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定款の重要性や意義について~定款に定めるべき事項とは~

ビジネスを始めるために会社を立ち上げる場合、「定款」を作成することになります。定款は会社にとって非常に重要な存在であり、そこに記載する内容に関して慎重に検討していく必要があります。
よく「定款の作成が必要」と言われているものの、なぜ必要なのか、なぜ定款は重要なのかと疑問を抱いている方もいるかもしれません。そのような方に向けて、ここでは定款の重要性や存在意義、そしてその内容として定めるべき事項についても解説をしていきます。

定款の重要性

定款は会社のルールブックとして機能するものですが、就業規則などよりも根本的な原則を取りまとめたものであり、会社にとっての憲法とも表現されるほど重要な存在です。

そもそも法令上、定款を作成しなければ会社を設立することができませんので、定款は形式的にも大きな意味を持ちます。
また、許認可を要する事業内容を始める場合には、定款に記載する事業目的が審査の対象にもなります。そのため定款に必要な記載がないと、特定の事業に関しては行うこともできなくなるのです。

組織の在り方に関しても定款の内容次第で変わってきます。
例えば取締役会の設置や監査役の設置など、機関の設置は定款で定めることになります。設置した機関によって対外的な信用の程度や会社の機動力も変わってきますので、この点からも定款の重要性を説くことができるでしょう。

その他会社の基本情報や役員等に対する制限など、定款でしか定められない様々な事柄を必要的あるいは任意的に設けていくことになります。

定款に記載しなければならない事項(絶対的記載事項)

定款への記載が必要的な事項があります。
「絶対的記載事項」と呼ばれ、これを欠く定款は無効となります。

会社法第27条では下表にある5つの記載事項を列挙しています。

絶対的記載事項 記載内容
目的 会社として営む事業の内容を記載する。
何をする会社なのかが分かるよう記載する一方で、細かく記載しすぎると遂行できる事業内容に制約がかかってしまうため注意。
そこで、最後に「前各号に関連する一切の事業」と記載するのが通例。
許認可を取得する予定なら、申請が通るように記載する必要がある。
商号 会社の名称を記載する。
商号と本店の所在地が一致する会社は複数設立できないことに注意。
「株式会社」の文字が含まれていなければならないこと、使用できない文字・記号があることにも注意。
本店の所在地 本店の場所を記載する。
最小行政区画までで良いため、「〇丁目」や「〇番地」までは記載しないことが多い。そうすることで同じエリア内での引っ越しをしても定款の変更をする必要がなくなる。
設立に際して出資される
財産の価額又はその最低額
会社設立のために、何を、いくら出資したのかを記載する。
「金○○万円」などと記載することが多い。
現物出資の場合にはその旨記載する必要がある。
発起人の氏名又は名称及び住所 発起人に関する情報を記載する。
発起人の住所氏名に並べて、割当てられる株式の数と払込金額もまとめて記載することが多い。

発行可能株式総数も定款に記載する

「発行可能株式総数」に関しても定款に記載しましょう。

会社法第27条の絶対的記載事項として列挙はされていませんが、会社設立までに定める必要のある事項です。

特に公開会社として株式を自由に譲渡できるようにする場合、発行可能株式総数はよく考えて設定する必要があります。
「発行済株式総数」の4倍を超える発行可能株式総数を定めることは会社法で禁じられているからです。発行可能な株式数に余裕があり過ぎると、いつでも既存株式の価値を希薄化できてしまうことに由来します。

非公開会社の場合にはこのルールが適用されないため、公開会社ほどシビアに考える必要はないでしょう。

必要に応じて定款への記載が必要な事項の例(相対的記載事項)

絶対的記載事項のように定款への記載が必須とはされていませんが、“ルールとして有効に機能させるためには定款への記載が必要”とされている事項があります。
これを「相対的記載事項」と呼びます。

例えば公開会社・非公開会社を決定づける「株式の譲渡制限」は相対的記載事項です。
譲渡制限を設ける場合、「株式の譲渡をするには、取締役の承認を要する。」などと定款に記載します。取締役以外にも、株主総会や代表取締役を承認機関として定めることも可能です。
譲渡制限を設けると株式の譲渡が自由にできなくなるため、株式を使った資金調達は難しくなりますが、外部の者が経営に参画することを防ぐことができるようになります。

「役員の任期」を伸ばすことも定款への記載により実現可能です。
例えば取締役の場合、公開会社だと原則通り2年の任期に縛られるのですが、非公開会社なら最大10年まで伸ばすことができます。

現物出資をしたときは定款への記載が必要(変態設立事項)

会社を設立するとき、①現物出資や②財産引受を行ったのであればそのことを定款に記載しなければなりません。また、③発起人の報酬を定めるとき、④会社が負担する設立費用があるときにも定款への記載が必要です。

これら①~④の事項は「変態設立事項」と呼ばれています。
設立後の会社財産への影響が大きい事柄であるため、変態設立事項として区分し、特別のルールを適用しています。

例えばもっとも利用例の多い現物出資に関しては、基本的に価額の評価が正しいことにつき調査をしなければなりません。
定款には、出資した発起人の氏名(設立時に現物出資ができるのは発起人に限られる)、出資した物、その価額、割当てる株式の数を記載します。

「定款の記載方法が分からない」「自分で作成するのは不安」という方は専門家に頼んで作成を進めていくようにしましょう。