後藤允良税理士事務所

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「相談先・依頼先として契約している税理士を変更したい」「顧問税理士を変えたい」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。変更したい旨を伝えにくい、具体的にどのような手順を踏んで変更すれば良いのかわからない、という方も少なくないと思います。

この記事で税理士を変更する流れについて解説していきますので、手順を知りたい方・トラブルなく変更したい方はぜひ参考にしてください。

まずは契約書で解約についての確認

税理士の変更を検討し始めたなら、まずは現在の税理士と交わした契約書を見直しましょう。

契約書に記載の、解約に関する条項をチェックするのです。ここでのポイントは、「いつまでに解約の申し出をしなければならないのか」ということです。「契約期間満了日の3ヶ月前までに、双方より意思表示がない限り、契約を自動更新する。」といった条項が設けられていることがあるからです。

こうしたケースにおいて、満了日の1ヶ月前に解約の連絡をしても、相手方からその日付での解約は認められないと主張される可能性があります。そのため前もって解約通知の期限は確認しておき、スムーズに解約できないという事態を避けられるようにしましょう。ただ、自動更新期間ではあっても相手方の合意があれば解約はできますし、その時点の合意あるいは契約に基づく違約金の支払いによって解約をすることも可能です。

新たな税理士も先に探しておく

自動更新等の問題がなかったとしても、すぐに解約の申し入れをするのは避けた方が良いです。新たな依頼先となる税理士を探してからにしましょう。すぐに新しい税理士が見つかるとは限りませんし、引継ぎにも時間がかかります。その間、税務調査を受けたり税務上の問題が生じたりするおそれもあります。

そこで、契約書で解約に関する事項を確認したら、次は税理士探しを始めましょう。

新しい税理士を探すときのポイント

新たに税理士を探す場合以下のポイントを押さえておくと良いです。

現在の税理士に解約の連絡

新しく依頼する税理士が見つかれば、現在の税理士に対し解約したい旨を伝えましょう。

ただ、その際には角が立たないように注意しましょう。伝え方やその相手方によっては、解約に伴う書類回収が滞るなどの問題が生じ得ます。

そこで円満に解約できるよう、感情的になることなく連絡を取りましょう。

「知人(あるいは親戚)が税理士事務所を開いたから」という理由は解約にあたっての決まり文句として使えますし、角も立ちにくいです。

預けていた書類やデータを回収

無事解約へと進めることができれば、引継ぎのためにも、税理士に預けていた書類およびデータを回収しましょう。これが税理士変更における重要なポイントとなります。

トラブルを避けるため、回収に係る連絡も丁寧に行いましょう。

データの回収をスムーズに行うためには、事前に、契約書に回収すべきデータの引渡し方法なども明記しておくと良いです。

なお、回収の申し入れになかなか対応してもらえないときには、税理士会に苦情相談をしましょう。

回収すべき書類やデータの例

回収すべき書類・データの具体例を以下に示します。

e-Tax関連の情報の取扱いにも留意しましょう。登録メールアドレスの変更や暗証番号の変更、メッセージボックスの転送設定など、セキュリティ上のリスクが生じないように調整しましょう。

新たな税理士との契約と引き継ぎ

書類等の回収ができていれば引き継ぎもスムーズにできます。新たな契約内容に応じ、税理士から指定を受けた書類等を提出しましょう。

形式上は新たな税理士との「契約日」と「業務開始日」は一致することが多いですが、実際は業務の開始に先立って契約を締結させて引継ぎ等を行う例が多いです。

細かくは各税理士によって段取りが異なりますので、移行時期は密にコミュニケーションを取り問題が生じないようにしましょう。

会社形態としてもっともメジャーなのは「株式会社」です。設立数も多く、一般にも広く知られていると言えます。

他方で、「合同会社」も近年設立数を伸ばしている会社形態です。徐々に知名度も増してきています。

そこで会社を設立する際、株式会社にしようかそれとも合同会社にしようか、と悩むこともあるでしょう。この記事でそれぞれの違いを整理していきますので、参考にしていただければと思います。

会社設立費用

潤沢な資金を備えていないのであれば、会社を設立するための費用が気になるところかと思います。

昔と違って、資本金の額に下限はありませんので比較的設立をしやすくなったと言えますが、1人会社としての設立・スモールビジネスの立ち上げといったケースでは数万円を大きな差と感じることもあるでしょう。

結論から言うと、株式会社のほうがやや設立費用は高くなります。

その理由としては大きく2つ、①定款の認証の必要性、②設立登記に要する登録免許税、が挙げられます。

どちらの会社形態であっても定款自体が必要である点違いはありません。しかし株式会社の場合には公証役場にて認証手続を経なければなりません。そしてその手続に際して、公証人に対し手数料を支払わなければならないのです。

ただ、近年この手数料につき改定がなされており、株式会社における負担が小さくなっています。かつて手数料は「5万円」と設定されていたのですが、執筆時点(2022年6月時点)では以下のように設定されています。

※2022年4年1月1日からこの手数料額が適用されている

こちらも参照してみると良いでしょう。

https://www.koshonin.gr.jp/business/b07_4/q07_4_03

また、会社は各種手続を済ませ、最後に設立登記をしなければなりません。これをもって会社成立となるからです。

ただ、ここでも費用が発生します。資本金の額に応じた登録免許税を支払わなければなりません。株式会社も合同会社も資本金の額に0.7%を乗じた額であるため同額になるケースが多いのですが、「株式会社では最低額15万円」「合同会社では最低額6万円」と差が出ることもあります。

所有と経営の関係

株式会社では会社の所有者と経営者が分離しています。小規模の会社であれば一致することもありますが、株式会社ではこれが一致しないことも想定されています。株式が公開されていると経営に直接携わらない社員(株主)が増えてきますが、これを許すことでより資金調達を容易にすることができ、ビジネスの拡大が狙いやすくなっているのです。

これに対し合同会社では所有と経営が一致しています。経営者を社員以外から選任することはできません。そのため会社全体の一体感は増しますが、結果として、広く資金調達を行うことは難しくなります。

会社の代表者

株式会社の場合、社員が会社を代表するわけではありません。各取締役が会社を代表します。

※代表取締役を定めることもできる

これに対し合同会社では前項の通り所有と経営が一致しており、各社員がその会社の経営者でもあり、代表にもなります。

※代表社員を定めることもできる

経営者の任期

株式会社の経営者である取締役は、任期が原則として「2年」と法律で定められています。あくまで取締役は会社から委任されて経営という仕事をしている人物なのであり、会社の所有者ではないからです。期間を限定して会社の経営権を持たせることにより強い支配力がいつまでも維持できないようにしているのです。

ただし株式の譲渡制限を定款で設けている場合には「10年」まで任期を伸ばすことが認められています。また、監査役に関しては取締役の見張り役として働くことになるため、取締役よりも長い「4年」が原則の任期とされています(株式の譲渡制限があるなら「10年」まで伸長可能)。

他方、合同会社では所有と経営が一致している関係から、経営者である社員に任期もありません。

決算公告の必要性

株式会社には公告の義務があります。株主や債権者などの利害関係者に対しお知らせをするための手続です。

決算に関しても毎年行う必要があります。

これに対し合同会社では公告が不要です。定款に定めることも可能ですが、定めなくても何ら問題はありません。

社会的なイメージ・信用度

社会的なイメージ・信用度については、ルール・制度的な違いではありませんが、無視することができない要素です。

会社として事業を行っていくためには取引の相手方からある程度信用を得ていなければならないからです。信用がされていないと、たとえ優れたサービスや品物が提供できるとしても、取引ができず利益を出すことができません。

株式会社・合同会社の違いだけで大きな差がつくわけではありませんが、特に一般消費者からすると聞きなれない社名に対し警戒心を持つ可能性があります。株式会社なら聞き馴染みがある一方、合同会社だと知名度という点でやや劣ってしまいます。

最近では合同会社という名称も周知されてきましたが、自社サービス等の内容を鑑みて検討する必要があるでしょう。

株式会社と合同会社の比較まとめ

細かなルールの違いはいろいろありますが、大雑把に言うと「家族経営などで、スモールビジネスを始める場合に適しているのが合同会社」「多くの資金を集めて大きな規模に事業を展開するのに適しているのが株式会社」と言えるでしょう。

合同会社なら少ない費用で設立ができ、経営も比較的自由に行うことができます。

これに対し株式会社は経営者に法令上の制約がかけられ、厳格なルールの下運営をしていく必要があります。株主との関係にも配慮しなければなりません。しかし広く投資を受けることができ、大きな資金力を得やすいという良さも持っているのです。

所得のある方の多くには確定申告の義務が生じます。サラリーマンの方など、直接申告作業をする必要のないケースもありますが、納税はしているのであり各人の所得につき確定申告は行われています。

当たり前のように毎年確定申告が行われていますが、その意味を考えたことはありますでしょうか。確定申告の義務が生じる要件、申告の方法など詳しく理解している方はそれほど多くないのが実情でしょう。ここで確定申告について解説し、節税の観点から重要となる「青色申告」と「白色申告」の違いについても言及していきます。

確定申告とは

そもそも「確定申告」とは、1月1日~12月31日の1年間に発生したすべての所得等の金額を国に申告することを言います。そこから所得税等の額を算出することで、源泉徴収された税金などの過不足を精算する手続でもあります。

確定申告の義務が生じる4つのパターン

確定申告が必要になる方は、大きく以下4つのパターンに分けられます。下表のいずれかのパターンにあてはまるときには所得税につき確定申告をしなければなりません。

給与所得がある方
  1. 所得の合計から所得控除を差し引き、課税所得を算出
  2. 課税所得に税率を乗じて所得税額を算出
  3. 所得税額から配当控除額と年末調整の際に控除を受けた住宅借入金等特別控除額を差し引く

この時点で残額があり、給与のすべてが源泉徴収の対象であって所得金額の合計が20万円を超える、など所定の事由に該当する場合に申告義務が生ずる。

※なお、多くの方は年末調整で所得税等が精算されるため申告は不要

公的年金等に係る雑所得のみの方 雑所得の額から所得控除を差し引き、残額がある場合に申告義務あり

※なお、公的年金等の収入額が400万円以下で、かつ、そのすべて源泉徴収の対象である場合、申告は必要ない

退職所得がある方 外国企業から退職金を受け取っているなど、源泉徴収されない所得がある場合に申告義務あり
1から3以外の方
  1. 所得の合計から所得控除を差し引き、課税所得を算出
  2. 課税所得に税率を乗じて所得税額を算出
  3. 所得税額から配当控除額を差し引く

この時点で残額がある場合、申告義務が生ずる

※なお、公的年金等の収入額が400万円以下で、かつ、そのすべてが源泉徴収の対象になる場合、公的年金等に係る雑所得以外の所得が20万円以下であるなら、確定申告の必要はない

青色申告と白色申告の違い

「青色申告」とは、一定の水準で記帳を行い、正しい申告をすることで税制上の特典を受けることができるという「青色申告制度」に基づく申告方法のことです。

原則として複式簿記での帳簿をしなければならず、申告義務者に一定の負担はかかりますが、控除の額が増えるなどの恩恵が得られます。

これに対し「白色申告」は簡易帳簿に基づく申告方法のことです。帳簿付けが簡単である反面、節税効果は小さくなります。

こうして比較すると青色申告と白色申告は一長一短で、どちらを選択しても問題ないように思えるかもしれません。しかしそれぞれで得られるメリットにつき慎重に検討することが大切です。青色申告で得られる節税効果はかなり大きく、実際、多くの方が青色申告を選択しています。

具体的な違いを以下に挙げていきます。

青色申告特別控除の利用可否

青色申告を選択した方全員が共通して利用できる控除が「青色申告特別控除」です。所得の計算にあたり、最大65万円を差し引くことが可能となります。

確定申告書を期限までに提出するなど基本的な要件を満たすことで55万円を差し引くことができ、「e-Taxによる電子申告」または「電子帳簿保存を行っている」場合には65万円を差し引くことができます。

電子申告等への対応は面倒に感じるかもしれませんが、今後電子申告、オンライン手続が利用される機会は増えていくと見られます。早期に対応しておき、節税効果も高めておくと良いでしょう。

なお、白色申告ではこの特別控除は一切適用されません。

青色事業専従者給与の経費への算入可否

青色申告の場合、一緒に暮らしているなど、生計を一にしている配偶者・その他親族を従業員としている場合、その給与を原則として全額必要経費に計上できます。

他方、白色申告では専従者1人につき最高50万円(配偶者については86万円)までが限度となっています。それ以上の給与を与えても節税の効果は得られません。

なお、青色申告であっても給与額の設定には十分留意しなければなりません。必要以上に大きな給与を与え、不当な節税効果を得ようとしないようにしましょう。従事した期間や労務の性質、同種の事業における相場などと照らし合わせて、相当と認められなければなりません。

また、この特典を受けるには所轄の税務署長に対し届出書を行っていなければなりません。

純損失または欠損金の繰越し・繰戻しの可否

青色申告の方は、事業により生じた純損失を3年に渡り繰越すことが認められています。ある年の純損失を別の年の所得金額から差し引くことができ、事業継続性を保ちやすくなります。

さらに、繰越しではなく、その損失額を前年の所得金額に繰戻して控除することも認められています。これにより前年分の所得税額の還付を受けることもできるのです。

他方、白色申告の場合繰戻しはできません。繰越しに関しては被災事業用資産の損失などに限って可能ですが、基本的にはできません。

具体的な節税効果の比較

具体例で節税効果の比較をしてみましょう。なお、具体的な金額は法改正などにより変動することがあります。以下で示す内容はおおよその節税効果を把握するにとどまるということに留意して見ていきましょう。

600万円の事業利益があり、その他以下の控除が利用できるケースを考えてみましょう。

白色申告だと、各控除を利益から差し引いて税額を計算すると、「所得税」「復興特別所得税」「事業税」「住民税」の合計は1,128,700円になります。

これに対し青色申告だと、青色申告特別控除で最大65万円の控除が利用でき、税金の合計は930,900円となります。白色申告と比べると10万円近く納める金額が下がります。

上の事例において、配偶者等の事業専従者がいるケース考えてみましょう。利益や各控除額は同じとし、青色事業専従者給与は120万円とします。

白色申告だと事業専従者控除の限度が86万円ですので、税額の合計は934,700円になります。

これに対し青色申告では120万円満額を利益から差し引くことができ、税額の合計は636,900円になります。また配偶者の税負担は発生するため、本人と配偶者合わせると670,000円になります。白色申告と比べると約26万円の節税効果が得られます。

 

税額の計算、申告の作業、日々の帳簿付け、節税対策などは最新の税制をすべて理解していることが大切です。また、確定申告の時期に焦って対応していると大きな労力を要しますしミスも発生しやすくなってしまいますので、これらの作業は税理士に対応してもらうと良いでしょう。

会社を設立するなら「定款」を作成しなければなりません。単なる会社のルールとして機能するだけでなく、その記載内容によって会社の形態が決まりますし、なによりこれを欠いて会社設立することは不可能だからです。
そこでこの記事では、会社設立をする場合どのようにして定款を作成することになるのか、どのような要件があるのか、といった内容を解説します。

会社設立時の定款作成で必要になること

有効に会社設立をするためには、定款作成にあたってすべきこと、記載すべきことがいくつかあります。以下の要点を抑えておきましょう。

絶対的記載事項の定め

定款の記載事項として特に重要な「絶対的記載事項」というものがあります。

例えば会社の「目的」や「商号」、「本店所在地」、「設立時に出資される財産の価額またはその最低額」「発起人の氏名または名称および住所」です。

これら絶対的記載事項を欠いた定款は効力をなしません。

特に「設立時に出資される財産の価額またはその最低額」と「発起人の氏名または名称および住所」に関しては、設立時にのみ考慮する事項です。

また「発行可能株式総数」についても定める必要がありますが、これは原始定款作成の段階で定められている必要はありません。なぜなら、設立過程で株式の引受けや失権の状況が変わることがあるからです。状況を見つつ、適切な数を定めたほうが良いという理由です。

そこで、最低限、会社設立が完了する時までに定款に記載されていれば良いとされています。

法改正によって徐々に柔軟化されており、会社設立の自由度は高まりつつあります。例えば公告方法に関してもかつては絶対的記載事項とされていましたが、今では相対的記載事項として、必ずしも定めを置く必要はなくなっています(定めなければ「官報」が公告方法になる)。

なお、「定時株主総会の開催月」「事業年度の定め」などは任意的記載事項であり、定款への記載がなくても問題はありません。

機関の設計

株主総会や取締役、監査役といった機関の設計も行います。

といっても発起人が完全に好き勝手設計できるものではなく、会社法に背かない範囲で設計していくことになります。例えば株主総会を設けないことはできませんし、取締役がいない株式会社も存在しません。

よくある例としては、以下の機関を設けた会社です。

会社の規模を考慮して、専門家の意見も取り入れつつ検討することが大事です。

発起人全員の署名または記名押印

適切な形で定款の中身が作られたとして、その定款に対しては「発起人の全員の署名」または「発起人全員の記名押印」がなければなりません。

公証人による認証

必要な事項を記載し、発起人による署名等が付された定款は、公証人による「認証」を受けることでようやく効力を生じます。

そこで、会社の本店所在地を管轄する法務局(または地方法務局)にて、公証人の認証を受けましょう。

定款の書き方にも相場がある

定款の中身は会社によって様々です。

しかし実際のところ、共通している項目も多いです。

特に上場企業では公開準備に伴い定款の見直しを行うことになり、上場の要件を満たすように見直されるため、似たような形となっているケースが多いです。

各証券代行機関は全国株懇連合会の雛型を参考にモデル定款を作成する例が多いため、参考にする場合は全国株懇連合会の雛型を確認してみると良いでしょう。

また、近年の定款はボリュームが縮小する傾向にあります。

株式の取扱いなどの事務的な事柄、取締役会の運営など自治の問題などは定款に定めず、「株式取扱規則」「取締役会規則」に委ねるケースが多いです。

※株式取扱規程:定款からの授権に基づき、株主権行使に関することなどをまとめたもの

※取締役会規則:招集権の定め、開催の頻度など、取締役会に関するルールを成文化したもの

会社の規模や性質による定款の違い

株主総会、取締役および取締役会、監査役から構成される株式会社の場合、通常、以下のように定款が章立てされます。

  1. 総則
    商号や目的、本店所在地、機関の設置、公告の方法などを記載
  2. 株式
    発行可能株式総数や単元株式の定め、単元未満株主の権利、株主名簿管理人の設置、株式譲渡制限などを記載
  3. 株主総会
    株主総会の招集に関することや定時株主総会の基準日、招集権者、議長、決議の方法、議決権の代理行使などを記載
  4. 取締役および取締役会
    取締役の員数、選解任、任期、累積投票の排除、代表取締役の選定、報酬、責任免除、取締役会の招集、招集権者、議長、決議の方法、取締会規則に関することなどを記載
  5. 監査役
    監査役の員数、選任方法、任期、報酬、責任免除に関することなどを記載
  6. 計算
    事業年度や剰余金配当の基準日、配当財産の除籍期間などを記載
  7. 附則
    変態設立事項、設立に際して出資する財産の価額または最低額、発起人の氏名(名称)および住所、発起人の引受株数、最初の事業年度、経過的事項などを記載

ただし、「大会社かどうか」「公開会社かどうか」によって章立てや内容が大きく変わります。

例えば、大会社かつ公開会社であれば、総則の章において取締役会と監査役に加え監査役会と会計監査人を置く旨規定します。

大会社かつ非公開会社でも基本的な部分は同じですが、株式に関する、単元株式・単元未満株主の権利・株主名簿管理人・振替制度などの事項は大きく異なります。公開会社に比べて株主の移動が少ないという前提があるからです。

他方で、大多数を占める株式会社は中小会社かつ非公開会社です。

このとき、監査役の権限を会計に関するものに限定することも考えられます。ただしこの場合、取締役に対し、取締役の同意または取締役会決議による責任刑減の制度が適用されなくなることには注意が必要です。

定款の変更も可能だがハードルが高いため要注意

定款は会社設立後に変更することも可能です。そのため事業の進捗に合わせ、変動することを見越した定款の内容にすることも可能です。

ただし、定款の変更は簡単にできることではないため要注意です。

定款変更には株主総会での特別決議が必要

まず、原則として定款変更では「株主総会での特別決議」を経る必要があることは理解しておきましょう。

普通決議であれば株主の半数ほどから同意が得られていれば足りるところ、特別決議の場合には2/3以上の同意が必要です(厳密な要件は要確認)。

そのため後から変更をしようと考えても、もはや発起人の考えだけで変更することはできないのです。

また、定款変更には株主の意思を反映させることが重要であるため、株主総会以外の機関や第三者に定款変更を委任することもできません。具体的内容まで株主総会で決める必要があり、「大枠のみを株主総会で決め、細目は取締役会に委任する」といったことも通常認められません。

定款変更手続きの例外

基本的には定款変更手続きとして特別決議が必要ですが、例外もあります。

変更する内容に応じて、さらに厳格な要件が求められることもあれば、逆に株主総会決議が不要なケースもあるのです。

例えば、定款の記載方法を横書きから縦書きに変更するだけであれば「形式的意義の定款変更」として、株主総会は不要です。

しかしながら、条文の配列、句読点の打ち方、使用する漢字、送り仮名の変更など、字句の変更を行う場合には「実質的意義の定款変更」にあたる可能性があり、そうすると株主総会を省略することはできません。字句の変更に対しどのように扱うべきなのかは判断が難しいです。

定款変更にも限界がある

任意的記載事項はもちろん、原則として絶対的記載事項や相対的記載事項などいずれも自由に変更することができます。

ただし、強行法規や公序良俗に背く内容は無効ですし、株式会社の本質に適合しない内容、株主平等原則に反する内容も無効になると考えられています。

そのため、法令上特定事項につき変更が禁止されている旨明記されていなくても、すべてが自由に記載できるわけではない点注意しましょう。

なお、過去には「取締役等の資格を日本国籍保持者に限る」旨の定款を有効と判断した判例があります。私法的自治の範疇であり公序良俗に反しない、外国人に対する不合理で差別的な取扱いでもないと判示されたのです。ただ、これは昭和46年における判例であり、現代のグローバルな環境下にまで絶対的に適用される規範とまでは言い切れません。

この判例のみならず、過去の事例を参考にしてグレーな事項を定めても、判例が変更される可能性はありますのでこの点も注意が必要でしょう。

設立段階で会社の将来にも意識を向けることが大切

ここで説明した通り、定款にも相場がありますので、書き方で悩んでいる方は他社の定款やひな形を参考にしてみると良いでしょう。

その際は、自社の機関設計に合ったものとすること、また将来起こり得る定款変更の可能性にも意識を向けることが大切です。

困ったときには、会社設立に強い専門家への相談をおすすめします。

会社設立とは、法人たる営利社団を設立することをいいます。したがって、0から起業する場合以外にも、個人事業主が法人化する場合も会社設立に含まれているといえます。

例えば、事業主体を個人から法人に変えることで、一般に、社会的な信用が担保されるため、取引相手やその内容の幅・規模を拡大することが期待できます。また、優秀な人材の雇用や資金繰り、節税、融資制度の利用、といった様々な点においてメリットがあります。

■会社を設立するには

会社の設立は、商号や事業目的、発行株式数、資本金、設立時役員等といった会社の基礎となる事項の策定から開始します。基本事項を決定したら、定款作成や創立総会等を経て、最終的には設立登記によって会社が成立します。

会社設立の過程では、各種手続きにおいて登録免許税や公証人手数料、収入印紙代といった費用がかかります。これらを合わせると、株式会社なら最低で約24万円、合同会社なら最低6万円程度が必要となります。

後藤允良税理士事務所では、横浜市、川崎市、大田区を中心に、神奈川県、東京都の地域で、会社設立、起業支援に関するご相談を承っております。お悩みの際には当事務所までご相談ください。

会社設立は以下の概要に沿って進めるのが一般的です。

⑴会社の基本事項の策定と決定

会社を設立するにあたっては、会社の核となる基本事項を決定する必要があります。具体的には、商号(会社名)や、所在地、事業の目的、出資者、資本金、設立時役員、事業年度などを決定します。商号が決まったら、会社の実印を作成しておくとよいでしょう。

⑵印鑑証明書の取得

発起人全員の印鑑証明書をそれぞれ取得します。発起人が設立時役員を兼ねている場合には、2通の印鑑証明書を取得しておきます。

⑶定款の作成

「会社の憲法」ともいわれる定款を作成していきます。定款は、⑴で決定した基本事項をもとに作成していきます。記載する事項は、以下の3つに分けられます。

・絶対的記載事項→記載しなければ定款そのものが無効になる事項
・相対的記載事項→記載しなければその事柄が有効とならない事項
・任意的記載事項→記載するかは自由な事項

一般的には紙の書面で作成していきますが、電子文書で作成する(電子定款)ケースも増えてきています。なお、電子定款は、収入印紙の貼付が必要ありませんが、電子証明書や住民基本台帳カードなどを事前に取得しておくなどの別途用意が必要です。

定款を作成したら、発起人全員の署名又は記名押印をします(会社法26条1項)。

⑷創立総会の開催(株式会社の場合)

募集設立によって株式会社を設立した場合、発起人の招集により(会社法65条1項、85条1項)、設立時発行株式の株主全員を構成員とする創立総会を開催しなければなりません(会社法65条、84条)。発起人は、出資金の払込期日または払込期間の末日以降に遅滞なく創立集会を招集します。

招集は公開会社の場合は2週間前まで、非公開会社の場合は1週間前までに、発起人が、書面で日時・場所等を通知して行います(会社法68条)。

創立総会では、以下の事項を決定します。

・設立事項の発起人報告(会社法87条)
・設立時役員の選任(会社法88条、90条)
・設立時取締役等による調査報告(会社法93条)
・定款変更(会社法96条)
・会社設立廃止の決議(会社法66条)

⑸定款認証(株式会社の場合)

株式会社を設立する場合、本店所在地管轄の公証役場で作成した定款の認証を受ける必要があります(会社法30条1項)。定款認証の際には、定款認証手数料が50000円、収入印紙代が40000円、謄本手数料が1頁あたり250円必要となります。

⑹登記申請書類の作成

登記申請書類を作成し、代表者の実印を押します。申請書類の用紙にはA4版を使用し、横書きで記載します。

登記申請の際には登録免許税が必要です。株式会社の場合は最低でも150000万円、合同会社の場合は最低でも60000万円を収入印紙又は領収証書で納付します。
なお、収入印紙又は領収証書は登記申請書の台紙に貼付けます。

⑺登記書類の提出

設立する会社の所在地管轄の法務局で設立の登記(会社法49条)を行います。

以上が会社設立の一般的な流れとなります。設立登記の完了後は、税務署などの各種行政機関への届け出手続きがあるため、スケジュール管理は計画的に組んでおきましょう。

後藤允良税理士事務所では、横浜市、川崎市、大田区を中心に、神奈川県、東京都の地域で、会社設立、起業支援に関するご相談を承っております。
お悩みの際には当事務所までご相談ください。

人の死亡を原因として、一定の親族者に被相続人の財産上の地位を承継させることを相続といいます(民法896条)。相続は、人の死亡によって開始します(民法882条)。

相続財産となるのは、権利や現金、預金や不動産などプラスの財産だけではなく、借金やローンなどのマイナスの財産上の地位も相続の対象となります。

相続される人のことを被相続人といい、相続する人のことを相続人といいます。民法によって相続人の範囲は規定されていて、個別具体的にだれが相続人となるか、また相続人それぞれの相続分がどれくらいであるかというのは、被相続人の親族関係などによって変わります。

相続財産は、遺産分割協議で相続人全員の同意のもとで作成された遺産分割協議書に基づいて分割されます。遺産分割協議がまとまるまでは、相続財産は相続人全員の共有財産となりますので、勝手に処分しないように注意してください。

後藤允良税理士事務所では神奈川県や東京都を中心に、「相続分」や「相続税の計算や申告」など「相続」に関するご相談を承っております。相続関係でご不明な点や、相続についてお困りでしたら、当事務所までお気軽にご相談ください。

相続とは、故人の財産上の地位を承継することをいいます。相続は、人の死亡によって開始します(民法882条)。家族が死亡したら、はじめに残された家族は故人の本籍地または死亡地、もしくは届出人の住所地の役場に死亡届を提出することです。死亡届の届け出は、故人の死亡から7日以内に届けださなければなりません。また、相続は被相続人の住所において開始することとなります(民法883条)ので、相続に関する訴えは、基本的に被相続人の住所を管轄する裁判所に訴えることとなります。

その後、残された家族の方は、故人の遺言書が存在しているかどうかを確認しなければなりません。そして民法や遺言によって相続人が確定されます。

それから、相続財産を把握するために、故人の残した財産や権利義務関係を詳しく調査する必要があります。相続財産とは、故人の財産に属した一切の権利や現金、預金や不動産などプラスの財産だけではなく、ローンや借金、債務などのマイナスの財産のことをいいます。

もし、ローンや借金、債務などのマイナスの財産が現金や銀行預金、不動産や株式などプラスの財産を上回った場合、相続人は相続放棄の手続きをとれば、それらを相続しなくても良くなります。また、条件は厳しくなりますが、限定相続という手段をとることもできます。

相続放棄は、相続の開始もしくは自分が相続人であることを知った時から、3か月以内に家庭裁判所に申し立てることで行うことができます。

その後、遺産分割協議を開始し、各相続人の相続分を確定しなければなりません。個人の相続財産は、遺産分割が確定するまで、法定相続人全員の共有財産となり(民法898条)、確定するまで勝手に処分したりすることはできません。法定相続人全員の協議によって遺産の分割を行い、法定相続人全員の合意の下で遺産分割協議書を作成します。相続財産の分割が終わり、各人の個人財産になった時に初めて、各人が自由に処分することができるようになります。

また、故人の死亡後10か月以内に相続人は、相続税の申告と納税を行う必要があります。

後藤允良税理士事務所では、神奈川県や東京都などを中心に、「相続税」や「相続税の申告」など「相続」に関するご相談を承っております。相続関係でお困りでしたら、当事務所までお気軽にご相談ください。

個人事業主とは、法人を設立せず、個人で事業を営む者をいいます。

個人事業は個人事業主の開業届を出すだけで、個人事業主になれます。手続きが簡単にできることが利点の一つです。詳しく説明すると、個人事業主の届け出をしなくても、確定申告で事業所得として申告しなくてはいけないので、それだけで個人事業主となれます。

個人事業は、開業にかかる費用や事業の経営における費用が少なくて済む一方で、法人と比べて社会的な信用が低いため、融資などが受けにくいというデメリットもあります。また、事業で得た収益は、個人事業主の所得として扱われますので、収益が大きくなるほど、所得の累進税率で税金も高くなります。また、個人事業主の責任範囲は、すべての責任を負う無限責任です。

個人事業主となって事業を始めると、年に一度「確定申告」を行わなければなりません。確定申告には「青色申告」と「白色申告」の二種類があります。

「青色申告」は、複雑な記帳である複式簿記が必要ですが、その代わりに税金の控除額が多いので、節税することができます。対して、「白色申告」は、簡単な形式の単式簿記で記帳が可能なのですが、税金の控除はありません。詳しい内容に関しましては、

「確定申告」や「税金」、「節税」など「個人事業」に関してお悩みでしたら、後藤允良税理士事務所では、神奈川県や東京都を中心に、「税務」に関するご相談を承っております。また、電話対応もしておりますので、お気軽に当事務所までご相談ください。

税理士は法人だけでなく個人事業主の皆様も業務を依頼されます。

個人事業主は法人ほど仕訳も少なく、決算の額も多くはないことがほとんどですが、法人に比べて個人事業主は経理等を任せられる人が少なくなってしまうことは大きな問題かと思います。税理士に個人事業主が税務業務等を依頼することによって、以下のようなメリットがあります。

・経理業務等の負担が少なくなる
・節税効果が期待できる
・日頃から税務に関するアドバイスを受けることが出来る
・外からの信頼が上がる

個人事業主にとって、日頃の仕訳や確定申告業務などは非常に重い負担となります。そのため、個人事業主が税理士に依頼することによって業務の効率化が図れます。まずは税理士にご相談ください。

後藤允良税理士事務所では、横浜市、川崎市、東京都大田区を中心に、東京都、神奈川県のエリアで「不動産」、「記帳代行」、「財務コンサル」に関する税務相談を受け付けております。また、電話相談は全国対応しております。「個人事業主の税理士」に関してお困りのことがございましたら、お気軽に当事務所までお問い合わせください。