばしていきたいという企業は、信用を得るためにある程度利益も大きく見せることが重要になってきます。

資金調達は即日できるものではありませんし、しっかりと計画を立てて調達しなければかえってリスクを抱えるおそれもあります。また、資金調達の手段別に注意点が異なっており、資金を得るまでの流れも異なります。

当記事では基本的な資金調達までの流れを示すとともに、主要な資金調達方法について特徴や手続の内容を解説していきます。

資金調達の流れ

企業が資金調達するにあたり、まずは必要性について明確にしておかなければなりません。何のためにお金が必要なのか、いくら必要なのか、そして調達を成功させるためには対外的にその必要性について示せる必要があります。併せて、お金を出しても良いと思わせるだけの計画性も必要です。例えば融資の場合、返済の期待ができない企業に対してはお金を貸してくれません。

そこで自社が計画的に活動をするためにも、社外に向けて説得的な資料を作る意味でも、事業計画の策定が重要になってきます。
また、資金調達にはいくつか方法がありますので、状況に適した手段を選ぶ必要があります。その上で、調達に向けた具体的な手続を進めていきます。

事業計画を策定する

事業計画とは、事業の目的、内容、戦略、収益計画、資金計画などをまとめた計画書のことです。資金調達を行う際、事業計画を作成して、投資家や金融機関などに事業の収益性や成長性などを説明することがありますので、その場合は作成しておく必要があります。

事業計画の策定にあたっては以下の点を意識しましょう。

資金調達の方法を検討する

資金調達の方法には大きく分けて①融資、②出資、③補助金・助成金の3つがあります。

融資 銀行や信用金庫、信用組合などの民間の金融機関、日本政策金融公庫のような政府系の金融機関などからの借入。融資の場合は成功すると比較的規模の大きな資金が集められる。しかし返済の負担がその後かかる。
出資 エンジェル投資家 企業に出資する個人投資家からの資金提供。
投資家から出資を受けるメリットは以下。
・毎月の返済義務がない
・出資までの判断が早い
・経営のアドバイスがもらえる
・人脈が拡がる
一方、経営に過度に口出しされることもある。
ベンチャーキャピタル 企業に出資を行う投資会社からの資金提供。
民間系のベンチャーキャピタルや政府系ベンチャーキャピタルなどがあり、エンジェル投資家同様の特徴を持つ。
クラウドファンディング インターネット経由で不特定多数の人から資金や支援を募る方法。少額の出資も可能で、投資家ではない一般の方からも出資が得やすい。
補助金・助成金 国や地方自治体が行っている制度を活用して受給。
補助金の例は以下の通りで、経済産業省所轄のものが多い。
・小規模事業者持続化補助金
・ものづくり補助金
・IT導入補助金
・事業再構築補助金
助成金は厚生労働省所轄のものが多く、社内の労働環境改善などで支給されるケースが多い。以下がその例。
・雇用調整助成金
・キャリアアップ助成金

自社の事業や財務状況に合った資金調達の方法を選ぶことが重要です。それぞれの特徴を理解し、最適な手段を選択しましょう。

資金調達の手続を進める

どうやって資金調達をするのか決まれば、それぞれに求められている手続を進めていきます。手続を進めるための書類作成も必要です。

融資を利用する流れ

融資を利用する場合の流れをざっくり説明すると、次のようにまとめられます。

融資の相談・申し込み 融資を検討している金融機関に相談・申し込みを行う。融資の種類や金額、条件などについて、担当者と相談しながら希望に合った融資を探す。
必要書類の提出 融資の申し込みが受理されると、融資審査のために必要書類の提出が求められる。必要書類は金融機関によって異なるが、例として次のものが挙げられる。
・決算書
・資金繰り表
・事業計画書
・納税証明書
融資審査 必要書類の提出後、金融機関による融資審査が行われる。審査では以下の点が見られる。
・事業の将来性
・資金繰りの状況
・返済能力
融資の実行 審査に通ると融資実行となる。
融資を受けた資金は、返済計画に沿って返済しなければならない。返済が滞ると信用情報に傷がつくため注意が必要。そこで事前に以下の点に注意する。
・返済計画をしっかりと立てておく
・金利や手数料などの条件をよく確認する
・複数の金融機関から見積もりを取る

株式発行の流れ

株式発行による出資を受ける場合は、次のような流れとなります。

募集事項の決定 会社法に則った適法な手続が必要。
決めるべき事項は「募集株式の数」「募集株式の払込金額・算定方法」「増加する資本金および資本金準備に関する事項」など。
株式の募集と割当 募集事項が決定したら株式の募集を行う。募集方法は「申込割当」「総数引受契約」のパターンがある。
株式引受の申し込みに対し、企業が割り当てる株式の数を決定する。発行する株式の全部を引き受ける場合には、当該引受人と総数引受契約を締結することで手続を簡略化することも可能。
出資の履行を受ける 割当および通知後、引受人による出資の履行を受ける。これにより引受人は株主となる。
登記申請 株式の発行後は登記申請を行う。払込期日から2週間以内に、法務局で「発行済株式総数」「資本金の額」に関する変更登記を行う。

補助金や助成金を利用する流れ

補助金や助成金を活用する場合は、利用する制度によっても大きく異なりますが、多くの場合はまず要件とされている取り組みを始めなければなりません。実際に取り組みを行い、その要件を満たす成果を出した後で成果を報告し、内容が認められれば支給という形になります。後払いとなるため、プロジェクトを始めるための資金については別の方法で調達する必要があるでしょう。

補助金・助成金に関しては金融機関からの借入のように個別の交渉が効く余地があまりないため、制度として定められた要件を確実に満たす必要があります。一つひとつその要件は異なるため、資金調達を実現するためには専門家を活用することも前向きに検討することをおすすめします。

税のプロである税理士と顧問契約を結ぶことで、企業に求められる税務を的確にこなすことができるようになり、その作業効率も向上します。適切な節税対策も取りやすくなりますし、経営に関する意思決定の精度向上も期待できます。

ただし依頼する税理士の能力や自社との相性によってその効果にも差が出てきます。企業の方が顧問税理士を探すときに着目すると良いポイントがいくつかありますので、当記事ではその着眼点を紹介していきます。

顧問税理士探しで着目するポイント

顧問契約は長く付き合うことを前提としていますので、単発で税理士を利用する場面に比べて慎重な検討を進めることが大事です。

そこで税理士探しにおいて次に挙げる点はチェックしておきましょう。

各チェックポイントについて詳しく説明していきます。

対応の丁寧さや人としての相性

専門家を利用するとき、その方の能力の高さや実績なども評価すべきですが、「丁寧な対応をしてくれるかどうか」「自社の風土や担当との相性の良さ」も非常に重要です。

優秀な方であっても気持ちの良いコミュニケーションが取れない、高圧的な態度で物言いをされる、といった場合には長く良好な関係性を築くのは難しくなってしまいます。

ビジネスパートナーとして長く付き合うには人としての良さ、相性が良くなければなりません。また、親身になって相談にのってくれる税理士だと自社の問題点もよく把握してもらえます。その結果、アドバイスや提案内容の精度も高くなることが期待できます。

人としての良さや相性を見極めるためにも、正式に契約を交わす前に面談をしておくことが大事です。実際に話をしてみた印象も判断材料にして顧問契約の検討を進めましょう。

対応の早さ

「対応の早さ」も重要なポイントです。

契約内容にもよりますが、顧問契約を交わした場合は日常的な税務の相談が可能となります。その際、レスポンスがあまりに遅いとせっかくの顧問税理士も最大限活かすことができません。

また、返信待ちの状態が続くと仕事が一時的にストップしてしまうなど、支障をきたすおそれもあります。そこで、事前相談の段階から対応の円滑さにも意識して着目しておくことをおすすめします。

現在顧問税理士がいる場合でも変更は可能です。「返答の遅さに困っている」「試算表等の提出が毎月遅くて財務戦略に悪影響が出ている」などの現状がある場合は別の税理士に依頼することも検討すると良いでしょう。

クラウドサービス・ITツールへの対応

自社の採用するITツールやシステム環境にもよりますが、クラウドサービスやITツールに対応している顧問税理士である方が良いです。

後々クラウド会計サービス等の導入をしたいと考えたときでも顧問税理士が対応できないという状態では大変です。優秀なサービス、ツールを利用すれば作業効率は向上し、システム上での連携により税務以外の業務にも好影響が及びます。

また、会計・税務以外のツールについても積極的に利用している税理士であれば、普段のやり取りからチャットやオンライン会議システムなどを使用し、スムーズなコミュニケーションが期待できます。

そのためクラウド会計サービスの導入、運用についてのサポートも対応可能かどうかといった点も確認しておきましょう。

費用の大きさ

税理士との契約における一番の心配が「費用」ではないでしょうか。

顧問料として支払う費用は依頼先により異なります。そこでまずは相場から逸脱していないかどうかを確認する必要があります。

ただ、相場との差について判断をするのは容易ではありません。なぜなら依頼内容によって金額は変わりますし、企業規模によっても顧問税理士の仕事量が変わるためそれに応じて適切な報酬額は異なります。

そこで①企業の売上と②依頼する仕事内容、の2点から費用について評価すると良いです。

基本報酬の目安(月額)としては、最低でも1万円以上、売上規模が億単位になってくると5万円以上かかってきます。また、税理士が直接訪問する頻度や税理士に報告を求める頻度なども顧問料を左右する要因で、数万円程度前後することがあるでしょう。

記帳代行も依頼をするなら月額5,000円や1万円以上は追加になるケースが多いです。決算料についても年額で10万円以上はかかってきます。売上規模に応じて20万円以上かかるケースもあります。

月額の基本料だけでなく、年間で支払うトータルの費用を見なければ依頼先候補の比較はできません。そこで料金体系について詳しく聞いておくようにしましょう。

対応可能な業務の範囲

当然ともいえますが、「対応可能な業務範囲」についても確認しておくべきです。

特に将来、事業承継やIPO、M&Aなどを想定しているときは、事業や企業の売却などもサポートしてくれるのかどうか、チェックしておきましょう。

まだまだ目標達成までに時間がかかりそうだと思われる場合でも、始めからIPO、M&Aなどに対応した税理士が付いていた方が良いです。ゴールを目指す上で必要な知識やアドバイスをしてくれます。

その他にも、資金繰り、資金調達のこと、補助金や助成金のことなど、自社が今後必要になると思われる事についてサポートしてもらえるのか、あらかじめ把握しておきましょう。

そのためにも「何をしてほしいのか」を明確化しておきます。自社が現状困っていること、税理士に求めることを振り返って整理してみましょう。
例えば経理専門の従業員がおらず、その他の従業員については本業に集中させたいという場合はできるだけ税理士に広く対応してもらう必要があります。となれば、「記帳代行」+「定期訪問による監査」+「決算申告」+「年末調整」などの依頼を出す必要があります。

逆にできるだけ自社で対応してコストを最低限に抑えたいと考えているのであれば、「記帳チェック」+「会計ソフトの導入サポート」+「決算申告」などの依頼にとどめておきます。ソフトの導入だけサポートしてもらい、その後は自社で運用。チェックをしてもらうことで正確性を担保し、決算申告を任せる、というプランが考えられます。

積極的な提案・アドバイスの有無

企業が質問したことへの回答、依頼範囲内での対応などが基本的な顧問税理士の仕事です。

しかし、税理士側から積極的に提案やアドバイスを受けることができれば、自社だけだと思いつかなかった戦略・対策などに取り組むことが可能になります。

現状、取引のある税理士に対して「最新の特例や優遇措置、助成金・補助金についての情報がもっと欲しい」「節税対策、経理改善についてなど、積極的な提案が欲しい」といった不満があるのなら、別の税理士を探すことも検討してみましょう。

税理士の積極的な姿勢、一緒に企業をより良くしていこうという気持ちの有無などにも意識して着目してみましょう。数値で判断できるものではありませんので見極めが難しいですが、コミュニケーションを多く取ることで判断がしやすくなるでしょう。

自社に合った顧問税理士を選ぶメリット

以上に挙げたポイントを押さえて税理士探しに取り組むことで顧問契約を締結することのメリットをより大きくすることができます。

例えば次のようなメリットです。

自社について深く理解してくれることでアドバイスの最適化が図られる。

税務調査では過去の資料なども調査対象となるため、税務調査に対応する税理士にも企業に関する歴史、情報を多く備えていることが求められる。よく知った企業であるほど対策も取りやすくなる。

財務分析を通して企業の経営状態を深く把握してもらうことができ、事業計画の策定、資金繰りの管理、事業承継への対策など経営に関わるさまざまなアドバイスが期待できる。

企業は税務をおろそかにすることができませんし、申告等の法的な義務も果たさなければなりません。また、継続的安定的な企業活動のためには余計な支出は抑える必要があり、適切なお金の使い方・集め方を知ること、節税方法についても知ることが大事といえます。
この観点から、自社と良い関係性が築ける税理士の存在が特に重要といえますので、顧問税理士は上記ポイントを踏まえてしっかりと見定める必要があります。

年末調整とは、「給与から差し引いた源泉徴収税」と「本来納めるべき所得税」との差額の精算を行うための手続です。

正しく納税義務を果たすために必要な手続であり、企業の方や従業員として雇われている方は年末調整について少しでも知識を持っておくことが望ましいです。

ただしあらゆる人が年末調整を必要とするわけではなく、対象者・対象外となる人に分かれます。当記事でこの違いを説明します。

年末調整の対象となる人

まずは年末調整の対象となる人について説明していきますが、こちらは「12月に行う年末調整が必要な人」と「年の中途で行う年末調整が必要な人」の2つに分けることができます。それぞれを解説していきます。

12月の年末調整の対象者

12月の年末調整の対象となるかどうかは、次のポイントに着目すると判断しやすいです。

①従業員として会社で勤めているかどうか

②年末時点で従業員として在籍しているかどうか

③給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を提出しているかどうか

<①について>

年末調整は、従業員を雇用して給与を支払う会社が行う手続きです。そのため、対象となるのは基本的に会社等に雇用されている人です。このときの雇用形態は関係ありません。正社員のみならず、契約社員やアルバイト、パートなども対象となり得ます。

※派遣社員に関しては“派遣先”で年末調整を行うのではなく、“派遣元”において年末調整の対象となる。

<②について>

12月の年末調整の対象となるのは、給与の支払いを受けている従業員の中でも「年末時点で在籍している人」です。年末時点で在籍していない人、つまり年の途中で退職した人などについては12月の年末調整の対象になりません。

<③について>

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書とは、配偶者の有無や所得、扶養家族の人数など、各家庭の状況を記載した書類です。ある年の最初の給与の支払いを受ける前日までに会社に提出しなければなりません。一般的には、入社時の提出書類の中に含まれています。
会社等はこの書類を基に、配偶者控除・扶養控除などの各種控除を適用できるよう手続きを行いますので、年末調整をするために必要不可欠の書類です。逆に、この書類がなければ会社は年末調整の手続きができません。
配偶者控除や扶養控除などの控除を受けない従業員でも、提出が必要です。配偶者や扶養家族がいない場合は、それに関わる控除がないことを会社等が確認する必要があるため、控除対象外の人も提出する必要があります。

なお、これら①②③を満たす場合でも、後述する「年末調整の対象とならない人」のどれかに当てはまれば年末調整の対象からは外れます。そのため対象外の人の特徴もしっかりと押さえておく必要があります。

年の途中の年末調整の対象

続いて「年の途中で行う年末調整」の対象となる人について見ていきましょう。

この年末調整の対象となるのは、次のいずれかに該当する場合です。

  1. 海外転勤などにより非居住者になった
  2. 死亡により退職扱いになった
  3. 著しい心身の障害を負い退職した

※退職後、再就職をして給与を受ける見込みのある人は除く。

  1. 12月に支給されるべき給与等の支払いを受けてから退職した
  2. アルバイトとして働いている人などが退職し、本年中の給与が103万円以下である

※退職後、他の勤務先から給与を受ける見込みのある人は除く。

例えば海外支店への転勤で非居住者となった場合、非居住者となった時点で年末調整を行うことになります。

年末調整の対象とならない人

年末調整の対象にならない人もいます。例えば次のような人です。

それぞれ詳しく説明します。

途中で退職した人

上述の通り、一部の場合を除いて、年の途中で退職した人に関しては基本的に年末調整の必要がありません。退職後、その年の年末時点で他の会社に就職しているのであれば、その転職先にて年末調整を行うことになるからです。

そこで年末調整が不要となった企業側としても、退職した方にその年分の給料を集計した「源泉徴収票」を交付する対応が求められます。その源泉徴収票の記載内容を参考に、年末調整あるいは確定申告を行うことになるからです。

給与総額が2,000万円を超える人

従業員として働いている場合でも、給与の総額が2,000万円を上回るのであれば、年末調整の対象から外れます。2,000万円を超える給与を受けている方は、自分で確定申告をしなければなりません。

年収2,000万円ということは、概算で月当たり150万円ほどの給料を受け取っていることになります。従業員としてこのような額をもらっているケースはレアですが、従業員として勤め続けていても確定申告が必要な可能性があることは知っておくと良いでしょう。

2ヶ所以上から給与を受け取っている人

ある方に関する年末調整は1つの勤め先からしか行うことができません。そこで複数の会社に勤めている方に関しては複雑な処理を要します。

例えば会社Aで主に勤め、会社Bで副業を行っているとします。
このとき、会社Aでのみ年末調整を行い年末調整済みの源泉徴収票を受け取り、会社Bでは年間給与を集計した年末調整をしていない源泉徴収票を受け取ります。そしてこれらをもって確定申告を行うことになります。

扶養控除等(異動)申告書を提出していない人

年末調整を受けるためには、上述の通り、勤めている会社へ給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を出さないといけません。雇用形態に関わらず提出する必要があり、もしこれを提出しなかったときは年末調整を行うことができません。この申告書の内容に応じて源泉徴収額が定まりますし、企業としても、申告書の提出をしなかった従業員に対して年末調整を行う義務はありません。

近年は副業も一般的になりつつあり、複数の会社に勤める、あるいは勤務時間外は個人事業主として働く、などの選択肢も珍しくなくなっています。状況が複雑で年末調整の処理に関する疑問点や不安があるという場合は、一度税理士に相談すると良いです。どのような対応が必要か、プロの視点から的確な助言をしてくれるでしょう。

創業時に頼りになる実務家として、法律に強い弁護士や司法書士、行政書士などがいます。しかし会社の立ち上げ前後ではお金の流れが発生しますし、それに伴い税務も発生します。そこで税理士も創業支援に関わる実務家として挙げることができます。

具体的にはどのような支援をしてくれるのでしょうか。当記事で、税理士が創業時に支援できることを紹介します。

税理士の基本的な業務内容

そもそも税理士は、「税務代理」や「税務書類の作成」、「税務相談」などが主な対応業務です。

税務署に提出する書類を作成し、会社の代わりに書類の提出を行います。法人税やその他税に係る申告書の作成、申告書を作成するために必要な書類、あるいは添付書類の作成、計算なども依頼することができます。

また、代行だけでなく、税務全般につき相談対応もしてくれます。「節税をしたいけど、何から始めれば良いですか?」「融資を成功させるために何をすべきですか?」など、多様な相談を行うことができます。

その他、日々の記帳の代行や、ビジネスに強い税理士であれば経営に関するアドバイス、コンサルなども対応してくれます。

創業に関して税理士ができること

創業にあたり、資本金の額を定めたり、税務署に対して書類を提出したり、さまざまな業務が発生します。運転資金の準備も必要ですし、場合によっては事業計画書の作成も行わなければなりません。これらさまざまな場面で税理士が頼りになります。

創業に関して税理士が支援できることとしては、次のことが挙げられます。

それぞれの詳細を以下にまとめます。

節税対策

税理士は、節税に関する支援を行うことができます。税制を深く理解している専門家だからこそできることであり、法令に抵触することなく、最大限節税効果を高めることが期待できます。

税制に精通していない方が節税対策に取り組んでも、大きな効果が得られなかったり、脱税になってしまったり、といった問題が生じます。また、節税の方法を調査したり実践したりする過程で余計な手間や時間をかけてしまい、結局余分にコストが増えてしまう可能性も出てきます。

一方で税理士に相談すれば企業の方が調査をする必要はなく、アドバイスに従って必要最低限の労力で節税効果が得られることでしょう。

そして節税対策は創業時から始められます。

資本金の額は創業後の税負担を左右する一要因であり、資本金の額が大きいほど税負担は増す傾向にあります。資本金を多く備えることで、対外的な評価を高めたり融資の成功率を上げたりといった効果も期待できますが、むやみに高額にすべきではないのです。さまざまな事情を考慮した、自社にとって最適な資本金の額とはいくらなのか、税理士に相談すると良いでしょう。

税務署に対する手続

会社は毎年税務署に対して各種申告書の提出と納税をしなければなりません。

創業時は前年の実績がないため、いきなり申告・納税を行う必要はありませんが、法人を立ち上げたことの届出必要です。また、青色申告の形式で今後申告をしたいとき、従業員を雇って給与が発生するときなど、状況に応じて税務署に対する手続が発生します。

<創業にあたり税務署で行うことになる手続>

事業の立ち上げで忙しい時期に、税務署など役所に対する手続もこなさなければならないのですが、税理士の支援を受けることで省力化が図れます。

資金調達の相談

資本金の確保など、創業にあたりお金の準備が必要です。自己資金が潤沢な方はこの点大きな問題とならないかもしれませんが、多くの場合、創業融資など、資金調達に取り掛かる必要があります。

税理士の独占業務ではありませんが、法人の対応、とりわけ資金調達に強い税理士であれば創業時の資金調達についても支援することができます。

現状を踏まえ、どのような手段で資金を集めるべきか、融資や出資、助成金・補助金の活用など、さまざまな手段についてサポートが受けられるでしょう。

事業計画書の作成相談

創業時に事業計画書を作成することがあります。

法人口座の開設、融資、取引交渉など、重要な場面で相手方から事業計画書の提出を求められることがあるのです。

特に、実績のない創業時は自社の信用を高めるために事業計画書の中身が重要な役割を果たします。今後どのようなビジネスを展開しようと考えているのか、どのような成果が出ると見込んでいるのか、その根拠はどこにあるのか、創業後はどのようなお金の流れが生じるのか、綿密に計画をまとめていかなくてはなりません。

その作業に関して税理士を頼ることができます。

創業後のお金の使い方の相談

創業後、いきなり安定的に利益を出すことは難しいです。あらかじめ備えた資金を消費しながら利益の向上を狙うこととなり、良好な経済状況にまで持っていくには適切なお金の使い方を知っておかないといけません。

税理士はお金の取り扱いにも詳しいため、創業からの資金管理、資金運用についても支援が可能です。

役員報酬の設定、従業員に対する給与の設定、その他経費の使い方など、最適なお金の使い方について相談できます。

創業支援に強い税理士探しがポイント

申告書の作成、税務署に対する各種届出書の提出などは、税理士の基本的な業務です。そのため基本的にどの税理士にも依頼することができます。

ただ、税理士にも各々得意とする専門分野があります。相続税に強い税理士もいれば、法人税に強い税理士もいます。

そのため税理士であっても、創業に関して満足のいく支援をしてくれるとは限りません。特に税理士の独占業務ではない、資金調達のアドバイス、事業計画書の作成支援などを依頼するのであれば慎重に税理士を選定する必要があります。

税理士事務所のWebサイトにアクセスするなどして、過去の実績をチェックしてみましょう。これまでどのような案件を取り扱ってきたのか、強みとする分野は何か、記載されていると思われます。

どの税理士でも同じ効果が得られるとは考えず、創業に強い税理士を見定めるようにしましょう。

長期的な関係性が費用対効果を高める

税理士に依頼することでさまざまな恩恵を得られます。しかしネックとなるのが税理士費用です。そこで、税理士費用に見合うだけの効果があるのかどうか、費用対効果も考慮しないといけません。

何も考えず依頼できる最大限の業務を任せた場合、大きなコストがかかってしまいます。自社にとって大きな必要性がない業務まで広範に委任していると、費用対効果は落ちてしまいます。そこで税理士事務所の料金設定の内容を確認することはもちろん、対応してもらう範囲についても熟慮しないといけません。

また、費用対効果を高める方法の1つに「長期的に自社に携わってもらうこと」が挙げられます。単発で依頼を出すのではなく、同じ税理士に継続的に相談にのってもらうことで、税理士も自社について詳しくなってきます。
自社の状況を理解してくれていると、依頼も効率的にできますし、より的確なアドバイスが期待できるようにもなります。

創業時から関係性を持つ税理士だとなおさらです。その後も効率的・効果的に税務や企業活動に関わる業務の依頼を出すことができるでしょう。

「年末調整」は、給与の支払時に源泉徴収した所得税と、納付する所得税との過不足を調整することをいいます。ここでは、具体的にどのように過不足を調整していくのか、年末調整の計算方法について解説していきます。

給与総額・社会保険料・源泉徴収税額の集計

まず、1月~12月の間に支払った「給与総額」、控除した「社会保険料」、差し引きした「源泉徴収税額」の3つを従業員ごとに集計します。

このとき、賞与もここに含まれることに注意しましょう。

また、12月の給与や賞与については、まだ実際に支払っていないことが予想されるため、見込みの金額で算出します。さらに、その年の途中で入社した従業員については、前の勤め先である会社が発行した源泉徴収票に記載された金額を合算することも忘れてはいけません。

給与所得の算出

次に、「給与総額」から「給与所得控除額」を差し引いて「給与所得額」を算出します。

なお、給与所得控除額は給与総額によって異なりますので、以下の表に従って算出していきます。

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
1,625,000円まで 550,000円
1,625,001円~1,800,000円まで 収入金額×40%-100,000円
1,800,001円~3,600,000円まで 収入金額×30%-80,000円
3,600,001円~6,600,000円まで 収入金額×20%-440,000円
6,600,001円~8,500,000円まで 収入金額×10%-1,100,000円
8,500,001円~ 1,950,000円

引用:国税庁 No.1410 給与所得控除

また、給与総額が660万円未満のときは、所得税法 別表第五「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」に従って算出していきます。

課税給与所得額の算出

続いて、算出された「給与所得額」から「所得控除額」を差し引いて「課税給与所得額」を算出します。

所得控除には、社会保険料控除や基礎控除、生命保険料控除、地震保険料控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除などがあります。

このとき、従業員から提出を受ける「基礎控除申告書」や「保険料控除申告書」、「配偶者控除等申告書」、「扶養控除等申告書」などの書類を基にして算出していきます。

なお、医療費控除や寄付金控除については、年末調整での控除の対象外です。これらの控除を受ける場合は従業員が確定申告を行わなければなりません。

所得税額の算出

「課税給与所得額」に「所得税率」をかけて、さらにそこから「控除額」を差し引いて、「所得税額」を算出します。

所得税率および控除額については以下の表に従って計算をします。

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円~1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円~3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円~6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円~8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円~17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円~39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

引用:国税庁 No.2260 所得税の税率

例えば、課税所得金額が5,000,000円の場合だと、次の計算により、所得税額は572,500円となります。

所得税額 = 5,000,000円×所得税率0.2-控除額427,500円
= 572,500円

住宅ローン控除の適用

住宅ローン控除を適用する従業員の場合は、「所得税額」から「住宅ローン控除額」を差し引きます。住宅ローン控除は、正式には「住宅借入金等特別控除」といいます。

このとき、従業員から提出された「住宅借入金等特別控除申告書」を基に算出していきます。

なお、ここで控除額を差し引けるのは、2回目以降の住宅ローン控除の場合です。控除を受けるのが1回目の場合は個人で確定申告を行う必要があります。1回目の住宅ローン控除については事業主が手続きできないことに留意しましょう。

復興特別所得税を加える

算出された「所得税額」に「復興特別所得税」を加えて、最終的な1年間の所得税及び復興特別所得税、つまり「年調年税額」を算出します。

「復興特別所得税」は、東日本大震災からの復興のための財源確保を目的とした税金で、2013年(平成25年)から2037年(令和19年)までの間、2.1%を所得税と併せて納める必要があります。

「所得税額」に102.1%をかけることで年調年税額が算出されます。

過不足額の清算

最後に、「源泉徴収税額」と「年調年税額」を比較して、過不足額を計算します。

計算した結果、年調年税額が源泉徴収税額よりも多い場合、その差額を従業員から徴収します。

反対に年調年税額が源泉徴収税額よりも少ない場合は、その差額を従業員に還付します。

従業員からの追加徴収または還付によって、過不足額の清算が完了します。過不足額の清算を終えたら、源泉徴収票を発行し、各従業員へ渡します。また、「法定調書合計表」や「給与支払報告書」などの書類を作成し、1月末までに税務署や市町村に提出します。

以上が年末調整における基本的な計算方法・手順です。年末調整は、従業員のいる会社であれば毎年必ず必要になる手続きです。不安な場合や自身のない場合は、国税庁の相談窓口に相談したり、税理士などの専門家に依頼したりすると良いでしょう。