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マル経融資とは - 後藤允良税理士事務所

小規模事業者や個人事業主にとって、事業資金の確保は常に大きな課題です。
金融機関からの融資の場合、審査のハードルが高く、担保や保証人を求められるケースも少なくありません。
そこで、中小企業診断士や商工会議所の推薦を受けて利用できる「マル経融資(小規模事業者経営改善資金融資)」は、多くの事業者にとって頼れる制度となっています。
今回は、マル経融資の概要をわかりやすく解説します。

マル経融資の概要

まずは、マル経融資の概要を見ていきましょう。

マル経融資とは

マル経融資は、小規模事業者の経営を支援するために設けられた国の制度融資です。
利用するためには、商工会や商工会議所などが行う経営指導を一定期間受けていることが条件となり、そのうえで団体の推薦を受けた事業者が対象となります。
融資額は最大で2000万円まで申し込むことが可能で、返済期間は最長10年と長期に設定されています。
そのうち最初の2年間は、元金の返済を据え置ける仕組みがあり、資金繰りに余裕を持たせやすい点が特徴です。
適用される金利は「特別利率F」と呼ばれる低水準の利率が適用され、担保や保証人は不要です。
資金調達のハードルが下がり、事業の安定や成長に取り組みやすくなる制度となっています。

危機対応型マル経融資とは

通常のマル経融資に加えて、災害や景気の急変など事業環境が大きく悪化した場合には「危機対応型マル経融資」という特別枠も用意されています。
通常の制度と同様に無担保・無保証人で利用でき、厳しい経営状況に置かれた小規模事業者の資金繰りを支えるための仕組みです。

マル経融資の利用対象者

マル経融資は、小規模事業者の経営改善を後押しする制度で、一定の条件を満たす必要があります。

従業員数が一定以下

対象となるのは、法人・個人事業主いずれも利用可能ですが、常時雇っている従業員数に上限があります。
製造業や建設業などは20人以下、商業やサービス業(ただし宿泊業や娯楽業を除く)の場合は5人以下であることが条件です。

1年以上継続して商工会議所地区内で事業を営んでいる

自分の事業所が属する地域にある経済団体(商工会議所または商工会)の管轄区域で、1年以上事業を継続している必要があります。

原則6か月以上の指導を受け改善に向けた取り組みを行っている

マル経の利用には、商工会・商工会議所の経営改善普及事業のもとで6か月以上、指導を受けているのが前提です。
記録や成果を踏まえて会議所等の推薦審査を受けます。

税金を納めている

マル経融資の利用にあたっては、国税や地方税を滞納していないことが大前提です。
具体的には、所得税や法人税など、事業者として課される主要な税金を期限内に完納している必要があります。

日本政策金融公庫が対象外とする業種でない

マル経融資は「小規模事業者の経営改善」を目的にしています。
制度の対象にそぐわない業種や、公益性の観点から融資が適さないとされる事業は除外されています。

マル経融資を受けるまでの基本的な流れ

マル経融資を受けるまでの流れは、以下の5つのステップです。

①経営指導
②推薦の申請
③推薦手続き
④公庫での審査・決定
⑤融資実行

それぞれ確認していきましょう。

①経営指導

まずは商工会議所または商工会に足を運び、経営相談を開始します。
原則として6か月以上継続的に、記帳・資金繰り・経営改善計画などの指導を受け、実際に改善に取り組むことが必要です。
単なる形式ではなく、事業者が経営をより健全にするための準備期間でもあります。

②推薦の申請

一定期間の経営指導を経たら、商工会議所や商工会に対し「マル経融資を利用したい」と推薦を依頼します。
ここで、これまでの指導内容や改善の進捗が確認されます。

③推薦手続き

推薦依頼を受けた商工会議所では、まず担当者が申込内容や事業の状況を調査・確認します。
その後に内部の審査会にかけられ、問題がなければ最終的に会頭(または会長)の承認を経て、日本政策金融公庫へ正式に推薦されます。

④公庫での審査・決定

推薦書類が日本政策金融公庫に届くと、公庫側で審査が行われます。
事業の実態や返済可能性、税務状況などが総合的に判断されます。

⑤融資実行

承認が下りれば、実際に日本政策金融公庫(沖縄の場合は沖縄振興開発金融公庫)から事業者へ資金が振り込まれます。
ここから返済がスタートし、必要に応じてその後も商工会議所等の経営支援を受けながら事業を進めていくことになります。

マル経融資を利用する際の注意点

マル経融資を利用する際は、以下のポイントに注意しましょう。

融資までに時間がかかる

経営指導→推薦依頼→会議所内部の審査→公庫での審査という流れを経るため、融資実行までに時間がかかります。
資金繰りの予定を立てる際には、この期間を見込んで準備しましょう。

借入後も経営改善の努力が必要

融資を受けて終わりではなく、その後も商工会・商工会議所との関係は続きます。
定期的な経営指導を受けながら、改善や計画実行の姿勢を示すことが信頼につながります。

危機対応型との違いを把握する

前述のように、自然災害や景気悪化など、外部要因で経営に打撃を受けた場合は「危機対応型マル経融資」が利用できるケースもあります。
条件や金利が通常型と異なる場合があるため、状況に応じて確認するのが重要です。

まとめ

マル経融資は、無担保・無保証人で最大2000万円まで利用できる、小規模事業者にとって心強い資金調達制度です。
利用にあたっては一定期間の指導や推薦が必要であり、すぐに資金が得られるわけではありません。
制度の理解に関して不安がある場合は、税理士に相談してください。