後藤允良税理士事務所 > 税務に関する記事一覧 > 会社の「決算報告書」はいつどこに提出しないといけないか
「決算報告書」という言葉は法律上定義されたものではなく、さまざまな書類をまとめて指す便宜的な呼び名です。具体的な中身としては「計算書類」(会社法)や「財務諸表」(金融商品取引法)などであり、これら決算にまつわる書類の作成や提出は一定の期限に従わなければなりません。
どの書類をいつまでに提出しないといけないか、ここで整理しておきましょう。
決算後の書類の提出先は、報告の目的により次のように分けられます。
たとえば税務申告等に関する提出先として税務署や自治体が挙げられますし、株式会社においては会社法上の義務として株主に対する開示も求めています。
その会社が融資を受けているのであれば、契約に基づき金融機関への報告も必要になるでしょう。加えて上場企業は、金融商品取引法に基づき有価証券報告書等を内閣総理大臣(実務的には財務局・金融庁)および取引所へ提出する義務も課されます。
そこで非上場の中小企業(3月末決算)の典型的なスケジュールは次のようになります。
税務申告は原則2ヶ月以内ですし、決算確定と定時株主総会はおおむね事業年度末から3ヶ月以内に行うのが一般的です。そして決算公告は株主総会後遅滞なく行うこととされ、各タイミングが少しずつずれていることがわかります。
申告期限の延長や会社規模による違いもあるため、対応スケジュールに不安があるときはお早めに税理士へご相談ください。
もっとも留意すべきは税務署に対する法人税の確定申告です。
「事業年度が終了した翌日から2ヶ月以内」に、確定した決算に基づいて申告書を提出しないといけないと法定されています。つまり3月31日が決算だとすれば、5月31日が申告と納付の期限となるのです。
※申告書だけでなく、貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書といった書類の添付も必須。
地方税(法人事業税・法人住民税・地方法人税)に関しても、提出期限は法人税と同じく事業年度終了の翌日から2ヶ月以内で、提出先は各都道府県の県税事務所と市区町村の市役所等です(東京23区内は都税事務所)。
※なお地方法人税は国税であり、法人税とあわせて税務署へと申告する。
会社法上、株式会社には事業年度ごとに計算書類(貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表)と事業報告・附属明細書を作成する義務が課されています。
以下の対応が求められることも覚えておきましょう。
| 提出・報告先 | 期限の目安 |
|---|---|
| 定時株主総会 | 事業年度終了後なるべく早く
※実務上、3ヶ月以内に株主総会を開催するのが一般的 |
| 本店および支店 | 定時株主総会の2週間前の日から計算書類等を備え置く
※取締役会設置会社の場合 |
| 官報や自社HP等 | 定時株主総会終結後、遅滞なく |
決算公告に関しては定時株主総会終結後「遅滞なく」行うことが義務とされており、具体的な日数の規定はありません。自社HP等で開示する方法も認められていますので、できるだけ早めに対応しておきましょう。
銀行や信用金庫から決算書の提出を求められることがあります。これは融資契約の継続要件や信用審査が目的で、このときの決算報告書には一般に税務署に提出した決算書一式のコピー(+勘定科目内訳明細書など)を指すことがほとんどです。
提出期限は、法律ではなく契約内容や金融機関の指定によって決まります。多くの場合、契約条項に「決算確定後〇ヶ月以内に決算書を提出すること」などと期限が定められていますので、その内容に従いましょう。
法律上の義務ではありませんが、提出が遅れると契約上の義務違反となってしまい、大きなトラブルに発展するおそれもあるためご注意ください。
上場企業(および一定の非上場企業で有価証券報告書の提出義務がある会社)は、上記の対応に加え金融商品取引法に基づく書類の提出も欠かせません。
上場企業は決算報告書の作成や提出に関してより厳格さが求められるようになりますので、専門家と連携しながら対応することが推奨されています。